黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

「徴兵制の戦争抑止力」はある

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ツイッターをやっていると、頻繁に「徴兵制」の話題が出てくる。

ついさっきもたまたま見かけたのだが、「徴兵制の是非」とは別で(私はそれに興味がない)、「戦争抑止力はあるか」と問われると、自分の個人的な経験上、「戦争抑止力はある」と断言できる。

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私が中国に留学していた頃、日本人と韓国人の学生は仲が悪かったけど、韓国人と殴り合いのケンカをやる日本人はいなかった。韓国人学生は兵役を済ませてから留学に来ているのが珍しくなかったので。体格もガッチリしたのが多くて、ナヨナヨした日本人よりも明らかに「戦闘力」が高そうな韓国人が多かった。

【目次】

韓国人の場合

「空挺部隊にいた」とか、「ナイフファイティングの達人」とか、「サバイバルで蛇捕まえて食ったことある」とか、そういうのが韓国人学生の間には普通にゴロゴロしてた。韓国人学生全員が、そういう人間ばかりではなかったが、見るからに戦闘力が高そうなのが普通にいたし、そうじゃない優男風の者でも、兵役で訓練を受けた殺人技を身に着けているだろうな…と想像された。

韓国人学生は結束力が強かった。他の国の学生とトラブルになると、韓国人学生は集団で押しかけてくるという噂があった。それは民族性のためかも知れないが、兵役で身につけた体力や技術で他国の学生より優位性を持ち、軍隊での経験で結束して「敵」と戦うやり方を知っているから、トラブルがあれば「集団戦法」を取るのではないだろうか。

だから、私には、「韓国人=戦闘力が高い、集団での戦闘に長けている」という印象があり、他の日本人留学生も同じようなことを言っていた。

だから、韓国人学生と殴り合いのケンカをした…という日本人の話は聞いたことがなかった。いや、他の国の学生でも韓国人とケンカする話は聞いたことがない。

ただ1度、アフリカの学生が韓国人学生と殴り合いのケンカをやった事例は聞いたことがある。詳細は不明だが、アフリカの学生が韓国人をバカにしたか、舐めてかかって、ケンカになったらしい。韓国人はテコンドーの達人だったとかで、アフリカ人をボコボコにやっつけたそうだ。

ロシア人の場合

私が中国に留学していた頃、同じ学校にロシア人とグルジア人の学生がいたのだが、彼らは仲が悪かった。一度、彼らがケンカをした直後に、その現場を通りかかったことがあった。

私は夜10時頃に、学生宿舎のあるフロアーに、日本人の友人を訪ねたのだが、その階に日本人は友人ぐらいで、他はロシア人が多かったのである。

そのフロアーに着くと、冬なのになぜか暖かかった。廊下が真っ白で雪景色みたいになって、無数の血痕がついていた。目の前にヒラヒラとホタルのように…オレンジ色に光るものがたくさん飛んでいた。

ロシア人とグルジア人がトラブルになり、どちらかが部屋のドアに貼っていたポスター(学生宿舎はどこも似たような外観ばかりなので、特徴のあるポスターなどを貼って、誰の部屋かわかるようにするのが流行っていた)に火をつけて、ポスターが燃え上がってドアを焦がし、それを消そうとして消火器を持ってきて噴射した際に、ロシア人とグルジア人が殴り合いになって、フロアー全体に消火剤をぶちまけて床を真っ白にして、消火器で殴りつけ、出血して消火剤の上に無数の血痕を残した…という状況らしい。ヒラヒラと飛んでいた「ホタル」はポスターの燃えカスが暖められた空気の中で舞っていたのだった。

人は死んでないと思うが、まるで殺人現場みたいだった。

国家間の対立、民族間の対立と言っても、お互いに異国にあって、同じ学校で学ぶ学生同士なのだから…と私は考えていたが、こういうのはお花畑の国に育った者の楽観に過ぎないのを思い知らされた。若い学生同士でも、お互い共に異国にあっても、譲れないものは譲れない、許せないものは許せないのであった。

そういえば、ロシアにも徴兵制はある。

若くても、同じ学校に学ぶ学生でも、彼らは戦闘の技術、殺人の訓練を受けている人たちなのである。

彼らに油断してはいけないし、彼らを侮ってはいけない…と思い知らされたのであった。

中国人の場合

中国に徴兵制はないが、学校で軍事教練がある。

▲こちらの記事で書いたが、20歳ぐらいの可愛い女子でも、日本でなら「極右」と呼ばれそうな軍事へのリスペクト、ガチガチの国防思想を普通に身に着けていたりする。

中国では、20歳の女子にでも、そういう考え方を徹底して浸透させているわけで、いざ有事となれば、こういう国の人間は強いだろう。中国が徹底したゼロコロナ政策を実行できるのも、それで効果をあげているのも、普段からの軍事教練で、全国民に国防思想を浸透させ、国家総動員で「有事体制」を構築できるようになっているからだろう。

こういう国と一戦交えるのは大変である。

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日本で徴兵制の議論をやると、非常に空虚な空理空論、時代錯誤な話ばかりやっているわけだが、私が留学だの中国での経験で見てきた「徴兵制の国の人たち」「学校で軍事教練を受けた人」の実例から考えると、「徴兵制の戦争抑止力はある」と思う。私個人のレベルでも、彼らとモメて勝てる気がしないし、国のレベルで考えても、日本は彼らと戦って勝てるような体質の国ではない。

異常に戦闘力の高い国民とか、国防思想を身に着け、有事体制に順能力の高い人々を身近に見ていると、日本はこれらの国とはもめずに、仲良くできる道を探った方がいいだろうな…としか思えないのである。さもなくば、日本もこれらの国と同じように、国民を鍛える他なかろう。