黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

『日本軍沈没船に中国国旗 パラオ・コラール島沖』の真相を探る(追記4つ、後記あり)

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表題の件は、昨晩から話題になっていたが、YOUTUBEに水中撮影の動画がアップされているので見ていたら、どうやら単純な話ではないことがわかってきた。

天皇皇后両陛下が来月、慰霊のため訪れるパラオで、海中に沈む旧日本海軍の給油艦「石­廊(いろう)」の船尾付近に中国国旗が結び付けられているのを、21日に取材で潜った­共同通信記者が見つけた。「石廊」は太平洋戦争中の1944年3月に米軍の攻撃で沈没­した。パラオ・コロール島の南西約8キロ、水深約26メートルの海底で当時の船体をと­どめ、人気のダイビングスポットの一つだ。

天皇皇后両陛下が来月パラオを訪問される時期に、こういうことが発見されるのは、偶然に時期が重なったのではないか…と思ったりもする。というのも、先月中旬に春節があったばかりなので、たぶんその頃にパラオを訪れた中国人観光客が、このようなことを「イタズラ」のつもりでしたのではないか…と考えたのだ。でも、どうして外国へダイビングに行くのに、国旗なんかいちいち持っていくのだろうか?いや、それ以前に不自然な点が出てきたのだ…

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上掲の共同通信の動画の36秒あたりでこのようなテロップが入る。

「中国国旗は幅約1メートル。針金と白い結束バンドで取り付けられていた」

この中国国旗を取り付けた人物は、わざわざ針金と結束バンド(たぶんタイラップのことでしょう)を用意していたのだ。

[ バイクパーツセンター ] タイラップ 7.6×350mm 白 100本セット

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 ▲タイラップとはこういうもの。入手困難なものではないが、何処にでも売っているようなものではない。

そして…

私はダイビングをしたことがないものの、プールで潜水するのが好きなので、飛び込み台の下あたりで深く潜ったことがある。確かに4メートルにもなるとかなり苦しくなってくる。

両氏の証言がどこまで正確なものなのか…ダイバーズウォッチを2つ持っていても、一度もダイビングをしたことがない私には判別つかないのだけれど、確かに4メートル潜った経験から考えても、簡単ではないことがわかる。

▲調べている内にわかってきたのだが、中国人が水中で国旗掲揚するのは珍しいことではないらしい。とにかく中国人のゆく先々、ありとあらゆる場所において、五星紅旗が掲げられていなければ、不安を感じるような強迫神経症が中国人にはあるのかも知れない。

でも、もしかしたら、そういう中国人がダイビングでパラオにやってきて、たまたまあった沈没船に五星紅旗を掲げただけではないか…と思ったのだが…

 このパラオのダイビングスポットは中国のネットで5年前からも紹介されているものであり、日本軍の沈没船であることが明記されている。やっぱり、今回のパラオの件は、あの海域に沈んでいる船が日本軍のものであることを知っていて、針金とタイラップと五星紅旗を用意して、ことに及んだのではないか。観光客のちょっとしたイタズラ、というものではないようだ。

今日は朝からこの件について、ツイッターでかなり賑わっている。日本人としては侮辱的に感じて当然であるし、天皇皇后両陛下の来訪前であるから当て付けのようにも思える。しかし、重視すべきはパラオの立場ではないか。水中といえども、自国の領海内に勝手に国旗を掲揚されてしまっているのだ。

中国人観光客のマナーが悪い、ゴミを散らかす、並ばない、順番を守らない、トイレの使い方が汚い…というのはまだ文化の違いと思えるけど、今回の「海中国旗掲揚」は、日本とパラオに対し、用意周到に行われた計画的な侮辱行為ではないか。「観光」と「マナー」の枠を大きく逸脱した、故意による異常行動といえる。

中国人による「海中国旗掲揚」は、パラオ以外の場所でも行われているのではないか…と思ったが、検索してみたところ、今のところは中国国内の事例ぐらいしかみつからない。でも、沖縄にダイビングでやってくる中国人もいるそうなので、もしかしたら沖縄周辺の海底では、既に五星紅旗が掲揚されているのかも知れない。

こういうことをいちいちあげつらうのは、バカバカしいとは思うものの、放置して増大すれば、いつかは明るみに出ることである。その時には日本人の大きな反感を巻き起こすことになるだろう。

中国人観光客の大半は、マナーが悪かったとしても、こんな異常行動とは無関係なのである。今回のパラオの件をもってして、中国人全体を差別するのは間違いだろうが、このような異常行動に対してきちんと異議の声を上げて、再発を抑止しておかねば、いずれは中国人全体が異常な存在として認識されるようになるだろう。

追記:中国人の「水中国旗掲揚」について

ツイッターで質問があったのだが、このブログにも貼り付けているツイートに含まれる4つの写真について誤解のないように、こちらでも順を追って説明しておこうと思う。

今回のパラオの件で、中国のネット情報を探っていると、水中で国旗掲揚する類の写真がやたらと出てきた。どうやらちょっとしたブームみたいになっている。中国人が水中において国旗を掲げるようになった、そもそものルーツは何だろうか…と思うのだが、

