【ハノイ時事】ベトナム紙タインニエン(電子版)は20日、南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の中国が実効支配するヒューズ(中国名・東門)礁で、9階建ての施設が完成間近だと報じた。同紙記者が14日、接近して確認した。中国が南シナ海の人工島などで建設している他の施設と同様、壁は白塗りで、監視塔やアンテナを備えているという。
記者が接近して確認…ということは、写真を撮影しているはずです。まずはベトナム紙タインニエンのウェブサイトから探してみます。
ベトナム紙タインニエンの記事
▲簡単に見つかりました。写真が7枚掲載されています。大きな建物の他に、アンテナタワーと、レーダードームのようなものも見えます。
ヒューズ礁の位置関係
ヒューズ礁の位置を確認してみたら、ベトナムよりもフィリピンやマレーシアの方に近いですね。
https://goo.gl/maps/y2ZBKJxbyp62
▲グーグルマップへのリンクはこちら。グーグルマップの衛星写真で見ると、建設中の中国の施設が見えますが、あまり鮮明ではありません。
グーグルアースで確認すると、現地の写真が出てきますけど、最新のものにはなっていません。
ウィキペディアと百度百科の記載
ウィキペディアの記載はアッサリしたものですが、
2014年から2015年にかけて、中国がこの環礁を埋め立てて人工島を建設しており、その面積がに75,000㎡に拡大している
▲という情報があります。
▲そのあたりを百度百科で確認すると、「歴史沿革」の項目に、
2012年建好了380平米的混凝土平台。
2013年底,中华人民共和国开始填海造陆工程。
2012年に、380㎡のコンクリートの土台が出来て、2013年末に埋め立てを開始した…とあります。1988年のスプラトリー諸島海戦でベトナムから中国が分捕った岩礁ですが、開発は4年前に着手したばかりだったようです。
埋め立て状況の写真
▲「中国東門礁は3年で200倍に拡大した」という中国の記事。こちらでCSIS(戦略国際問題研究所…米国のシンクタンク)が収集した衛星写真で、ヒューズ礁の埋め立て状況を解説しています。
▲同ページより2014年9月25日撮影のヒューズ礁。海上に出ていた岩礁は小さいものでしたが、埋め立てをするとかなり大きくなるようです。
建設中の写真に「固定火力点」?
▲こちらに、ヒューズ礁に建設された建物の、建設中の写真があります。
▲そのうちの1つですが、建物の四隅に「固定火力点」(原文の中国語のまま。たぶんトーチカみたいなもので、なんらかの武器が備え付けられているものと思われ)が設けられています。
▲冒頭で紹介したベトナム紙に掲載されていた写真で確認すると、建設中の写真で「固定火力点」と説明されていたのは、赤丸で囲った部分になります。写真が小さすぎて正確にはわかりませんが、上に何かが備え付けられていますね。
写真で見る限りは特にこれといった武器はまだ見当たりませんが、たぶん近い将来ここも軍事目的で使用されるのは間違いないかと思います。
追記:高射砲塔について
そういえば、ヒューズ礁の建物は、その構造がなんとなく高射砲塔っぽい?ような気もします。一応ご参考まで。
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