【メンタルがヤバい時にオススメ】
— 黒色中国 (@bci_) December 9, 2018
・古鎮へ行く
・菜市場へ行く
・中国茶を飲む
・トマ玉を食べる
・中国語の文章を読む
・香港の街市で食事する
・CCTVのニュースを見る
・珍しい中国料理を食べる
・亀ゼリー練乳がけを食べる
・少数民族の女子と仲良くする
・中国で他に日本人が来ない土地を旅する
『メンタルがヤバい時にオススメ』というお題でのツイートが流行っていたので、私も即興でツイートしてみて好評だったのですが、人によっては「それってなんですか?」という反応もあったため、こちらで解説してみようと思います。
3番目のテーマは「菜市場」。似て非なる「農貿市場」と「交易会」も一緒にご紹介いたします。
【目次】
菜市場とは?
「菜市場」とは中国の食料品を売る市場です。日本の公設市場と同じようなもので、大体は建物の中に入っていますけど、たまに露天の市場もあります。
▲こちらは広東省某市の菜市場。中国の市場だと、日本みたいに肉を冷蔵ショーケースに入れず、その場でさばいたり、羽をむしったりで、販売しています。
▲市場によっては、通路が広めに取ってあって、自転車でそのまま入れるところもあります。いちいち屋外に自転車を止めて、購入した食料品を手に歩いて、また自転車の駐輪場に戻って…って面倒ですからね。
菜市場に行くと、その地域の食材、食文化などがよくわかります。いきなり旅行先でレストランに入って料理を注文するのではなくて、先に市場をのぞいてその土地の美味しい食材を知っていれば、注文する時に悩むことなく、「アレが食べたい!」と思いつくわけです。
農貿市場
似たような感じで、「農貿市場」というのもあります。またの名を「農貿自由市場」。新中国成立から改革開放が始まる前までは、農作物の自由な売買は制限されていましたが、改革開放以後に自由に販売できるようになり、そのための場所となったのが「農貿市場」。
行ってみたら普通の菜市場ともさほど変わらないのですが、こちらは農村から直接売りに来てます…という雰囲気が強いかな。ちょっと垢抜けない感じですが、そういうテイストがまた良かったりします。「改革開放政策」の起点ともなった場所ですので、一度は足を運んでいる方が良いです。中国の各地にもありますし、上海市内にもあります(上掲の写真の農貿市場は上海市松江区の九亭にあります)
交易会
「交易会」というと、広州交易会が有名ですけど、それ以外の地域でも交易会はやってます。単なる「見本市」みたいな意味ですから。菜市場や農貿市場は個人が日常の食事やら、飲食の業者さんが料理をつくるために買い物にいくわけですが、「交易会」で食品を販売する場合は、個人客もいるけど、あくまでも「見本市」なので、業者さんが多くて、先に紹介した2つの市場とはちょっと趣きが違います。B2B寄りですね。
▲たまたま通りかかったのですが、上海の街中の大きな会場を使って、生態農産品の交易会をやっておりました。こういうのがあれば、とにかく飛び込んでしまうのが黒色中国です(^^)
「一県一品」とありますけど、これは日本語でいうところの「一村一品」と同じ意味かな。中国全土からいろんな地域の業者が集まっておりました。この場合の「生態」は「エコロジー」という意味になります。
▲会場的にはこんな感じ。会場にブースを設けて、いろんな出展者が集まっています。
▲揚州の加工肉の出展者さん。ブタの顔を吊るしておりました。
▲ヤギ肉を販売するブース。「崇明」という字が見えますけど、これは上海の近く…長江の中に浮かんでいる「崇明島」という島のことです。
崇明島は一応は上海市の一部なのですが、昔の「下放」の時にたくさん若者が送り込まれた場所でもあります。「下放」といえば、辺鄙な田舎に送られる印象がありますけど、昔の崇明島は橋がかかっていなかったし、交通が不便で行き来が大変なので、上海の近くながら非常に辺鄙な場所だったわけです。
▲上海の上にある長方形の大きな島…これが崇明島です。
それだけ未開発の地域なわけですが、時代が変わって、逆に環境汚染が及んでいない=安全な農産品を生産している地域として注目を浴びていたりします。
上海市内を歩いていると、「崇島」の名前が入ったレストランとか、食品販売をしている店が結構あるのですけど、ようするに上海では「崇明」が「健康」「安全」の代名詞になっているわけです。
▲ちなみに、こちらの写真は私が崇明島に行った際に撮影したもの。こちらではオジサンがリードつけてお散歩させてますけど、放し飼いのもありました。川辺を歩いていたらイキナリ山羊の群れとすれ違ったのでビックリしました。崇明島は「島」ですけど、中国では海南島に次いで大きい島なので、こういう放牧?に向いているのでしょうね。というわけで、「崇明島といえば山羊」なのであります。
▲こちらは内モンゴル自治区からの出展者。この他にも幾つか内モンゴルの業者を見かけました。もしかして上海では内モンゴルがブームなのか…と思いましたが、どうやら中国人の食生活が欧米化するに従って、乳製品とかクッキービスケットなどの製品の需要が高まって、環境汚染がひどくない内モンゴルの製品が注目されている…みたいでした。
▲それと、最近の中国の市場のトレンドで言うと、「現場」(シェンチャン)というキーワードがあります。これは「その場で」という意味で、この場合だと五香粉を店頭で石臼を使って挽いて販売しております。スパイスの香りがブースの周辺いっぱいに漂って、私は単に旅行のついでに立ち寄っているだけなんですけど、つい買って帰りたくなりました(^^)。
これの何が「生態」か、ということになりますが、こうやって客の目の前で原料を見せた上で、眼の前で石臼で挽くわけで、余分な混ぜものとかの混入が無理だし、客も安心して買うことができる…だから、「安全」「安心」というわけです。
日本では今もなお、中国製の食品に対しての警戒感が高いわけですが、当然のことながら、日本人以上に中国人は自国産の食品への警戒感がある。その上で、豊かになったことで、健康志向や安全志向も高まっているので、こうした交易会が各地で開催され、賑わっている。
菜市場、農貿市場、交易会…こうした場所を歩いてつぶさに観察すると、中国ではいま何が作られ、どんなものが売れているのか、どんな売り方をしているのか…さまざまなトレンドが見えてきます。そうした中に中国人のニーズや社会の変化を知り、これからの日本はどうすべきかを考えるヒントにもなる。
こういう観察をやり始めると、「メンタルがヤバイ」とか言って落ち込んでいるヒマはなくなります。「市場」は現代中国のさまざまな要素が凝縮された場所なのです。
▲とはいえ、中国の市場にいきなり飛び込むのはちょっと…という人はこちらの写真集でもご参照下さい。島尾伸三さん、潮田登久子さんの共著による中国関連の写真集は他にも幾つかありますが、中国人の生活を知る上で参考になる情報がたくさんてんこ盛りになっています。