黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

上海地下鉄乗降客バトルの思い出

SPONSORED LINK

北京五輪前の上海地下鉄の混雑ぶりについて書いた連投が思いがけず好評でしたので、こちらに記録&追記しておきます。

【目次】

下!(シアッ!)の意味

この中国語の「下(シア)」は「降りる」という意味で、大体は電車の奥の方にいる人が、降りたいけど前にいる人が全く動かない(乗り込もうとするホームの客達が電車内の乗客が降りるのを阻止しているから)ので、「あれ?どうして前にいる客は動かないんだろうか?私降りますよ!降ります!」という意味で「下!」(シアッ!)と言うわけです。

ただ、奥の方から「下!」と叫び声が聞こえ始めると、ホーム側の乗ろうとする客と睨み合いになってる乗降口付近の乗客もそれにつられて「降りるぞ!」という意味で「下!」と叫び始め、みんなで声を合わせて「シアッ!シアッ!シアッ!」の大合唱になるわけです。

勢いで勝るホーム側、団結力の車内側

私が車内の扉の真ん前に立っていて、さぁ今からバトルが始まる!という緊張の瞬間に、そばにいる中国人から「そこに隙間を開けていると入り込まれるから、もっとツメて立て」とか「指導」が入ることがありましたw

ホーム側は車内の客を封じ込めた上で押し込んで乗り込めば「勝ち」なので、得てしてホーム側有利。

車内側は扉付近の客がしっかりしてないとそれで総崩れになるし、車内の客の流れが「L字型」で曲がっているから、フォーメーションを組んで力を集中させるのが難しいのですが、車内は緊張感が共有されやすいというのか、閉所に閉じ込められて、「ここで降りなきゃ困る」という危機感があるためか、団結力が強い…という特徴がありました。

動画を探してみました

この連投をツイートした際に、「動画はないの?」とたくさん聞かれましたが、私自身は乗り降りに必死で、当時映像で記録しようという発想そのものがありませんでしたし、スマホが普及して動画を撮る人が増えるのは、北京五輪&上海万博の後なので、YOUTUBEで動画を探してみると、地下鉄の混雑が緩和した後のものしか見当たりません。

▲これが一番当時の雰囲気に近いかな。まだ降りられるだけマシですね。私の時は最初から乗客を降ろさない…降ろしたら負け(乗客が降りるのを待っていたら、見切り発車で乗れないまま置いてけぼりにされる)…という状況でしたから。

「乗降客バトル」の頻発地帯

なぜこういうことになるのかと言えば、人民広場駅は乗り降りする人が多いので、お互いに「気合い」が入っているんですけど、ホームがそれなりに大きくて余裕があるためか、上海地下鉄でも最大の駅であるためか、それなりに停車時間も余裕があって、結局はちゃんと乗り降りできたのです。

でも、その前後の漢中路駅や黄陂南路駅というのは、利用客が多い割に、ホームがそれほど大きいわけでもなく、情け容赦無く「見切り発車」されていたため、タイミングが悪いと、激しい衝突になることが少なくありませんでした。

上海火車站駅は、上に鉄道駅があるのですが、遠方からの旅行者(田舎から出てきた人が天秤棒に荷物担いでたくさんやってきたりする)が地下鉄に流れ込むことがあって、その時に地下鉄の車両内の乗客が満杯だったら、大きな衝突に発展する…ということがありました。

中国の経済発展における過渡期の現象

通勤のラッシュアワーとか、休日で乗客が多い時などは、駅そのものを閉鎖して乗り降りできなくする…ということがよくありました。今はやっているのかな…上海で地下鉄に乗る機会が減ったのでわからないのですが。

本来はこの「オチ」の話をしたくて、長い「前振り」をしたんですけど、日本でも高度成長期には、「首都圏国電暴動」なんかがあったわけで、

暴動はしない方がいいんですけど、「活気」というのは、こうした「元気」というのか、普段の生活の中で鍛えている「戦意」と表裏の関係にあるんだろうな…と思うのです。最近の中国はだんだんと社会が便利になって、人間も大人しく、マナーも向上しているわけですけど、以前ほどの「活気」は感じなくなってきたなぁ…と思っていたところでした。

f:id:blackchinainfo:20181016131812j:plain

▲【参考写真】2015年の上海地下鉄の車内

ちなみに、私が連投で説明した状況は、あくまでも北京五輪~上海万博前の状況でして、今の上海に行っても、同じ状況は見られないと思います。

当時地下鉄に乗りまくっていたため、こうしたことを細かく記憶しているわけですが、いただいたリプの中でも、当時上海にいたけど私が見たような状況を体験していない…という人がいたり、私と同じ体験をしている人もいたりで、たぶん乗車している区間や時間帯が違うので、こうしたことになるんでしょうけど、こんなに印象にバラつきがあるのも興味深いことでした。