【警戒】『中国で「小豆島」商標申請 香川県が異議申し立てへ』
— 黒色中国 (@bci_) August 1, 2019
認められると、香川小豆島の名が付いた日本の商品を中国で販売できなくなる。県や業界団体などは8月中に異議申し立てする方針。 https://t.co/6nze8vrcst
年に何度かこの手の商標問題のニュースが出てきますが、中国では日本の製品や食品に対する「好印象」があり、近年は訪日中国人も多いため、日本の地名が持つブランドイメージも定着しています。そのため、このような横取り商標の問題が出てくるものと思われます。
ところで、今回の申請の中身がどんなものなのか?中国のネットで調べてみました。
【目次】
商標申請「香川小豆島」の中身
▲中国商標局のサイトで見つけました。クリックで拡大できます。
内容を精査すると…
- 申請されたのは2019年1月25日
- 申請者は李桂双さんで、住所は大連市沙河口区
- 商標権の及ぶ範囲は、果冻(ジュース)、米粉(粉状)=米粉(こめこ)のこと、面条(麺)、酱油(醤油)、调味品(調味料)、饼干(ビスケット)、蛋糕(ケーキ)、面包(パン)、布丁(プリン)、; 以谷物为主的零食小吃(主に穀物を使ったスナック)
- 初审公告(第一審公告)
商標権の範囲を見るに、これらは実際の香川県小豆島の産品とかぶりそうですね。
ところでこの李桂双さん、これらの商標を取得してどうするつもりなのか。もしや、片っ端にいろんな商標を取ってる「商標ブローカー」なのか…その点も調べてみることにしました。
李桂双さんの商標申請一覧
「李桂双」の名前で検索できる商標申請者は4件のみ。香川小豆島以外の申請者は住所が大連ではありませんので、別人と考えられます。大連の李桂双さんが申請した商標は「香川小豆島」の1件のみ。だから商標ブローカーというわけでもなさそう?です。
その他の「小豆島」関連商標
▲中国商標局で申請されている「小豆島」の申請は全部で7件ありました。興味深いのは2018年3月以後に集中していること。
古い方から見ていくと
- 福建の会社が申請している「小豆島」の範囲は家具類で、既に商標取得済。
- 施会龙(施会龍)さん(これ人名です)が申請した「小豆島」の範囲は子供用の衣類で。既に取得済。
- 「小豆島S・DOOR」はタオルなどの紡績製品が範囲で、まだ審査中。
- 「小豆島拉面」は上海の会社が申請したもので、ホテルや食品の範囲。まだ審査中。
- 四川の会社が申請しているのは珈琲や豆を使った食品などが範囲。まだ審査中。
…ということがわかりました。つまり、この7件の内で日本の小豆島と関係があると思われるのは「小豆島拉面」(小豆島ラーメン)のみ。いま調べてわかったのですが、実際に日本の小豆島には「小豆島ラーメン」というものがあるのですね。だから、それらのお店が中国に進出する場合、「小豆島拉面」の言葉を使用すると商標権侵害に問われる可能性があるわけです。ただ、まだ申請中ですので、これが商標局に認められたら…の話ですが。
なぜ「小豆島」の商標を先に取れなかったのか?
他の7件を見てわかりましたが、たぶん中国においては「小豆」というのが一般名詞でしかなく、それにプラス「島」というだけに過ぎないので、、日本の小豆島やその関係者が、「小豆島」を固有名詞として主張し、中国の申請者が一切手をつけられない…という風にすることができないのではないかと思われます。
そもそも、中国で子供の愛称に「豆豆」(ドウドウ)と名付けたりすることもあり、「小豆」という言い方もあるみたいです。日本語にしたら、「おまめちゃん」みたいな。小さいカワイイ子…みたいな語感と思われます。だから子供用衣類の商標を取ったりする。
四川の会社が申請しているのは珈琲にしろ豆製品にしろ、扱う商品が「豆」なので、「いろんな豆製品を扱っていますよ」という意味で、「豆アイランド」みたいなニュアンスの「小豆島」なのかと考えられます。
ただ、今回の大連の申請は、「香川小豆島」でそのものズバリ、日本の小豆島を指しているので、これは小豆島とは一切無縁の中国人に取られるのは不本意…ということなのかと。
中国人観光客が多い地域は、北海道の経験に学べ
▲こちらの記事に出ていましたが、平成28年(2016年)に小豆島を訪れた観光客は113万9千人。島の人口は1.44万人だそうなので、人口の78倍以上の観光客がやってくるそうです。その内訳で中国人がどれほどいるのかは不明ですが、ちょっとググると小豆島には中国人が多い…という情報がたくさん出てくるので、相当数の中国人が来ていることが予想されます。
先に中国人観光客が殺到した北海道でもそうでしたけど、「十勝」や「六花亭」が中国で商標登録されていたことがありました。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kgs/chizai/TMSearch_CN.pdf
▲そのためか、北海道庁では商標調査のマニュアルを制作してネットで公開しています。
今後も、何らかのキッカケで中国人観光客が大挙してやってくるようになる日本の観光地があると思いますが、それらの地域の人は、地名や固有名詞が、中国で商標申請されてしまうリスクを念頭に置いて、常日頃から「自己防衛」を心がけておいた方が良さそうです。
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