【ネット規制、さらに強化=VPNを許可制に-中国】『ネット情報の安全管理強化を名目に、来年3月末まで不正取り締まり』…今回の通知は、習近平指導部の2期目の人事を決める5年に1度の共産党大会を秋に控えた言論統制強化の一環とみられる https://t.co/sYGVLAGg5i
— 黒色中国 (@bci_) 2017年1月23日
昨日、最も話題になったツイートはこちら。中国に行くことがある人、住んでいる人などの「当事者」だけが困る話だから、あまり興味を持つ人はいないのでは…と思いましたが、ツイッターの「トレンド」にも選ばれていたので、かなりの反響があったようです。
2018年3月末までの処置
2つ目のツイートでも抜粋しておきましたが、今回のVPN全面禁止は「習近平指導部の2期目の人事を決める5年に1度の共産党大会を秋に控えた言論統制強化の一環」なので、来年の3月末までの処置となっています。
VPNとは何か?
ツイッターをやっていると時折(年に2~3回)、「中国にいるのにツイッターができるなんて怪しい!」と疑いをかけられることがあります。疑いをかけてくるのは、大体が日本の愛国的な人ですね。私がネット規制を回避してツイッターにアクセスできるのは、中国の工作員だからだ!…とか、そういう荒唐無稽な妄想をしているようで…。実のところ、私もずっと中国にいるわけじゃないんですけど。
確かに、中国ではツイッターやフェイスブックなどへの接続は制限されているのですが、以前から幾つか制限を回避する方法はあって、その内の1つがVPNというものです。
ややこしいものなので、何と説明すれば良いのか困るのですが…
▲このあたりを参考にしていただければ、わかりやすいかと思います。
私は中国でツイッターにアクセスする時は、上掲の筑波大学とか、その他幾つかのVPNサービスを併用するようにしています。
VPNといえども、これで絶対にアクセスできる!というものではないので、複数を使い分けていますが、その上でもアクセスできない時はあります。たとえば、6月4日(天安門事件の日)の前後なんかはアクセスが厳しくなることがありました。
今回の処置が、具体的にはどのような障害をもたらすのかまだ不明ですけど、たぶん今後も「抜け道」はあると思うのですね。それに、来年3月末までの処置ですから、私としてはあまり深刻に受け止めていません。
中国にいる時に、ツイッターができなくなったら、それはそれで気が楽なので、休暇のつもりで、本でも読んで過ごそうと思っています。
中国でのVPN使用状況
RFAの記事から幾つか要訳すると…
- ニューヨーク・タイムズによれば、中国のVPN使用者は1.4億人であり、その内の20%が動画の視聴や買い物での利用である。
- 約7千5百万人が、アクセスを制限されたSNSを利用しており、アクセスを制限されたニュース・サイトを見ているのは5千万人にのぼるという。
「ニューヨーク・タイムズ」で思い出しましたが、先月このようなニュースがありました。
【重要】『アップル、中国でNYタイムズのアプリ削除』NYタイムズは2012年「庶民の味方」のイメージがあった当時の温家宝首相一族の巨額蓄財を報じた。その後は中国本土からの同紙ウェブサイトの閲覧を遮断…アプリは抜け道の一つになっていた https://t.co/8PnNYoHTQt
— 黒色中国 (@bci_) 2017年1月6日
中国政府は、今年に入ってから、特に海外の情報が検閲を受けずに中国国内に入ってしまうのを恐れて、いままで「抜け道」になっていたアプリやVPNも徹底して塞ぐつもりなのでしょう。
秋に共産党大会があり、習近平指導部の2期目の人事があるので、敏感になっているそうですが、温家宝一族の巨額蓄財をすっぱ抜かれたようなことが再発するかも…という懸念があるので、最近の中国政府はネット規制に力を入れているのでしょう。
「政権の安定」のためにネット規制を強化するのでしょうが、このために1億4千万人が窮屈な思いをするわけですから、返ってその方が社会不安のタネになるんじゃないでしょうか。