【マツタケ産業がチベット族居住地域の貧困脱却を後押し 四川省】
— 黒色中国 (@bci_) September 5, 2019
中国は世界最大のマツタケ輸出国で、四川省のマツタケ生産量は全国の約70%を占め、うちカンゼ・チベット族自治州の生産量は同省の70%も占めている。https://t.co/AROfUtgPrI
▲こちらのツイートが話題になっていますが、中国でマツタケを食べるのか?どんな食べ方があるのか?…と気になる人がいたようなので、ちょっと調べてみました。
【目次】
(1)マツタケの塩漬けの缶詰
私が初めて中国でマツタケを食べたのは留学中に吉林省へ旅行した時で、メニューに「松茸」文字が見えたので注文したら、出てきたのは牛肉と一緒に炒めたものでした。
松茸は細長く刻んでいたけど、少し塩っぱかった。店員に聞いてみると、これは松茸の塩漬けの缶詰で、あちらではたくさん取れるので塩漬けにして貯蔵し、料理に使うのだとか。マツタケ独特の香りもなく、歯ざわりはそこそこあったかな…でも、これは別にマツタケでなくてもいいんじゃないの?という感じの食べ物でした。
これは、大昔のことなので、もしかして記憶違いかな…と思い百度で検索してみると…
「盐渍」で塩漬けの意味。ありますね。私の記憶違いではなかったようです。
(2)中国マツタケ料理の世界
ただ、留学時代の缶詰の塩漬け松茸以後、私が中国にいても、松茸を見る機会も、食べる機会も全然ないのですね。
記事を見ると「中国は世界最大のマツタケ輸出国」とあるけど、その後に「ますます多くの都市住民が、栄養価が高くおいしい食材を好むようになった」とも書いているので、中国国内の需要もあるみたいなのですが。一体どんな料理にして食べているのか…
そこで、中国のクックパッドみたいなサイト「心食譜」でマツタケ料理を検索してみました。
▲こちらによると…
やっぱり、私が食べたような、肉と炒めるのが定番みたいですね。あと、スープに入れたりするみたいです。日本のように香りを楽しむとか、そういう食べ方ではないみたいです。
それと写真に「姫松茸」というのがありますけど、これは我々の知る「松茸」とは別のもので、ブラジル原産のものだそうです。
(3)「白玉松茸」とは
冒頭の記事に戻りますが、
中国は世界最大のマツタケ輸出国で、四川省のマツタケ生産量は全国の約70%を占め、うちカンゼ・チベット族自治州の生産量は同省の70%も占めている。マツタケを主とする天然の食用菌はこれまで一貫して同省チベット族居住地域の農牧民にとっての重要な収入源で、1年当たりの生産量は8千トン、地元の人々に10億元(1元=約15元)のマツタケ収穫による収入をもたらし、関連産業の生産額は20億元以上となっている。
とありました。チベット人が天然の松茸を採集する写真はないかな…と調べている内に気になる言葉が…
四川省のカンゼ(甘孜)・チベット族自治州の特産に「白玉松茸」というものがあるそうです。
▲こちらの説明を見ると、耳ぐらいの大きさで、軸が太く、肉質は純白できめ細かく、濃郁たる香味を具え…って、読んでいる内に、だんだんと食べたくなってきました(^^)
(4)中国で松茸は「糖尿病の薬」?
これらの情報に目を通している内に気づいたのですが、中国でも松茸は数が少なく、人工栽培ができないため、「二級瀕危険保護物種」に指定されており、5cm以下の未成熟な松茸は採取してはいけないそうです。
だから、「希少価値」がある点においては日本と同じなのですが、中国の松茸の情報を読んでいると、「薬効」に関するものが多いのですね。
さきほどの白玉松茸の説明を見ると…
松茸的营养价值很高,富含粗蛋白,粗脂肪、粗纤维和维生素B1、B2、维生素C、维生素PP等元素…
(松茸の栄養価値は高く、粗タンパク、粗脂肪、粗繊維とビタミンB1、B2、C、ナイアシンなどの栄養素を豊富に含み…)
とあります。そして薬効としては糖尿病に効くとか。
そういえば、中国は近年、経済発展のせいで糖尿病患者が増えています。
▲中国の糖尿病患者は世界の30%弱を占める…という記事。
そこで、松茸と糖尿病で検索しなおしてみると…
松茸は糖尿病に効く!CCTVでも紹介されました!みたいな記事がズラズラと出てきます。
そういえば…21世紀に入ってから、中国に行くと友人・知人の年配者からやたらと、「日本には糖尿病に効くものがないのか?」と聞かれることが多かったのを思い出しました。裕福になって贅沢して、糖尿病になる人が増えてきたのが原因でした。
たぶん…なのですが
- 中国国内でも最近はマツタケが食べられているけれど、記事に「都市住民」とあり、マツタケが中国でも希少で高価なものであるため、一部の富裕層の食材ではないか?
- 日本でマツタケはあくまでも珍味ですけど、中国では糖尿病に効く…という薬効の方が重視されている。
- 私の中国の友人にはそもそも糖尿病になる人もいないので、マツタケを食べる機会もない。
…ということじゃないかな…と思われます。
【おまけ】アマゾンにもありました!
四川のチベット族自治州の白玉松茸…日本でも通販してないかなぁ…と思い、ダメ元で探してみたら…
▲ありました!日本語訳がたぶん自動翻訳?みたいですごく怪しいのですがww
アマゾンの商品ページから写真をお借りしてよーく見てみますと…
▲(クリックで拡大できます)チベットっぽい字体のパッケージ。「康定」という字が見えますけど。これは「康定情歌」で有名なあの「康定」。
記事にも出てきた四川省カンゼ・チベット族自治州にあります。そこの会社が作ったフリーズドライのマツタケです。
▲(クリックで拡大できます)「康巴特産」とありますが、康巴とは四川省と青海省と雲南省にまたがるチベット族自治州のある地域を「康巴藏区」といいますので、そこの地域の特産であることを意味します。ただ、パッケージには「白玉松茸」とは書いてないのですね。
▲こちらが中身。真っ白だから白玉松茸?断定できませんけど、まぁとにかくニュースで紹介されていた四川省のチベット族自治州のマツタケは発見できました。日本でも入手可能なのですね。
ただ、お値段が異常に安いのですね。送料別でも880円。これはナマでもなく、冷凍でもなく、フリーズドライであるため、日本での価値がほぼない…そのためにこんな安価になっているのではないか…と思うのですね。そしてなぜこんな加工になっているのか…ですけど、たぶん中国でのマツタケは珍味として食感や香りを楽しむのは「二の次」で、あくまでも「薬効」が第一。スープに入れたり、水に戻して炒めたりする分には、ナマである必要も少ないのでしょう。それで、こうしたフリーズドライの商品になっているのでは…と思われます。