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黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

日本と中国の「距離感」と昔の航行ルート

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▲結構地味な記事であるにも関わらず、ウケが良かったので、もう1つ余談しておこうと思う。

日本人に中国人と同じ血が流れている」という話をすると、感情的になって怒り出す人がいるものの、私にはこれがよく理解できない。私に愛国心が薄いとか、日本人の純血性を軽視しているというのではなくて、たぶんこれは普段私が見ている地図の問題じゃないだろうか。

私が普段見ている「地図」

多くの人は普段、日本を考える時に…

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▲脳内にこういう日本地図を思い浮かべているに違いない。

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▲そして中国のことを考える時は、こういう地図を見るのだろう。

ただし日常的に、日中問題を考えている私は…

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▲毎日こんな感じで見ている。尖閣問題を考える時も、日中中間線のことを考える時も、日清戦争について考える時も、沖縄の基地問題を考える時も、グーグルマップをこんな感じで開くことが多い。

「心理的な距離」と「実際の距離」の違い

日本沖縄中国台湾韓国北朝鮮…というのが、日中問題の主な舞台であって、こういう視点で位置関係を見ながら考え事をしたり、各地の距離を測ったりする。

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▲長江の河口から関門海峡の距離は931kmたったの931kmだ。もしこれが陸路なら自動車でも移動できるだろうし、自転車で走りきる人だっているだろう。実はそんなに遠くはないのだ。

長江の河口から真っ直ぐ東へ向かえば少々ズレても九州にぶち当たる。南にズレすぎても南西諸島が見えるだろうし、北にズレ過ぎれば五島列島か対馬か朝鮮半島が見えたのだろう。途中で遭難するリスクはあっても、大まかなところ真っ直ぐ東に進めばどうにかなってしまうような位置関係である。

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▲逆に、上海から内陸に向かって重慶まで直線で結んだ場合1441kmである。

上海と重慶は長江でつながっているが、長江を通った場合は直線にはならないからもっと距離がある。

▲こちらによれば、上海から重慶まで船で行った場合の距離を「1956.5km」としている。つまり、上海から関門海峡の2倍以上ある。

それを考えると、外洋を航行できる船と航海技術さえあれば、距離的には上海=関門海峡の方が、上海=重慶よりも近い…半分以下の距離になる。重慶から上海に向かうことを考えると、上海から九州は長江流域の下流の延長にあるようなものだ。

日本と中国は海に隔てられているので、「心理的な遠さ」を感じるのかも知れないが、中国の大きさから考えると、大陸沿岸部から九州への距離は「隣近所」みたいなものだ。

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実際には、直接九州ではなく五島列島を経たり、南西諸島をアイランドホッピングして九州に向かうルートとか、山東半島から遼東半島⇒朝鮮半島⇒対馬⇒北九州を経由するルートがあったらしく、経由地を増やせば行き来もしやすかったのだろう。

だから、昔から日中間では、稲作を始め、その他の技術や知識や文物も往来してきたし、人の交流もあったのだろう。そうすると、中国人の血が日本人の中に少し入っていても全然不思議ではない。

本来はみんなで楽しめる話題

…とは言え、私はこれをして日漢同祖論までぶちあげようとも思わないし、現代日本人が中国人の末裔だとも思わない。

人種やら民族のルーツというのは本来、もっと長く広い目で歴史を見て、好奇心と想像力を駆使して、他者と一緒に、あーでもないこーでもない…と楽しく考えるものだと思う。

こんなことで、いちいちナイーブになり、偏狭なナショナリズムに結びつけて激昂して他者を責めるのは、非常にもったいないことだ。そんな一時の「愛国心」の高揚で得るものは、失うものよりずっと少ないのではないだろうか。

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