黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

【新型コロナウイルス肺炎】(12)中国の医療現場でポビドンヨードはどのように使われているか?

SPONSORED LINK

ツイッターのTLにやたらとイソジンが出てくるので、何が起きたのか不可解だったが、大阪府知事の発言が影響していたとのこと。聞けば、イソジンのうがい薬が効くだとか。

この件は以前、本ブログでも取り上げたので、関係する部分のみを切り出して、考察してみようと思います。

【目次】

中国の病院の新型コロナ対策ハンドブックに書いてた

ポビドンヨード(うがい薬に含まれている成分)を新型コロナウイルス治療の現場で使う件については、浙江大学医学院付属第一医院が編纂した『新型コロナウイルス感染症対策ハンドブック』の中で紹介されていた。

上掲のリンクをたどって読むと長いので、関連部分だけをこちらに引っ張ってくる。

f:id:blackchinainfo:20200804235440j:plain

▲こちらはハンドブックの『COVID-19関連の作業スタッフ職業曝露処理プロセス』で掲載されているフローチャート。カンタンにいえば、医療従事者がコロナ患者と濃厚接触した場合に、どのように対処すればよいのかが説明されている。 アルコールを用いた消毒が難しい場所(目とか粘膜)などでヨードフォアを使用することが推奨されているが、生理食塩水でもOKのようだ。何が何でもヨードフォアでなければいけない…とは書いてない。

f:id:blackchinainfo:20200804235506j:plain

▲こちらは皮膚曝露、粘膜曝露、鋭器損傷、気道直接曝露の4つのケースでどのようになったら曝露(ようするにウイルスが含まれているかも知れないものに接触してしまった)と判断され、消毒が必要なのかが説明されている。

ポビドンヨード?ヨードフォア?

▲ウィキペディアで「消毒」のヨウ素系の項目を見ると、

f:id:blackchinainfo:20200805004033j:plain

▲このように書かれておりました。

ポビドンヨードによる消毒だけでは安心できない

f:id:blackchinainfo:20200804235506j:plain

▲さっきのと同じ画像ですが、これを見る限り、一般人にとって(1)(2)(3)はほぼ関係ないのでは?コロナ感染者の家族が自宅療養してて、その介護で体液・血液・分泌物・排泄物などに触れるようなケースでないぎり、心配の必要は少ないと思う。

(4)は一般人にもありえるかも知れない。(4)はちょっとわかりにくいので書き下すと、

  • 日本はどうか知らないが、中国だと入院中の感染者はマスクをしてないことがある。
  • そのかわり、医療従事者がマスクをしている。
  • 医療従事者のマスクがなんらかの事情で、感染者の1メートル内で外れてしまった時に、曝露したとみなされ、消毒が必要となる。

このハンドブックは、あくまで医療従事者のために書かれたものなので、一般人の参考にするのが適切なのかは不明だが、このハンドブックによれば、ポビドンヨードの必要が出てくるのは、これらの条件を経てのことである。

ただ、フローチャートを見ていると、消毒の上で指定の隔離室に入り、個室に14日間隔離して…と続く。消毒したらそれでOKとはなっていない。ポビドンヨードは必ずコロナを消滅させる魔法の薬ではないのだ。

この件は、大阪府知事の発言以後、炎上状態になっているので、ネット上でさまざまな見解がすでに出ている。詳しく知りたい人はそちらをご参照いただくとして、私があの『ハンドブック』で読み解く限り、

  • ポビドンヨードの他に、生理食塩水でもOK
  • アルコールの使いにくい目や粘膜部分の消毒に使うもの。
  • あくまでも消毒であって、完全にコロナを防げるものではない
  • 消毒が必要なほどの濃厚接触に覚えがあるなら、消毒後に14日間の個室隔離が必要。

…ということでした。

「備えあれば憂いなし」でイソジンを買いに走る気持ちは理解できるものの、このような緊急事態においては、本当に必要な人の手に届かなくなるのは避けたいものですね。

それで欲しい!という人は、ちゃんとポビドンヨードが含まれているうがい薬をお買い求めください。モノによっては含まれてないそうです。

新型コロナVS中国14億人(小学館新書)

新型コロナVS中国14億人(小学館新書)

  • 作者:浦上早苗
  • 発売日: 2020/06/03
  • メディア: Kindle版