黒色中国BLOG

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中国のニセ乞食の見分け方

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上海にいる時は、大体3日に1度は福州路に行ってしまう。このあたりは、書店と文房具屋が多くて、美味くて安い飲食店も多い。一時期は、いつ電話しても私は福州路にいたので、福州路に住んでいるのと勘違いされていたこともあった。

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▲福州路で食事しようと思い歩いていると、誰かが倒れていた…見事な倒れっぷりであるが、これは乞食であろう。中国には芸をする乞食と、哀れを誘う乞食がいるけれど、これはその後者の方で、「もうダメだ…」みたいな、行き倒れ系の演出である。この人に近づいてみた。

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▲中国のこういう乞食のほとんどは、別に生活に困っているわけでもなく、「職業的」に乞食をやっている人だから、哀れんでお金をあげる必要はない…とよく言われる。そういう考えに良心が痛む人もいるだろうから、見分けのポイントを紹介しよう。

「ニセ乞食」の見分けのポイント

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▲この乞食は靴を履いていない。周囲に靴が見当たらないところから考えて、先ほどそばにあった荷物の中に隠しているのか。素足の方が通行人の哀れを誘うからだろう。そこで、この足にズームで寄ってみて、更に細かく観察してみた。

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綺麗な足である(笑)。実際にずっと素足で過ごしている人の足を見ると、こんなに綺麗なことはない。足の裏に泥を薄く塗って誤魔化している。ズボンの裾にドロは全くついておらず、汚れてもいないので、これは間違いなくニセ乞食であろう。

昔、北京で留学していた頃から、こういう乞食はいた。中国に来たばかりで、こういうことに慣れないうちは、すぐに同情して、小銭を渡そうとしてしまうのだが、毎日街を歩いている内に、同じ乞食がいつも同じ場所にいるのがわかるし、子連れの乞食が、別の日には別の子供を、もしくは子供が別の乞食についていることがある…子連れの方が同情を受けやすいので、中国の乞食の世界では子供のレンタルがあるらしい

「家に帰れないので8元恵んで下さい」の哀れな女学生

去年、広東を旅行した時も、深センの羅湖にある鉄道駅の近くで、物乞いをしている少女がいた。中国の学生がよく着ている学校指定のジャージを着て、今にも泣き出しそうな寂しそうな表情で、足を抱えて路上で三角座りしている。チョークで路上に事情が書いてある。金が無いだか、財布を失くしたかで、家に帰れないので8元恵んで欲しい…私が通りかかった時、同情した人が立ち止まって財布から金を出していた。

8元というのは微妙な数字で、乞食相手に10元札を渡して2元釣り銭を要求する人は少なかろう。こうしたことに同情して金を渡そうという人なら、10元札1枚を渡すだろうし、人によっては20元札(中国にはこういう額の紙幣が存在するのだ)を渡すだろう。

ただ、この少女はここにずっといて、どうやら毎日顔を出しているのである。私は都合あって香港と深センの間を何度か行き来したけれど、3回彼女を見かけた。

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芸をする乞食は、通行人の目や耳を楽しませて金をもらうのだが、哀れを誘う乞食は、通行人の慈悲心をかきたて金をもらい、通行人の良心を満足させるお仕事である。どちらも、通行人の心を豊かにすることで成立するエンターテイメントの一種である。

中国低層訪談録―インタビューどん底の世界

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 ▲こちらの第一章の「乞食の大将」では、本妻と2人の妾を持ち、マンションに住んで別荘も持って、豚の養殖を手掛けている…という「乞食」が出てくる。中国において乞食とはビジネスの1つであるようだ。このブログ記事は「ニセ乞食」と題したけれど、中国の乞食というのは、ほとんどがこのような「ショービジネス」であるから、全てが「ニセ」のようなものである。本当に困窮してお恵みを求めている人もいることはいるのだろうけれど、中国の乞食業界においては、そういう困窮者こそ「ニセモノ」になるのではないだろうか。