黒色中国BLOG

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ニコンD3400研究(3)新旧標準ズームレンズ対決!「神レンズ」vs「爆速レンズ」

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D3400は発売時に何かとケンケンガクガクの議論になったカメラで、バッテリーの持ちが良くなったと言ってもストロボ小さくして消費電力を誤魔化したダケじゃないか!イメージセンサークリーナー未搭載じゃダメだ!SnapBridgeは使い物にならん!…みたいな話がありましたけど、私は内蔵ストロボをあまり使いませんし、長期旅行に持っていくのが前提なのでバッテリーは4つ用意して、撮影時は常に予備を1つ携行しているし、イメージセンサークリーナーは前回の通り、エアフローコントロールシステムが効いているみたいなので、特に無くても大丈夫だったかな…と思うわけです。SnapBridgeは、初期の頃アプリに問題があったとか。今でもたまに設定とBluetoothの認識でまごつくことはありますけど、それさえなんとかなれば、普通に使える便利な機能です。

D3400で私が最も気になったのは、Dタイプレンズの対応をやめてしまったこと(AFはもちろん、露出が連動しない)、そして新たにキットレンズの標準ズームとして登場したAF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR(長いので以下「AF-P」と略します)の実力が実際はどうなのか…ということなのでした。

【目次】

1)「神レンズ」と「爆速レンズ」

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▲ニコンDXエントリークラスの標準ズームレンズ。左は2016年9月発売のAF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR。右は2014年2月発売のAF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR II。

▲こちらでも書きましたが、私はD40を使っていた2014年に、標準ズームをAF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR IIに買い替えたのですが、これが強烈な「神レンズ」だったので、D3400で新しい標準ズームに移行するのが悩ましかったのですね…

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▲ちなみに私はAF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR II…って名前が長すぎるので、「沈胴VRII」(ちんどうぶいあーるつー)と呼んでいました。VRを採用した標準ズームレンズとしては二代目で、沈胴機構が初めて採用されたDXの標準ズームレンズでもありました。こちらでも今後「沈胴VRII」と呼びます。

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▲でも、D3400と同時に発表されたAF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR爆速という噂で、実際はどんなものなのか…と思っている時に、以下の比較動画を見つけました。

最初の木と草にピントを合わせている動画ではわかりにくいのですが、次のレンズと人形にピントを合わせる動画ではAF-Pの爆速ぶりがよくわかります。

それと、沈胴VRIIだと、この動画でもわかるように、超音波モーターの独特の変な音と、フォーカスに迷う動作がありまして、あれが何かとイライラさせられたわけです。

AF-Pだと、音もなく瞬間でピントが合うので、おお!これはすごい!と思い、D3400本体のみの価格にプラス1万円ぐらいで、ダブルズームキットが買えちゃうので、ダブルズームキットを購入したのですが…

2)AF-Pの描写が好きになれない(レンズ構成比較)

やっぱりレンズって満足のいく描写が出来るのが大前提で、フォーカスが速いとか、音が静か…というのは二の次だと思うのですね。

AF-Pは確かに速い。沈胴VRIIみたいにイライラくる「キュルキュル…」という音も出ない。でも描写が納得できませんでした。D3400購入後、AF-Pを使って何千枚と撮りましたけど、ものすごくフラストレーションがたまる描写ばっかりでした。

それに色乗りもイマイチ…新しいAF-Pの標準ズームレンズって、非球面レンズが2枚になっているので、描写には期待していたんですけどね…

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▲【AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRのレンズ構成図】9群12枚で非球面レンズが2枚使用されている(ニコンのサイトより引用

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▲【AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR IIのレンズ構成図】8群11枚で非球面レンズは1枚しか使用されていない。これだけ見ると、AF-Pの方が良さげなのですが…(ニコンのサイトより引用

あの鬱陶しい「キュルキュル」の音がキライなので、D3400購入以後、沈胴VRIIは使わなかったんですけど、AF-Pの描写に耐えかねて沈胴VRIIを再登板させてみたら、やっぱり写りがいい。沈胴VRIIを常用レンズとして復帰させることにしました。

3)ズームリングの滑らかさ…そしてロック解除ボタンの問題

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▲こちらは沈胴VRIIですけど、ズームリングの動作が滑らかで、微妙な抵抗感を残してくれているのが好感をモテます。AF-Pはズームリングを回すと、スカスカで好きになれません。

