【重要】『少数民族への中国語教育の強化で高まる反発』
— 黒色中国 (@bci_) February 22, 2021
■圧力は、いま日本にも及んでいます。
■「(内モンゴルの)両親の所に警察が来て、デモに参加したか聞かれたんですよ。『あなたの息子が海外に行って洗脳されている』って」(内モンゴル自治区出身の男性)https://t.co/nCR1ECZzOx
▲こちらのニュース、ツイートでは要約しているので、わかりにくいかも知れませんが、ようするに、
- 現在、日本に在住する内モンゴル自治区出身のモンゴル族の男性が、去年9月に東京で行われた中国への抗議活動に参加した。
- その後、内モンゴルにいる両親の所に警察が来て、息子がデモに参加したかを聞かれ、「あなたの息子が海外に行って洗脳されている」と言われた。
…ということです。
つまり、
- 内モンゴルの警察は、なぜかこの男性が日本のデモに参加しているのを知っている。
- 両親の元にやってきた警察官が、日本に行って、デモに参加している男性を直接見てきたわけでもないだろう。
- ということは、日本国内で、抗議活動や在日モンゴル族の活動を監視している人物がいて、内モンゴルの警察に報告しているに違いない。
…ということになります。
実は、今から十数年以上前、私も似たような話を聞いたことがありました。
* * * * *
私は当時日本にいて、在日中国人の友人と会う約束をしていた。
たまたま、お互いに知っている中華料理店があったので、その前で待ち合わせをしていた時に、ちょっと変わった体験をしたのでした…
「これを読んで勉強しなさい」
確か、朝の10時ぐらいの約束だったか。私は予想外に早く着きすぎて、中華料理店の前でずっと友人を待っていた。中華料理店は昼からの営業でまだ開いてなかった。待ち合わせの場所にしているだけで、その店で食事するつもりもなかったのだが。私は店の前でずっと立ち続けた。
* * * * *
5分か10分は待っただろうか。
今のようにスマホもない。いつもなら本を持ち歩いているが、その時は何も持ってこなかった。ただ、店の前でランチのメニューを読んだりしながら、時間を潰した。
すると、二人組の女性…たぶん50歳後半から60歳前半ぐらいの大量の新聞を持ったオバサンがやってきて、店の郵便受けに幾つか押し込んで、私にも1部手渡してくれた。
なんだろう?と思って見ると、中国語の新聞である。
日本で、在日中国人が増えて、中国語のフリーペーパーが流行っていた時期なので、その配達員みたいだった。たぶん、この中華料理店はオーナーが中国人なのか。中国人客が多いのか。それで、配達員が来たのだろう。たぶん、中国人だ。
「すみません、私は日本人だから、この新聞は要りません」
と中国語でオバサンたちに告げて、新聞を返そうとすると、オバサンたちは怪訝な顔をしながら、
「これを読んで勉強しなさい」と中国語で返答し、新聞を受け取らず、すぐ立ち去った。
私はその言葉の意味を考えた。
「私は日本人だから、この新聞は要りません」と私が言ったので、中国語の出来ない日本人だから中国語の新聞を読めない…とオバサンたちは理解して、「だったら、これを読んで中国語の勉強をしろ」と言ったのか。
でも、私はそれを中国語で言っている。「アンタは中国語ができるじゃないか、だったら日本人でも構わん、この新聞を読んで勉強しろ…」という意味なのか。
「ところで、どんな新聞なんだろ?」
…と思って、良く見ると、「大紀元」と書かれていた。
つまり、法輪功の新聞である。
「あの新聞を受け取ってはいけない」
私はそれ以前に、香港で法輪功を何度か見ていた。彼らは香港のアチコチにいて、横断幕を掲げて、中国共産党の悪行を宣伝していた。その時に大紀元も見かけたことがあった。
ただ、日本でも活動しているのは、私は当時まだ知らなかった。日本からしばらく離れていたので、在日中国人社会がどうなっているのか、全く知らなかったのだ。
私は、法輪功に全く興味がない。好きでも嫌いでもないのだが、友人はまだ来ないし、私は暇つぶしに読むものもない。なので、オバサンからもらった大紀元を開いて読もうとした瞬間、素早く私に近づいてきた人物がいた。
* * * * *
この人物は、私が待っていた友人だった。
私が新聞を開こうとするのをさえぎって、「さぁ行こう」と言って足早に歩き出した。
「全部見てた。オバサンから新聞をもらったんだろ」と少し興奮気味に言った。
「あの人たちは法輪功だ。新聞を受け取ってはいけない」
友人は、別に中共寄りの人間でもないし、法輪功が嫌いだとも聞いたことがない。日本の自由な雰囲気が好きで、日本に住み続けているような人である。
「見られているからだ。だから、新聞を受け取ってはいけない。」
外では話しにくいらしく、場所を変えて、二人きりの時に「続き」を話してくれた。
「日本で捜査しているに決まっているだろ」
「以前、日本に移住してから、法輪功に入信した中国人がいた。この人が、一時帰国で故郷に帰ろうとして、中国の空港に着いたら、入国を拒否されてしまった。」
