【日本アパホテル会長「中国人の予約は受けない」】『日本では言論の自由が保障されている。一方的な圧力のために主張を撤回することはない』…中国旅行会社の大々的な「不予約運動」にもかかわらず、アパホテルと元谷会長は不動の姿勢だ https://t.co/2qzWaZwczl
— 黒色中国 (@bci_) 2017年1月24日
この数日、アパホテル問題がずっと続いていますけど、今日はこちらのニュースが話題になっていました。
▲元は中央日報日本語版(※中央日報は韓国の新聞社です)の記事。(1月24日午後4時8分現在、こちらは削除されています)
23日の中国共産党系『環球時報』によると、元谷会長は最近、右翼関係者らが開催したあるフォーラムに出席し、「(客室から書籍を)撤去することは考えておらず、中国人の予約も受けない」と述べた。多くの中国旅行会社がアパホテルを予約リストから削除したことに対抗したのだ。
ただし、「中国人の予約も受けない」と、国籍を理由に宿泊を拒否するのは、旅館業法違反になる可能性があります。
思想は右寄りにしろ、長年ホテル業を営んできた元谷会長がそんな発言をするのかな?…というのが気になったので、確認してみました。
【目次】
なぜ「フォーラム」の名称は伏されたのか
▲こちらは中国語のニュース。元は環球時報のものです。タイトルを訳すると、「日本の右翼ホテル社長が、本の撤去を拒絶、中国人の予約も受け付けないとわめき立てる」というもの。
中央日報のニュースを見ると、
元谷会長は最近、右翼関係者らが開催したあるフォーラムに出席し
とありましたが、フォーラムの名称が伏されています。ただし環球時報の報道では、
第68次“胜兵塾”例会上的致辞
(第68回勝兵塾例会での挨拶で)
…とあります。なぜ中央日報はこれを書かなかったのでしょうね?それはともかく、こちらの動画を探してみました。
第68回勝兵塾月例会 塾長開会の辞
▲問題の発言はこちらの動画の5分33秒のところから始まります。
以下、書き出してみると…
ただ、営業的には、いまサイトが止まっている状況ですから、予約ができないと。アパの公式サイトからの予約ができないと。中国からも、予約しようとしたら、その…あれが…予約を受け付けない…と。というようなことでですね、いくらかのダメージは受けるかも知れませんが。
私は、元谷会長のこの動画を通しで2回、当該部分を繰り返し10回以上は聞きましたけど、これは文脈的に考えて、「予約を受け付けることができない」と発言しているのであり、「中国人の予約は受けない」と中国人の宿泊を拒否しているのではありません。
これは故意に捏造したのかも知れませんが、元谷会長のスピーチは滑舌が悪いので、環球時報の記者が動画を見た際に、日本語の聞き取り能力が拙くて、意図を掴みきれなかったのかも知れません。
▲参考写真:アパホテル元谷会長(上掲の動画より)
ソースロンダリングにご注意
この手のニュースが出てきた場合、ソースがどこなのか注意する必要があります。
今回の場合、
- 中央日報日本語版が環球時報を引用し、フォーラムの名前を伏せて報道(しかも自分で取材してない)
- ソースとなった環球時報も動画をみただけで、直接の取材はしていないし、発言の全文や前後を紹介していない。
…という状況だったので、怪しいと思って確認してみたところ、案の定でした。
このように、直接取材していない引用での報道、その引用元も、ちゃんと本人に取材してないし、発言の全文も公開していない…というケースの場合は、ソースを確認しないと、うっかり乗せられてしまうわけです。
追記1:日本語での報道は削除
このブログ記事を公開した直後、中央日報の記事は削除されました。
▲ググると情報は残っているのですけどね…同じく、転載していたヤフーも既に削除しております。訂正記事は出されるのでしょうか…
追記2:環球時報の動画付き報道
環球時報による動画付きの報道もありましたので、こちらを確認してみます。
▲こちらに転載されている元谷会長の動画は一部短縮されていますが、3分33秒から問題の箇所が始まります。
▲元谷会長の「中国からも、予約しようとしたら、その…あれが…予約を受け付けない…と」の箇所の発言を見ると、中国語訳の字幕は正確につけられています。
「即使在中国提出了预约申请,但是也没法预约成功」とは、直訳すると「中国で予約申請を提出しても、予約を成功させられない(不可能である)」という意味です。
つまり、動画を聞き取ってそれを中文に翻訳する作業においては、ちゃんと元谷会長の発言意図を掴んでいることになりますが、環球時報の報道内容を確認すると
“中国的网站就是有人想预定我们酒店,也不接受订单。”
(中国のサイトで我々のホテルの予約をしようとする人がいたとしても、注文を受けない)
…とあります。
この中国語の「不接受」は、日本語では「拒絶」する意味になります。
動画の聞き取りと翻訳作業をしている時点では、正確だったけど、記事執筆時に間違いが生じた?みたいです。
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