黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

中国人に「(あそこには)行かなくていい」と言われる場所

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世界新聞さんに、興味深い旅行記が掲載されておりました。

 

いわゆる、細菌戦の研究をしていたとされる731部隊の跡地にできた記念館の訪問記なわけですが、実は私もここに行ったことがあります。

私が訪問したのは前世紀90年代になるのですが、当時は特に大した展示もなく、パネル展示以外は、かつて731部隊が使っていたとされる古い試験管とか、なんらかの実験器具…べつにオドロオドロしいものではなくて、確か何かを暖めるヒーターみたいなものだったと記憶しているんですけど、そういうのがポツポツある程度でしかありませんでした。

館内にある売店のオネエサンが、やたらとシツコクお土産物を売りつけてきたのだけが印象に残ってまして、一番のオススメが、陶器爆弾のミニチュア。これって、ペストに感染したノミを飛行機でバラ撒くために使われたものなんですけど、それのミニチュアを日本人にさぁ買え!やれ買え!と強引にススメるのは、商魂たくましいのか、それとも、かつての「残虐行為」に恨みをもって、半ば当て付けの嫌がらせのつもりなのか…と不思議な気持ちになりました。これってたとえれば、広島の原爆記念館で、米国人相手に、広島型原爆のミニチュアを強引に売りつけているような構図ですから。

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▲再建された731部隊の建物

中国人に「行かなくてもいい」と言われる場所

私がハルピンへ行った時は、特に現地の知り合いもおらず、日本の友人と一緒に行って、タクシーで731部隊跡に直行しましたから、特に中国人から「(あそこには)行かなくていい」とは言われませんでしたけど、中国に長くいると、こういう体験は別のところでもあります。

中国人は、「日本は過去の戦争を謝罪していない」という思い込みが強く、日本人が過去の戦争犯罪について無関心であると考える人が少なくないわけですが、私が中国各地の抗日記念館に行ったことがある…という話をすると、中国人からは「なぜそんなにアチコチの記念館に行っているのだ」と不満なのか怒っているのか怪しんでいるのか…という声をよく聞きます。ようするに、「行かなくてもいいじゃないか」と。

上海の福州路にある上海書城という大きな書店の2階の奥に歴史関連のコーナーがあって、2005年の反日デモが活発に行われた前後には、ここにオドロオドロしい反日書籍が山積みにされてましたけど、そこに行った…という話を中国人の友人にすると、「あそこに行ったのか!どうしてあそこに行ったんだ!」と不満そうでした。あんなところ見ないでくれ、と言わんばかりに。

中国人が公的に受けている教育とかメディアでの印象では、「日本は反省してない!」という刷り込みがされているわけですが、実際に日本人が中国でそれらの記念館に行ったり、書店の反日書籍コーナーに行ったりすると複雑な思いを抱くのか、見て欲しくないものを見られた気分になるようで。

水島早苗さんの記事の中でも

せっかくハルピンに来たんだから楽しい思い出を作ってほしい、仲良くなったのに気まずくなるのは嫌だ

…という中国人の気持ちが書かれていましたけど、これは多くの中国人が持っている素直な感情です。中国人は、反日洗脳でいろいろ「頭」に刷り込まれていても、「心」は別と考えた方がいいと思います。

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