「その人は、日本に帰化してたの?中国国籍なの?」
「中国国籍だ。帰化はしてない。」
「中国国籍で、中国のパスポートを持ってる中国人が、中国に入国できない…なんてことがあるの?」
「ある。法輪功信者が帰ってきたら、中国国内で何かやると思われたんだろう。入国させて逮捕すれば、また人権だの宗教弾圧だと国外で騒ぎたてるだろうし。だから、『オマエは帰ってくるな』と言って追い払われたそうだ。」
私はその話を聞いて、「何かが変だな…」と思った。何かがスッキリしない。そうだ、あれだ…
「どうして中国の空港の入国審査で、その中国人が日本で法輪功に入信していることを事前に知ってるの?入国の時の荷物検査で持ち物からバレたのかな?入国時にイチイチ思想調査をするわけ?」
友人は、呆れた顔で、
「そんなの、日本で捜査しているに決まってるだろ」と言って、私の目をじっと見た。
「オマエは中国に関わって長いのに、そんなこともわからないのか…」と言いたげだった。
「『捜査』って、日本の警察が捜査して、中国に教えるってこと?」
「違う。中国の公安が日本で捜査するんだよ」
「それって違法じゃないの?中国の公安に、日本での捜査権はないでしょ。日本政府に許可を取ってるのかな?」
「中国の公安に日本での捜査権はないよ。相手が中国人でも、日本では捜査できない。日本政府に許可は取らないけど、でもやるんだよ。それが中国の公安だ。彼らは日本国内でも、中国人の活動を監視している。一般の中国人でも、他の中国人を監視して、公安に密告するかも知れない。だから新聞を受け取ってはいけないんだ。話し込んでもダメなんだ。あんな、どこからでも見られる屋外ならなおさらだ。誰かが見ているんだ。キミも、オレも、中国に入れなくなったら困るだろ」
友人は、中華料理店の前でオバサンたちが私に新聞を渡そうとするのを、少し離れたところでみつけて、物陰で隠れて見ていたらしい。もし、すぐに近づいて、オバサンたちと話し込んだり、新聞を手渡されたりすると、「どこかで見ている人物」に対して、あらぬ「誤解」を与えるかも知れないからだろう。
友人は、いつもはニコニコして、冗談ばっかり言ってるような男だが、この時だけは真剣だった。
「中国に帰れなくなったら困るからね。オレも家族もみんな困る。キミも、日本で中国人に関わることは多いし、中国に行くことも多いのだから、今後は気をつけるんだ。」
* * * * *
私はその時、友人の話がオオゲサすぎで、かなり「盛っている」ように感じた。
まず、中国国籍で中国のパスポートを持つ中国人が、中国への入国を拒否されるのが信じられなかった。だったら、その中国人はどうすればいいのか?すぐに日本に帰化できるわけでもなく、難民申請でもするのだろうか?
それに、日本国内で中国の公安が無断で捜査をやっていれば、いずれ日本の当局者の知るところにもなるだろうし、国際犯罪の内偵調査というわけでもなく、宗教弾圧は重大な人権問題なので、明るみになれば国際問題になるだろう…とも考えていた。
ある意味、常識的な判断だが、私は当時、まだ中国が「どんな国」なのか、よくわかっていなかったのでした。
その後の「2つの事件」
それから数年経った2009年の11月、成田国際空港の制限エリアで、2ヶ月以上にわたって、寝泊まりし続ける中国人が現れた。
馮正虎さんは、天安門事件を批判する声明を発表し、当局に逮捕され服役し、出所後に日本で活動していたが、2009年6月以後、中国で入国を拒否されるようになってしまった。
馮正虎さんの場合、日本に来る前から、反体制派の人権活動家であることが、中国当局に周知されていたわけだが、「中国政府が中国人の入国を拒否する」のが本当だとわかって驚いた。友人が言っていたのはウソでもオオゲサでもなかったのでした。
2015年に起きた銅鑼湾書店事件では、5人が失踪、中国当局に拘束されていた。
▲この内の、桂民梅氏(スウェーデン国籍)はタイで失踪、李波氏(英国籍)は香港で失踪している。この事件で、中国当局が管轄外でも、捜査や拘束をやっているのが明るみになった。国籍すらも関係ないのだ。
▲『目に見えぬ侵略』でも、豪州にやってきて法輪功信者を「説得」をする中国の警察が出てくる(79ページ)。こちらの場合は、「入国拒否」ではなく、帰国し服役するように持ちかけるのですが。
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つまり、十数年前に、日本で私が友人から「警告」を受けた時に信じられなかったことが、数年の内に他の事件や、豪州での事例で、実際にあるのが証明されてしまったわけです。
冒頭の、内モンゴル出身の男性の話をニュースで見た時に、これらのことが脳裏をよぎって、友人からの「警告」を思い出し、改めて用心せねば…と肝に銘じていたのですが、ちょうど同時期にフォロワーの方から、中国当局の国外での活動について質問があったので、こちらの記事を書いてみました。皆さんのご参考になれば幸いです(^^)