現在ネットでは、玉川徹氏の防衛費を軽視した発言が話題になっているけど、私もちょうどあの瞬間だけ、たまたま『羽鳥慎一モーニングショー』を見て、ビックリしてのけぞっておりましたw
玉川徹「防衛費は保険だ!それを教育費に‼」
— JapanPoliticsChannel (@JpPoliticsChl) 2022年6月16日
なるほど、玉川さんは無保険で車運転するんですね💦#モーニングショー pic.twitter.com/5E4x5MrbFM
アレを見て、「そうだ!玉川の言うとおりだ!防衛費より教育費を増額しろ!」という人も少なからずいたとは思われるものの、呆れ返った人も少なくなかったことでしょう。
ただ、中国の動向を長年注視している者からすると、
「おいおい!このタイミングで防衛費軽視かよw」
というインパクトが大きすぎて、でも普段からずっと中国関連のニュースを、中国側の報道も含めて見てる人は世の中にそんなに多くはないはずなので、私が感じた「驚き」の大きさが上手くわかってもらえないだろう…と考え、ブログで解説することにしました。
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この9日間(6月9日~17日)あまり、10日から12日にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)を挟み、中台関係を巡って、固唾を飲んで見守る情況だったのでした。
【目次】
玉川徹氏の発言はどんなタイミングで出てきたのか
中国の軍事的な脅威は今に始まったことではないのですが、ウクライナ紛争が始まって以後の米国の台湾有事を見据えた動きが具体的に出てきたのと同時に、シャングリラ会合があったので、一体どうなることやら…と緊張し続けた9日間でした。簡単にまとめると以下のようになります。
6月 9日: 米、台湾への武器売却承認 艦艇部品など1億2000万ドル
6月10日: シャングリラ会合開幕/岸田首相「5年以内に防衛費増」インド太平洋支援強化
6月11日: 「台湾が独立企てるなら一戦辞さない」中国国防相が米国防長官に直言
6月12日: インド太平洋地域「最も危険な時期になる可能性」米軍司令官/シャングリラ会合閉幕
6月13日: 中国、防衛相会談めぐり日本に反発
6月14日: CCTVで台湾有事を目標としたと思われる軍事演習を繰り返し放映
6月15日: 『中国海軍3隻目の空母、「非常に近い将来」進水』の報道
6月16日: 玉川徹氏「防衛費軽視」発言
6月17日: 中国初の電磁カタパルト式空母「福建」進水
魏鳳和国防相の「一戦を辞さず」発言は、海外メディアでは繰り返し大きく取り上げられ、「そこまでハッキリ踏み込んで明言するのか」という驚きがあったわけですが、
この数日、CCTVは水害かウクライナ以外は、福建での軍事演習ばかり報道してた。つまり台湾有事に備えてる…ってこと。国防相の「台湾分裂を図るものとは一戦を惜しまない」発言を「実践」で示したのだ。
— 黒色中国 (@bci_) 2022年6月17日
日本ではこれを報道せずに、朝っぱらから防衛費軽視の扇動を垂れ流す。玉川徹とは一体何者なのか pic.twitter.com/Kawwagp3Np
その後、CCTV(中国中央電視台)では、繰り返し台湾有事を想定したと思われる軍事演習の様子を放映していたので(上掲のツイートのスクショは6月14日のもの)、「アレは国防相個人の失言ってわけじゃないんだろうな」と思っていたら、翌日に「三隻目の空母進水間近」のニュースが出て、その次の日に玉川氏の発言…えぇ…このタイミングで…?(^_^;)
あえて「逆張り」の理由
玉川氏は頭の良い人だし、海外のニュースもたくさん見られているだろうから、シャングリラ会合を挟んだ最近の動きを全然知らなかったわけじゃないと思うのですね。私が見ているようなニュースは全部見てたはず。彼の他の時事問題の論評を見ていても非常に詳しいので、何もかもわかりきった上で、岸田首相の防衛費増額に反対する世論を盛り上げるため、敢えてああいう発言をされているものと思います。この9日間の流れだけで見ても、防衛費増額必至なのは、誰の目から見ても明らかなことですから。
でも、私が上記に要約した9日間の一連の動きなんか、日本の地上波テレビではほぼ報道されないし、私もチラ見する程度で記憶にあるのは、最近のテレビニュースで最も大きく取り扱われたのは、「18歳パパ活」の件でした。
「中国の脅威」なんか、ほとんどの人の頭の中にはなくて、玉川氏の発言を聞くと、「そうだそうだ!防衛費増額なんか許せない!」と流されちゃうのだろうな…日本のテレビって怖いよなぁ…と改めて思い知らされたのでした。