広州の一徳路にオモチャの卸売市場があり、以前、広州で時間があるとよくそこに立ち寄りました。
中国人向けのオモチャはもちろん、世界各国から仕入れに来るので、他の国に向けたものも売っており、日本の伝統的なオモチャもありました。
多種多様なオモチャがあって、ここを見ると「中国は世界の工場」というのがわかりやすく実感出来たのでした。
バイクに乗ったビンラディン
でも、たまに誰が買うのかよくわからないものがありました。
たぶん、これはウサマ・ビンラディンをモデルにしたフィギュアと思われます。
同じものかは不明ですが、今でも売ってますね。
それにしても、他にもフィギュアはあるのに、なぜビンラディンのフィギュアを選んで、バイクに乗せて飾っているのか。
この写真の撮影は2005年頃。米軍に殺害される前ですが、当時の中国では、他の場所でもビンラディンのイラストとかよく見かけました。中国では少なくない人々が、ビン・ラディンに好感を持っているようでした。
ビン・ラディンはなぜ中国で英雄となったか?
▲ビン・ラディン暗殺一週間後に発表された「ビン・ラディンはなぜ中国で英雄となったか?」という分析。個人のブログのようですけど、要訳すると…
- ビン・ラディン殺害後、QQ(当時中国で普及していたチャット)でビン・ラディンに哀悼の意を表する言葉や画像が多く見られた。
- 微博、BBS、ニュースのコメント欄で「登哥」(「登」は「ラディン」の「ディン」にあたり、「哥」は「兄貴」の意味。つまり「ビンラディン兄貴」という親しみと敬意を込めた呼び名)への支持と敬仰の言論が段々と増えてきた。
…とあります。
中国政府は自国内外を含めて、テロ行為を厳しく非難しつづけているが、一般庶民の間ではビン・ラディン容疑者について「大国である米国に立ち向かった英雄」、「男の中の男だ」といった評価も根強い。広告はビン・ラディン容疑者に対する「強い男」のイメージの利用を狙ったと考えられる。
▲こういうこともありました。
日本でも一部に、ビン・ラディンに親しみを持つ人はいたようですが、日本でビン・ラディンを広告に使う会社はありません。
上掲のブログでもその他の中国メディアの記事でも、ビン・ラディンは凶悪なテロリストであるとして、同情に値しないという…論説を出しています。
しかし、中国人の思考法としては、直接自分に危害を加えないのであれば、社会的な判断、倫理的な判断から切り離して、「個の存在」として、「大国である米国に立ち向かった英雄」「男の中の男だ」というように、好意的な評価するようです。
このビン・ラディンの一件は、当時私が中国人の性質を理解する上で、重要な手がかりとなったのでした。