黒色中国BLOG

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【中国『反テロ法』施行後初の適用】ネットでイスラム国の映像を観た山東省の男性を拘束

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baike.baidu.com

中国の『反テロ法』(反恐法…反恐怖主义法)は去年12月27日に公布、今年1月1日から施行された新しい法律ですが、施行後初の適用がされたようです。

 以下、要訳します。

イスラム国の動画・音声をダウンロードして観ただけで拘束

www.rfa.org

  • 山東省済南市の公安局が、1名の男子を拘束。15日間の勾留。
  • この男子は壁超え(中国のネット規制を抜けて)をして、イスラム国のテロに関する音声や動画をダウンロードした疑い。
  • これは中国で初めての『反テロ法』の適用例で、反テロ法第80条第2項の規定「制作、传播、非法持有宣扬恐怖主义、极端主义的物品的」(テロリズム、極端主義を宣揚する物品の違法所持、制作、拡散)に抵触したもの。
  • この男性は、個人的な刺激を求めて、複数回にわたり、違法に国外のサイトにアクセスし、頭部の切断、イスラム国の戦闘などの暴力とテロに関する音声や動画をダウンロードした。

  • 今月2日から7日の間に、男性は5回、国外のサイトを訪問しており、テロに関する動画4つを視聴した。

反テロ法第80条を確認すると、情状軽微にして、犯罪を構成しない場合、公安機関によって10日から15日間の拘束、または1万元以下の罰金を処す…とあります。今回、拘束された男性はテロリストというわけではなく、単なる興味本位でしかなかったようです。

bci.hatenablog.com

▲去年、イスラム国が、中国語で聖戦を呼びかける歌を制作した時に、一体中国のどういう人が対象なのかと疑問でしたが、とりあえず今のところは興味本位の人ぐらいしか視聴しないようですね。

この件は、日本人のほとんどと関係ないと思われますが、中国国内にいる日本人が「壁越え」をして中国国外のサイトを見ることはよくあるもので、その時に、テロに関する情報があれば、今後、当局の捜査を受けるかも知れません。少なくとも今回の件で、反テロ法に基づくネット監視と捜査、拘束が行われているのは明らかになりました。

反テロ法施行後初の企業への適用例

この他、4月26日の発表で、広州市のホテルで、宿泊にあたり身分情報の登記をしていなかった人物が、テロとの関わりがあった…とのことで、『反テロ法』違反で10万元の罰金となっております。これは『反テロ法』施行後初の企業に対する適用だそうです。

近年、中国ではたびたび「テロ」とされる事件が発生しているので、『反テロ法』が成立したのでしょうが、当局は今後、この法律を積極的に適用するつもりなのかも。中国に滞在する日本人は、間違って「適用」されないように、気をつけた方が良いかと思います。

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