保険としてのE430c
現在、私がメインで使っているPCは3年前に購入したThinkpad E430c…Thinkpadの廉価版である。
他に自作のデスクトップPCがあったのだけど、それが去年の春頃に故障したため、緊急時の予備として買っておいたE430cをやむなく使い始めた。
パソコンというのはある日突然壊れるものだから、常に予備機を用意して、突然のトラブルに対応できるようにしている。予備機なので特別良いものは要らない。持ち出す機会はたまにしかないので、ウルトラブックである必要もない。重くてもいいから、しっかりとした作りのもので安ければ尚の事良い。そういう考えでE430cを購入した。
自作機が健在の頃は、E430cを取り出すのは一ヶ月に一度あるかないか…という頻度だった。予備だから別にそれはいい。なくては困るが、使う機会がない方が良い…のが保険である。購入価格は2013年11月当時、6万6千円程度。これでイザという時の保険になるなら安いものだ。
3年前の保険を使い始めて10ヶ月…
去年の春に自作機が突然死した時は、そのあっけなさに、しばらく呆然とした。死因は未だによくわからないけれど、「保険」があったのですぐ落ち着きを取り戻し、それっきり突然死した自作機は部屋の片隅に置かれたままである。
以来、E430cがメインPCに昇格し、2in1のウィンタブが予備機となった。最近は技術の進歩が著しいので、安物の2in1でも充分仕事に使える。私がPCでする仕事といえば、ほとんどは文字打ちか写真をちょっといじったり、たまにカンタンな動画を編集する程度だから、ハイエンドモデルは要らない。
自作機で使っていた液晶ディスプレイやキーボード・マウスをE430cにつなぎ、据え置き専用で使っている。だから、使用感としては以前の自作機との違和感もなく、大差はない。そういう経緯でE430cを常用し始め、10ヶ月近く経った。
ただ、最近になって、起動時に「グォオオオ…」と不機嫌そうな音を出すようになった。どうやら、E430cの内部にある冷却ファンに異常があるらしいのだ。
冷却ファンの問題
「e430 ファン」でググると、色々出てくる。よくある問題の1つらしい。
しばらくは放置していても、大丈夫だろうが、ファンの不良がひどくなって、そのうち起動しなくなるかも知れない。さて、どうするか…
▲さらにググっていると、このような情報が見つかった。
ThinkPadをIBM時代から使っているけれど、ThinkPadはグローバルに使われているので、海外でも修理パーツが手に入りやすいし、対応している修理店なども多い。その上でIBM(現在はレノボ)は修理マニュアルをネットで公開してくれている。
レノボに買収されて以来、色々と良くない噂を聞くものの、いまだにThinkPadを選ぶのは、こういうところにある。私の場合、持ち出す時は香港だの中国だのに携行するので、あちらで壊れた時に修理不能だと困るのである。
上掲のレノボの解説を読んでみると、冷却ファンの交換は簡単そうである。まずは、開けて見ることにした。
E430cの底部カバーを開ける
▲E430cは底部カバーのネジを3つ緩めればカンタンにここまで開けられる。開ける前にはもちろん電源とバッテリーパックを外し、手の静電気を放電するのを忘れずに。
▲問題なのはこの冷却ファン。ホコリがたっぷりこびりついている。3年前に購入し、この10ヶ月ぐらいずっと毎日使い続けたので、ホコリをたくさん吸い込んで、動きが悪くなったのだろう。特にThinkPad自慢の「オウルファン」は静音性に優れている代わりに、ホコリがつきやすいような気がする。
▲ファンを見ると、「DC28000AKD0」とある。
これをググってみると…
たくさん出てきた。さらにこれに「FRU」を加えて再検索すると…
FRU: 04W4306. Part Number: DC28000AKD0
という情報がみつかった。「FRU」とは「フィールド・リプレーシング・ユニット」の略で、IBMの交換部品の管理番号である。
これをeBayで叩いてやると…
たくさん出て来る。
互換パーツなのか、同じものなのかわかりにくいが、写真を参考に一番似通ったものを選んで購入した。送料無料で8米ドルだった。
15日後に到着
オウルファン周りのホコリを丁寧にとってやり、通気口のホコリもとってやると、ちょっとファンの動きがよくなったが、また異音がしたり、しなかったりを繰り返した。やはり、ファンの交換は必須である。ファンの交換は面倒なので、騙し騙し使おうかと思ったが、致命的な損傷に至ってからでは遅い。ファンは交換せねばならない。
▲まだかまだかと待ち続け、購入から15日間で手元に届いた。ファンの反対側はこんな感じである。
▲表側のパーツナンバーは、我がE430cに取り付けられている純正部品と同じだ。
さっそく交換してみる。
全く同じメーカーの同じパーツだった。
▲左がeBayで購入したもの、右が使い古した純正品。こうして見る限り、全く同じものである。
▲ひっくり返してみた。パーツの形状も全て同じ。そしてファンの中心部に書かれている文字も同じである。
▲使い古した純正品。
DC BRUSHLESS
MODEL KSB05105HB
DELTA ELECTRONICS INC
▲eBayで購入したもの。全く同じものみたいだ。
デルタ電子株式会社とは?
「DELTA ELECTRONICS INC」でググったら、日本語の会社HPが見つかった。
「デルタグループプロファイル」を見ると、台北に本拠を置く台湾企業であった。ThinkPadの部品生産を請け負っているのだろう。たぶん私がeBayから手に入れたのはニセモノではなく、純正品と同じものだと思う。
ksb05105hbについて
ファンに書かれてあった「ksb05105hb」でググってみるとたくさん情報が出て来るけれど、どうやら「ksb05105hb」はE430cとその系列の専用ではなくて、全く別系統のレノボのノートPCでも採用されている。しかし、形状が若干違う。
ようするに、ファン本体は「ksb05105hb」だけど、各機種に対応させるために筐体の形状変更をしており、E430cに使えるのは「FRU:04W4306」ということになるようだ。
他機種にも採用されているパーツであるため、安価に提供できるようになっているのだろう。
ちなみに、日本のレノボに連絡して、このパーツを購入しようとすると、送料込みで4085円になる。
交換作業の続き
▲冷却ファンはネジ3本と端子を1つ外せば、あっけなく取り外せる。通気口にホコリが溜まっているので、これをブロアーで吹き飛ばし、掃除機で内側と外側の両方から吸入してホコリを吸い取った。
▲底部カバーも表裏両方、掃除機でホコリを除去。
後は、新しいファンをネジ止めし、メインボードに端子を挿して、底部カバーを閉めたら完成。
早速、起動してみると…何の問題もなく動作し、現在このブログを書いている。冷却ファンは以前よりも快適に排熱をしているようだ。
ThinkPadのEdgeシリーズは、安物で重いけれど、メンテナンス性は非常に良い。持ち歩くには不向きだけど、据え置き使用には適している。
とはいえ、たまたま私が購入したE430cは内部へのアクセスが非常にカンタンなモデルだっただけで、Edgeシリーズにも、モデルによって内部へのアクセスや冷却ファンの交換が面倒なものもあるそうだ。もしこれから購入するつもりの人があれば、その辺はご自分で調べることをオススメする(この手の情報は2chにたくさんある)。
私の場合、頻繁に持ち出すこともないので、破損することも老朽化することもなく、ファンさえ交換してやれば、あと数年は何の問題もなく使い続けられそうだ。
▲しかし、こちらの冒頭でも述べたように、今年は私も「軍備」を増強してやろうとたくらんでいる。E430cで現役使用を続けるためには、もう少し手を入れてやらねばなるまい。しばらくはこの手の「アップグレード」作業が続きそうである。