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▲そもそもはロシアが深海探査艇を使って、北極海の海底に国旗を挿した(2007年)のがキッカケになっているのではないか…と私は考えている。これ以前に中国で海中において国旗をどーのという話は、ネット上では見つからない。私の探し方が拙いのかも知れないが、もしご存知の方がいらっしゃったら教えて下さい。ちなみにこちらのロシア国旗はチタン製らしい。深海の水圧で潰れないようにするためであろう。

www.afpbb.com

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▲そして中国も2010年7月に、「中国南海」(南シナ海)で深海探査艇を使って海底に国旗を立てている。

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▲ダイバーが中国国内の海中で国旗掲揚するようにもなり…(2009年、海南島)。

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▲それから、なぜか水族館の水槽の中でも国旗を掲揚するようになった(2011年、上海)

ちなみに海中において国旗を掲揚することを中国語では「海底升国旗」「水下升国旗」などと言う。明確に何が原因でこの奇妙な儀式が始まったのかは不明なのだが、この数年、中国では海中なり、海底において国旗を掲揚するのがちょっとしたブームになっており、今回のパラオの件も、その流れを汲んだものではないかと思われる。(3月23日)

追記:日本軍沈没船の水深について

あとでBar Hopper氏からの連絡で気づいたのだが、産経の記事によれば…

www.sankei.com

石廊は太平洋戦争中の1944年3月30日に米軍の攻撃を受け、多くの乗員と共に沈没した。パラオ・コロール島の南西約8キロ、水深約40メートルの海底で当時の船体をとどめ、人気のダイビングスポットの一つだ

 …とあるものの、同時に写真キャプションでは

パラオ・コロール島南西約8キロの水深26メートルで撮影した、旧日本海軍の給油艦「石廊」に結び付けられた中国国旗

 とある。船底は海底40メートルの位置にあるけど、中国国旗が結び付けられた甲板の位置は海底から14メートル上にある…ということだろうか。水深26メートルの潜水が難しいのか簡単なのか、それは不明であるものの、わざわざ用意周到に、こういうことをやったのは変わりない。(3月23日)

追記:ナノテクノロジー素材の防水国旗について

それにしても、海中の沈没船に国旗を括りつけたりしても、すぐにボロボロになってしまうのではないかというのは最初からずっと気になっていた。かといって国旗はそもそも屋外にて使用するのが前提のものである。高耐久性の防水国旗でもあるんじゃないか…と半ば冗談のつもりで探してみたら…ありましたw

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気になるお値段は9.9元(191円)。大きさは4号サイズで96cm✖144cmというからかなり大きい。パラオの日本軍沈没船にくくりつけられているのは幅1メートルなので、この4号サイズよりもっと小さいものになる。

国慶節:天安門にナノテクの国旗が掲揚 2002/10/02(水) 02:41:20 [サーチナ]

このナノテク防水国旗のそもそもの登場は今から13年前。当時世界初のナノテクノロジー採用の国旗であったらしい。

パラオの海中にある中国国旗は、もしかしたらこのナノテク防水国旗なのかも知れません。(3月23日)

追記:「潜水作業」と「陰謀論」について

このブログ記事は、400回以上リツイートされ、多くの人々に読まれたのだが、次のようなツイートを見つけた。

 こちらの方はプロフを見ると、夏はスキューバダイビングをされているそうで、潜水の経験も豊富なのであろう。40メートルであろうと、26メートルであろうと特に大変ではない…と。公平を期するため、一応こういう意見があったことを参考までに紹介しておく。ただし同じ人物の、直後のツイートで

 …というツイートがあった。当方のブログ記事には「国家主動」(主導であろう)という指摘は全くないし、Bar Hopper氏のツイートも「ダイバー経験の長いプロ」と書いていて、「国家云々」の陰謀論には一切触れていない。私の文章に誤解を生じさせるようなところがあったのかも知れないが、自分としては心当たりがない。今回のパラオの一件について、「中共陰謀論」を説く人は他にも散見されたが、私はそういう証拠不十分の嫌疑を排して、このブログ記事を書いたつもりなのだが…誤解する人が他にもいるといけないので、当方には全くそういう意図がないことをここに明言しておく。(3月24日)

後記:海中の中国国旗が消えた

www.47news.jp

このブログ記事の公開の翌日の午後になって、上記のニュースが配信された。誰が持ち去ったのか、潮に流されたのか、原因は不明であるけど、とにかく中国の国旗があの場所からなくなって良かった。

今回の件は、日本軍の沈没船に掲げられているという点において、多くの日本人が憤慨したが、私としてはパラオに強く同情した。この日本軍沈没船のある海底は、誰も来ないところではなくて、パラオを訪れるダイバーがやってくる「観光名所」である。もし日本の観光名所に、ある日突然、中国の国旗が結びつけられていたら、日本人はどんな気分がするだろうか。今回の件は、パラオの国家と国民のプライドをひどく傷つけたに違いない。こういう心ない行為が繰り返されないことを願うばかりである。(3月24日)

パラオ 海底の英霊たち―記録写真集

パラオ 海底の英霊たち―記録写真集

 

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