私が実名でスタートしてたら、たぶん1年続けられなかっただろうし、12年の間に3回ぐらい殺されてる自信はあるな。
— 黒色中国(新春快乐!) (@bci_) February 17, 2021
自分にそれだけの値打ちがあるとは思わないが、それだけ狂ってる人がここにはいる、という意味で。
この件について、続きを書きます。
【目次】
意外に身近な「言論弾圧」
私がツイッターを始めたのは2009年の頃、まだ北京五輪が終わったばかり、上海万博が始まる前…で、中国の経済成長が勢い良かった時期だ。
尖閣諸島中国漁船衝突事件(2010年)や、尖閣国有化、それに伴う反日暴動(2012年)が始まる前だったので、今ほど日本で反中言論が強くなかった。
日本全体が非常に親中的で、中国批判をするのは変な人…中国のごく一部の問題をオオゲサに言い立てて、ネガキャンをやってる頭のオカシイ人、みたいな印象があった。
だから、ツイッターで「黒色中国」という名前で、中国に批判的な内容をツイートしていると、いろんな嫌がらせにあった。
日本で「親中的な人」というのは、それなりに中国語も出来て、駐在経験があったりとかで、高学歴な人が多くて、こういう人たちは、上から目線で、「中国行ったこともない、中国語もロクにできない奴が中国語ってんじゃねぇーよw」という態度で、嫌味を言ってきたり、嫌がらせをしてくる。
ある時、随分とシツコク粘着してくる人がいたので、気になって彼のツイートをよく見ると中国人女性と結婚した人だった。同様のタイプは他にもいて、中国人のカノジョがいるとか、そういう人ほど、ツイッターで「反中叩き」に狂うケースがあった。
こういう人たちは、自分の愛する人への思いで、正義感にかられているから、使命感をもって、立ち向かってくる。中国人妻との間にもうけた子供がいたりして、リアルでは色々苦労されているのだろう。中国への批判を発信する者を、家族や愛する人、仲間を脅かす「敵」だと思っている。それについて、私は同情する立場なのだが、なぜか彼らはウラミ・ツラミを私にぶつけてくるのだ。
「言論弾圧」というと、オオゲサな気がするけど、そういう個人的な理由で、他者の発言を許せない!という人は、結構普通にいるのであった。
愛する人のため、ネット・ストーカーになる人
そこで、私が中国に留学したことがあり、中国に住んでいた…といえば、彼らの怒りも収まるのかと思って、それらのことを書いたのだが、それでまた怒り出す人がいたw。
「留学してたのに中国の悪口を言うのか!」
「老師や中国の友人に悪いと思わないのか!」
そういう風に言われると、私も心苦しいところはあるんだけどw、だから、中国を一切批判しません!中国がどんなに悪くても、私は良いところしか取り上げません!というのも変な話である。
その後、尖閣問題や反日デモが立て続けにあって、日本全体で中国への印象が悪くなった。反中の人が増えて、親中派の方々は、「本音」を言いにくい状況になった。
私は、親中派の人が中国の良いところ、素晴らしいところをつぶやくのは全然悪いことだとは思ってない。私だってやってるw。好きにやればいい。ただ、私の邪魔をされるのは面倒だな、と思っている。
反中とか親中とか、そういうのは「イデオロギー」的なものだと思われているけれど、実際にそれらの「思想」の根っこには、友人や恩師や家族や妻や恋人や子供が絡んでいて、友人・知人や肉親や愛する人のために、誰かを恨んだり、憎んだりする。全然、遠い世界の話ではない。人間とは、非常に人間臭いものなのだ。
知人に詰問された件
黒色中国を始めて2年ぐらい過ぎた後、リアルで面識のある知人から、「アレはオマエがやってんだろ?w」と言われたことがある。私はずっと誤魔化し続けて逃げたけど、この人は不快感をあらわにして、私に黒色中国をやめさせたいようだった。
その後、私はこの人物と疎遠になったので、それ以上の話には発展しなかったけど、他人がネットで発言していることに不快感を持つと、やめさせようとする人は実際にいる。私は、他人がネットでどんな発言をしようが、全然気にしない。勝手にやればいい、と思うけど、世の中にはそうじゃない人がいる。
自分が気に入らない言論は、世の中に存在してはいけないと考え、どんな手段を使っても潰そうとする人は普通にいる。別にそれはネトウヨ・ネトサヨでもなく、高学歴で、いいところにお勤めの人でも、「自分のは言論弾圧じゃないんだ」と思って平然と言論弾圧をやる。そんな事例を、ツイッターで山ほど見てきた。
だから、私は匿名でやってる。今後も、実名化することはないし、実名で黒色中国を始めていたら、たぶん1年も続かなかっただろう。
飛行機に乗って、家まで押しかけた人
2009年にツイッターを始めて、5年も経つと、私もそれなりに目立つようになって、あちこちからイベントや講演の「お誘い」を受けるようになった。私はたまたまその時に日本にいなかったり、仕事が忙しかったり、条件が合わなかったり、スケジュールが空いてなかったりしたので、参加しなかったが、その頃の私は、「もう黒色中国なんて変な名前はヤメて、実名化した方がいいんじゃないかな」と思っていた。
ただ、そう思っていた頃から、「黒色中国は中共工作員」というデマが大量に出てくるようになり、私のニセの実名、ニセの経歴、ニセの写真まで流されるようになって、激しいバッシングが止まらなくなったので、実名化どころではなくなった。
今でも私に関するデマを本気で信じている人は少なくないだろう。大量のブロックで彼らとの接触を封じているけど、時折、思わぬところから、異常な憎悪を突きつけられる。5年、6年、7年越しで、ずっと私を憎んでいる人もいる。
私は特に、自分が値打のある人間だとは思ってないけど、世の中には、想像を絶する狂気や憎悪や嫉妬が存在しており、実名で黒色中国をやっていたら、たぶんこの12年の間に、3回ぐらいは殺されていたんじゃないかな、と思っている。誇張抜きで、冗談でもなく。
実際、私に長年粘着している某人物は、同時に別の人にも粘着してたが、ツイートを調べて、住所を特定して、遠路はるばる飛行機に乗って、家にまで押しかけていた。
私は、家の所在地を特定されるような情報は一切書かないし、その「前例」を聞いてすぐ、「手がかり」につながるようなツイートは全て消去したので助かった。こんな話、ツイッターにはいくらでも転がっている。私が今まで助かっているのは、たまたま運が良かっただけのことだろう。
* * * * *
私がツイッターやブログでやってるのは、特に「言論」という程の大それたことではないと思うけど、そうであっても、これだけ面倒な目に遭うのだ。この世の中で「自分の意見」を述べるのは、とても大変なことだ。
たまに、匿名でネットをやることを、「卑怯者」呼ばわりで否定する人、バカにする人がいるけれど、たぶん、そういう人は、たまたま運がいいのか、自分の身を護るなんらかの方法を持っているのか、他者の言論を潰す側の人なのだろう。世の中には、匿名でしか発信し得ない言葉も存在するのである。
- 作者:中澤佑一
- 発売日: 2019/08/24
- メディア: 単行本