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▲それと、沈胴VRIIもAF-Pも共に沈胴タイプで、使用/収納する時は、この「ロック解除ボタン」を押してやるわけですが、AF-Pのボタンは「軽め」で、ズームリングを動かした際に少しでもボタンに触れると「18」より右側に動いて(つまり収納状態じゃないけどロック側に動いている)ので撮影できない…シャッターが切れない…ということが何度かありました(こちらも写真は沈胴VRIIです)。

沈胴VRIIは長年使っても、そういうトラブルは皆無だったので、これはショックでした。AF-Pって「爆速」の部分にかなり重きを置いた結果、他は疎かになった…という印象です。

※細かに観察すると、AF-Pのボタンは、スプリングが柔らかく「押し幅」が浅め。沈胴VRIIはスプリングが固くて「押し幅」が深め…でした。道理でAF-Pだと少しボタンに手が当たっただけで、ズームリングがL側に行っちゃうわけです。

4)MTF曲線の比較

AF-Pと沈胴VRII…この2つの標準ズームレンズの描写能力は、撮影した写真を見れば明らかなのですが、ここで私の下手くそな写真をお見せするのも何ですし、客観的な情報を挙げた方が良いと考え、ニコンのサイトからMTF曲線の図を拝借してきました。

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▲AF-PのMTF曲線図

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▲沈胴VRIIのMTF曲線図

MTF曲線でみれば、沈胴VRIIの方が明らかに上ですね。描写性能に違いを感じていたのは正しかったのです。

5)フード形状はAF-Pがカッコいいものの…

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▲AF-Pの方がフードが角ばった形状でカッコよかったりするんですけどね(HB-N106)…ただ、ツヤ消しのマットブラックで傷つきやすく、安っぽい印象があります。

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▲こちらは沈胴VRIIのフード(HB-69)。単純な花形フードですけど、表面の仕上げがエンボスブラックというのかな…細かい文様が入った黒で、傷が目立ちにくく、反射もない…高級感がありますね。

6)その他、外観の違い

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▲ズームリングの焦点距離の数字をよく見ると、沈胴VRII(左)の方が数字が大きく、AF-P(右)の数字は小さいのがわかります。視認性の良さは沈胴VRIIの勝ちです。

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▲ささいなことですけど、沈胴VRIIのネームプレートは金色の文字に少し厚みがあって立体ぽくなってます。

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▲AF-Pのネームプレートの金文字は平べったくて安っぽいです。

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▲レンズのマウント部を見ると、沈胴VRII(左)は、レンズ周りの部分に溝が入っていますが、AF-P(右)は溝がなくて、一部が段になっているだけ。そのかわり、AF-Pの方は長方形の「枠」が入っているものの、全体的に見た時に沈胴VRIIの方が「金のかかった」つくりのように思います。

※沈胴VRIIはフルサイズでも使える?という説があり、AF-Pではそれを防止するために枠をつけたのかなぁ…と愚考します。機会があったら検証してみようと思います。

【結論】速度と静音性のAF-P、描写と操作感の沈胴VRII 

結論を言うと、フォーカスの速度と静音性を求めるならAF-P、描写性能と操作感を求めるなら沈胴VRII…ということになるかと思います。

私としては沈胴VRIIを選択するものの、動画撮影はAF-Pの方が向いていると思います。動画撮影時にフォーカスがなかなか決まらなくてピントが行ったり来たりするのは困りますし、沈胴VRIIだとあの独特の「キュルキュル」という音が動画の音声に乗るんじゃないか…と心配ですから。

私の場合、D3400で動画の撮影はほぼしませんし、写真撮影時にロック解除ボタンにうっかり触れてシャッターを切れない…というのは困りますので、やっぱり沈胴VRIIを選択することになるのですが、この2つの標準ズームレンズは、一長一短で、同じくエントリークラスの格安レンズながら、指向性がかなり違う、個性的なレンズですね。沈胴VRIIの方が2年古いと言えど、全ての面でAF-Pに劣っている…というわけではないのです。この2つのレンズは、特徴をよく理解した上で、使い分けたいレンズでもあります。

【おまけ】沈胴VRIIの修理対応期間、現在の販売状況

ニコンに確認したところ、沈胴VRIIの修理部品保有期間は2024年12月まででした。OH費用は1万4千3百円だったかな…あと6年近くありますので、数年置きにメンテナンスに出しながら、大切に使い続けようと思います。

既に生産終了になったものの、キットレンズになっていたこともあって、まだ新品もたくさん残っているみたいです。中古も数が多くて現在8000円台から買えるので、美品もゲットしやすく、欠点をわかった上で使いこなすなら、お得なレンズと思います。