【閲覧推奨】『日本企業のフリして大儲け! 中国企業のパクリ商法に未来はない』
— 黒色中国 (@bci_) 2020年6月24日
■偽日系(偽日本風)
■中国語の「气」ではなく日本語の「気」の文字
■「果の毎日茶」とひらがな交じり
■販売元の欄には「日本国 株式会社元気森林」
■「北海牧場」「タンパク」「たくみ」https://t.co/AtgsN8m6Xi pic.twitter.com/WFS8cI9QuD
▲こちらのツイート、たくさんの反響をいただきました。
私自身が、中国や香港にいる時に、この手の「なーんちゃって日本製品」を見つけては、結構喜んでいたタイプの人間なので、あまり気にはしてなかったのですが(実は台湾にもこの手のものはある)、これを「パクリ」として怒ってる?人もいたりで、ちょっと違和感ありました。
記事のタイトルも「中国企業のパクリ商法」と書いて煽り気味ですし。
ただ、これってどこかの日本企業の商標を侵害しているのでもなく、「なんとなく日本製品っぽい」だけなので、「パクリ」と呼ぶのは適切なのかな…と悩んだりするわけです。
そして、ちょっと調べてみると、実に奥が深いというのか、意外なものが見えてきましたので、ブログにまとめておきます。
【目次】
「日本国 株式会社元気森林」は実在する
一番最初にあの記事で気になったのは、「日本国 株式会社元気森林」という記載。この会社、実在するのか?ググってみたら…
普通にありましたw
ただ、日本法人の公式ウェブサイトは見当たらず、出てくるのは求人広告だけですけどね。
▲中国本社の「北京元気森林有限公司」は中国全土に営業所が30箇所もあり、従業員数が1002名もいるけど、日本法人は代表1名に従業員3名+外部技術顧問1名だけですね。
事業内容を見ると、「飲料や食品の製造・輸出・販売、本社への技術提供」とある。もしかしたら、日本で何らかの製造を行って中国側に輸出しているのか。それと、「本社への技術提供」って気になりますね。日本の技術が採用されているのかも知れません。
デザイナーを日本で募集していた!
それでは、この元気森林の日本法人は、一体日本でどんな求人広告を出していたのかを検証してみますと…
▲こちらにありました。
▲なんと、デザイナーの募集をしていたのですね。つまり、森林元気の「偽日系」商品は、パクリというよりも、日本法人で日本人にデザインさせている…「日本っぽい」のを中国人が適当に作ったのではなくて、日本人によるデザインみたいです。
- 「デザインのコンセプトは、ずばり「日本式」」
- 「健康大国日本で作られているというイメージを、パッケージに反映しています。」
日本の食品が持っている、「健康」的なイメージを商品コンセプトにしているので、日本人のデザイナーにその意図を汲んだパッケージを作ってほしい…という非常にまっとうな発想ですね。これって日本人としては歓迎すべきことじゃないですか?
▲そういえば、こういう広告を見ても、ちょっと変な日本語以外は、非常に日本的な、日本人が作ったようなデザインですね。
それと、「果の毎日茶」という名前は日本人の目から見て変ですけど、それ以外の日本語は真っ当ですね。
それに、この「無糖のキュウリ味スパークリングサイダー」って飲んでみたいw
求人広告を見るに、「高品質の原料を使い、お子さん、妊婦さんも安心して食べられる食品」とあるので、単にパッケージだけ日本っぽくしてイイカゲンなものを売りつけているのではなくて、中身もちゃんとしたものじゃないのでしょうか?
▲中国全土に30箇所の営業所を持ち、1000名の社員を抱える企業の既存商品のリニューアルから始めて、新商品のデザインも任せられる…って面白そうですね。適当に日本で外注に出すんじゃなくて、ちゃんと日本法人でデザイナーを雇おうという姿勢に感心します。
偽日系企業は、ホワイト企業だった?
▲気になる条件ですが、
- 学歴不問
- 食品・飲料業界でのデザイナー経験者
- 中国語は話せなくてもOK
- 食品表示法を守ったデザイン経験がある方、大歓迎です
学歴に関わらず、経験と実力がある人なら歓迎ですよ!という風通しの良さそうな社風ですね。
▲この手のデザイナーの仕事をしたことがないので、報酬が適切なのかは不明ですが、
- 固定残業代は、時間外労働の有無に関わらず月45時間分を、月額66,850円~123,410円支給。
- 上記を超える時間外労働分は追加で支給。
というのは面白いですね。
- 仕事上の都合により土日出勤の可能性もありますが、必ず代休を付与します
ここに書いている内容を見る限り、真っ当な会社、という印象です。
「元気森林」は実際どんな企業なのか?
▲ちなみに、こちらが元気森林の中国本社のウェブサイトですけど、スッキリ・キレイな作りで、昔の中国企業のサイトみたいな野暮ったさが全然ないですね。
▲百度百科を見てわかったのですが、
▲英語名が「GENKI FOREST」なのですね。
中華圏で「GENKI」は元気寿司があるせいか、かなり前から浸透している日本語で「GENKI」で通じます。上手いネーミングですね。
▲36KRさんが、元気森林の解説をされておりました。「偽日系」とか「パクリ」というウガッた見方をするよりも、36KRさんの説明の方が実態をよく伝えていると思います。
中国や香港にいると、「なーんちゃって日本製品」がたくさんあって、怪しいわけですが、その中で考えると、元気森林は極めて真っ当な部類に入るし、ちゃんと市場に受け入れられて、真っ当な商売をやっている企業と思いました。
冒頭の記事で挙げられている「偽日系」の中には、元気森林以外の企業もあるわけですが、元気森林だけを取り上げて考えてみた場合、「日本製品を偽装している」「日本企業のフリをしている」というものではなくて、現代中国人の健康志向に合わせて、日本製品の持つ良いイメージを商品コンセプトに織り込んでいる。そのために、日本法人も開設して、日本人デザイナーも雇っているわけで、これは非難・批判されるようなことではないと思います。
元気森林の成功事例を見るに、日本企業にもまだ、レッドオーシャンである中国の飲料市場で「伸びしろ」があったわけですし、今後、日本のデザイナーが中国企業に「日本っぽいパッケージデザイン」を売り込むようなこともできるのではないでしょうか。
次に中国へ行くことがあれば、私もぜひ元気森林の商品を買ってみたいです(^^)