【「中国人のくず」と王毅氏 旧日本軍の軍服着用で】中国では最近、中国人男性が江蘇省南京市で旧日本軍の軍服を着たコスプレ姿で写真を撮り、インターネットに公開して15日間の行政拘留処分にされるなど、旧日本軍の愛好家の行動がたびたび伝えられ、波紋が広がっている https://t.co/WHf5Dx53QL pic.twitter.com/hJZmHPNVrZ
— 黒色中国 (@bci_) 2018年3月8日
▲こちらのニュースに大きな反響がありましたが、そもそも中国人がどうやって日本軍の軍服を入手しているのか…という疑問が寄せられましたので、こちらにまとめておきます。
【目次】
精日とは?
▲こちらの記事がちょうどこの問題を扱っていたので、要訳させていただきますが、まず「精日」の意味を説明すると、「精神的日本人」という意味になります。「親日」とはかなり違うニュアンス。王毅外相が「中国人のクズ」と批難したわけですが、「精日」にはつまり「中国人としての精神を持たない」という意味もあるように思います。
敗類とは?
ちなみに、王毅外相がいうところの「中国人のクズ」は、原文だと「中国人的敗類」と言います。これは中国語の中でもかなり厳しい表現です。
でもどうして「敗類」なんでしょう?
▲こちらによると
(集団内で堕落変節した)ろくでなし,裏切り者,人間のくず.
…と説明されています。
▲こちらによると、
败坏本民族的人。(自民族を敗壊する人)
…と説明されています。
「敗壊」は日本語にはないだろう…と思っていたら
▲あるんですねw。
つまり、
- 「敗類」=「自民族を敗壊する人」
- 「敗壊」=「そこなわれ、崩れること」
…ということで、そういう人は日本語に訳すと「クズ」になるのでしょう。
中国のどこで日本軍の軍服を売っているのか?
上掲の中文記事にもありましたが、ネットで売っています。
▲今とりあえず見つかるのはこれだけ。検索でなかなかひかからないようになっているので、南京での「精日」が問題になったのが原因で少し「配慮」しているのかも知れません。
▲こちらタオバオの販売ページのキャプチャですが、このように普通に売られています。1つ注目したいのは…
▲参考身長別でサイズがあって、160cmだと在庫(库存)が100着あります。
▲180cmなら1007着の在庫(!)。
▲お値段は75人民元(現在のレートで1311円)安い!
▲写真を見ると…参謀肩章がかかっているのですが、ペラペラの安っぽい感じです。
中国の「抗日ドラマ」を見ていると、こういう安っぽいペラペラの軍服を着た日本軍兵士が登場しますけど、たぶん…ネットで販売されている日本軍の軍服は、映画やドラマの撮影で使われる衣装が大量生産されていて(しょっちゅう抗日ドラマを作っている中国ではこの需要が常にある程度ありますから)、それらがネットに流出しているのではないかと思われます。
ネットで販売されているのが、映画・ドラマで使用されたものなのか、新品のものであるのかは不明ですけど、中国で「精日」に使用されている日本軍軍服の多くは、このような映像作品で使われているものが出処のように思います。
骨董品店で日本軍の軍刀?
10年以上前のことですが、深センの骨董品店で指揮刀のようなものを見たことがあります。お店の人に聞いてみたら、「日本軍のもの」という話でしたが、私はこの手のものに詳しくないので、真贋はわかりませんでした。
日本軍の軍刀が欲しい中国の友人
これも10年以上前の話ですけど、私の中国の友人から「日本に戻ったら、軍刀を買ってきてくれ」と頼まれたことがあります。
理由を聞いてみたら「日本の刀は世界で最もよく切れると聞いている」と。
彼は刀剣類のコレクターだったんですけど、「日本軍のものだけど、いいのか?」と聞いてみたら、「気にしない。オレは優れたもの、強いものが好きだ。どこの国のものかは関係ない」という答えでした。
これは軍服ではないですけど、「優れたもの、強いものが好きだ」という中国人がいて、日頃から抗日ドラマの悪役として、屈強な日本軍兵士を見ているため、歴史観抜きで、「日本軍兵士=強い」というポジティブな印象を持つ人が普通にいるのでしょう。こういう意識も、現在の「精日」の根底にあるのではないか…と思われます。
日本軍の軍服の使われ方
日本軍の軍服を屋外で着れば「クズ」と責められる中国で、そもそもネットで日本軍の軍服が売られているのが問題ではないのか…と誰でも思われることでしょう。
上掲の記事を読んでみると、中国で日本軍の軍服を購入する人の主な理由は、なんらかのショーで使われるそうで、1つの例として結婚式の時に使われたことが紹介されています。
毎日のように抗日ドラマを流している中国ですから、何らかのイベントの際に、悪役として日本軍兵士を演じるのが、特別なことではなく、ありえるのでしょう。
それと、
【8月27日、広東省のテーマパークにて】
— 黒色中国 (@bci_) 2015年9月2日
来園者が「抗日部隊」に扮して、捕虜にした「日本鬼子」に武器を向けながら園内を練り歩く…というもので、これも抗日戦争勝利70周年を「記念」したイベントだそうです。#抗日式典 pic.twitter.com/4q891w8wJ2
▲中国には、抗日戦争のテーマパークがありまして、そこで捕虜の「日本鬼子」(日本軍兵士のこと)が出てきますから、こういう需要もあって、中国国内では日本軍の軍服を今でも生産し、流通させる必要があるようです。
中共が政権の座にあり続ける「正当性」の1つとして、抗日戦争での勝利を強調し続けなくてはいけない事情がありあます。そこで、中共の引き立て役、「悪役としての日本軍」は中国社会で欠かせられないものになっていますけど、それを映画やドラマ、テーマパークで出演させる必要性から日本軍の軍服がいまだに製造・流通・販売され、結婚式の出し物にまで使われ、その裾野の1つに「精日」という現象も出てきたのでしょう。
そうやって事情を紐解いていくと、「中国人のクズ」を生み出したのは、他ならぬ中国共産党の一党支配が根源にあるものと思われます。
▲ちなみに、アマゾンでも日本軍の軍服が売られていますけど、説明を読んでみるとこちらも「中国製」だそうですw。中国において「抗日」は独裁政権正当化のプロパガンダであり、そこからコンテンツ産業を形成し、輸出産業にもなっているわけです。