【ダライ・ラマ後継、年内に協議開始も=中国介入を警戒-チベット亡命政府首相】チベット族の間で高齢を心配する声も上がっていることから「年末にダラムサラで開かれるチベット仏教の高僧会議で、後継者の選出方法を議論する可能性がある」と明らかにした https://t.co/PEixBIZdjO
— 黒色中国 (@bci_) 2018年3月10日
▲ダライ・ラマの後継問題は、この数年なんどかニュースになっておりますが、その度に「転生」に関する話題が出てきますので、こちらにまとめておきます。
目次
チベット仏教とダライ・ラマ制度
▲こちらは、2015年のダライ・ラマ14世来日の際に、ジャーナリストの相馬勝氏がインタビューした記事ですが、こちらに
- 「私の完全引退とともに、ダライ・ラマ制度も一時的にせよ、正式にかつ自発的に、誇りを持って終わりにしたいのです」
- 「チベット仏教は一人のラマ僧に代表されるようなラマイズムではなく、純粋な仏教なのです」
- 「チベットに仏教が伝えられたのは7世紀。ダライ・ラマ制度が始まったのは14世紀で、輪廻転生制度はほぼ400年続いています。」
- 「つまり、ダライ・ラマがいようがいまいが、チベット仏教の伝統は命脈を保つことになります」
…とあります。
つまり、チベット仏教は最初の7世紀間、ダライ・ラマ制度がなかった。でも、14世紀から始まって400年続いている…あれ、ちょっと計算が合わないような?
転生によるダライ・ラマの後継が始まったのは4世から
▲こちらを御覧いただきたいのですが、
▲歴代のダライ・ラマは都合15人いるわけですが、実際にこの制度が始まったのは3世からであり、1世と2世は3世から追諡を受けたものですから、ダライ・ラマ最初の転生者は4世からになります。
詳しくはウィキペディアをお読み下さい。
4世が即位したのが1592年なので、2018年の現在、ダライ・ラマの転生制度は426年の歴史があることになります。14世がインタビューに答えて「輪廻転生制度はほぼ400年続いています」というのは、4世からカウントしているからでしょう。
▲【参考】ダライ・ラマ4世(右)
仏教がチベットの国教になったのが779年なので、そこからカウントするとチベット仏教は1239年の歴史があるわけですが、ダライ・ラマの転生制度そのものは、その内の3割程度の歴史しかないわけです。
我々日本人としては、チベット仏教と聞けばダライ・ラマ、ダライ・ラマと聞けば転生制度を思い浮かべ、不可分の関係にあると思うわけですが、歴史的に見ればそうでもない…ダライ・ラマの転生制度よりも、チベット仏教の法統を護るのが重要…というのがダライ・ラマ14世の考えのようです。
後継問題の今後
では、ダライ・ラマの後継問題が今後どのようになるのかを簡単にまとめておきます。
【民衆が方法決めるべき 後継者選びでダライ・ラマ】この日は、「わたし自身が口をはさむべきではない」とした上で「ダライ・ラマ制度が存続すべきかどうかを含め、チベットの民衆が決めるべきだと考えている」と説明した。 http://bit.ly/c2athp
— 黒色中国 (@bci_) 2010年6月26日
【ダライ・ラマ、引退表明の真意】…政治から身を引いて亡命政府を民主化することで、後継者をめぐる中国との争いを封じるのが真の狙いだ http://bit.ly/gM89ty
— 黒色中国 (@bci_) 2011年4月25日
▲これらをみると、中国のチベット弾圧を封じ込めるために、現在のダライ・ラマへの属人性が高い状態から、亡命政府に民主主義を導入し、「チベットの民衆が決める」主権在民の法人格の高い状態にチベットを改革しようという考えが見えてきます。
【ダライ・ラマ14世、年内にも後継者選び「輪廻転生」制度議論開始 女性後継者も視野】後継者選びである「輪廻転生」制度について、年内にも高僧による会議が始まり、制度の是非などについて議論されるとの期待を示した上で、廃止の可能性も示唆 https://t.co/SJtifoF116
— 黒色中国 (@bci_) 2017年4月13日
▲こちらによれば、「女性後継者」もあり得るようです。
【ダライ・ラマ、80歳の祝賀に8千人「チベットの光であり、魂」インドの亡命政府拠点】自らの死後に伝統的な後継者選び「輪廻転生」制度を廃止する考えを表明。亡命政府によると自身が90歳になる頃に同制度の在り方に結論を出す方針 http://t.co/IsKK340hyj #TIBET
— 黒色中国 (@bci_) 2015年6月21日
▲こちらは2年前の報道。
「(14世が)90歳になる頃に同制度の在り方に結論を出す」とありますが、14世は1935年生まれなので、90歳になるのは2025年。本当ならあと7年の猶予があるわけですが、最近14世の健康状態が優れないため、前倒しで後継制度の議論が始められた…というわけなのでしょう。
- 作者: 石濱裕美子
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