黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

【中国人観光客問題】アベノミクスの外国人観光客誘致と21世紀の鎖国攘夷運動

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最近、中国人観光客が増加していることもあってか、ツイッターでも、この数日よく話題になっている。ただ、この件で何をそんなに話題に出来るのかと思い、広くツイートを見てみると、中国人観光客を非難する声(「シナチャンコロは帰れ!」)と、「昔の日本人も酷かった」などの反論、そして中国人観光客非難を非難する声である。ようするに、「中国人叩き」「ウヨ叩き」のネタされているのであった。

私は以前、観光業界や飲食業界の人と話す機会が多かった。これらの人々は親中でも売国奴でもなく、ほとんどはごく普通の人で、中国人のマナーが悪いことに腹を立てながらも、それにどうやって対応して、解決するかを考え、もっと日本を楽しんでもらうためにはどうすればいいか、日々苦心されている人たちばっかりだった。彼らは商売のためにやっているのだけれど、観光の最前線にあって、外国人に日本の良さを伝えているわけだから、これぞ「愛国者」ではないか。

アベノミクスと外国人観光客誘致

外国人観光客誘致は、安倍政権成立前からの国策で、安倍政権でも「成長戦略」の1つとなってる。

めざせ、年間2000万人!(首相官邸)

2013年の訪日外国人旅行者数は、2012年の836万人から大幅に増加して、2013年は1,036万人、2014年は過去最高の1,341万人となりました。
また、訪日外国人による旅行消費額も、2014年は約2兆300億円となり、初めて2兆円を突破しました。
国際旅行収支(2014年4月)も、大阪万博以来、44年ぶりに黒字になりました。
今後は、2020年に向けて、訪日外国人旅行者数2,000万人を目指します。

世界に発信しよう、日本の魅力!(首相官邸)

世界に日本文化の魅力を伝えることで、日本のプレゼンス向上、海外マーケットの拡大、訪日外国人旅行者の増加が期待されます。
すでに、和食ブームの効果などにより、農林水産物・食品の輸出額は、2014年に過去最高の6,117億円(前年度比11.1%増)を記録しました。2020年に1兆円達成をめざします。

「安倍支持」という人なら、「シナチャンコロは来るな!出て行け!帰れ!」という前に、観光の現場で苦労している人の声を聞きに行ってみればいい。日本の良さを伝えるために苦労している「愛国者」の知られざる姿を見られるだろう。

それにしても、ツイッターで「中国人は観光に来るな!金だけ落としてすぐ帰れ!」などと言っている人たちは、安倍首相の支持者であることが多いはずなのだが、どうしてこの人達はアベノミクスの基本的な施策と真逆の意見を持っているのか不思議である。安倍首相の支持者であっても、個別の政策について反論があっても良いとは思うものの。日本の良さを外国人に伝え、それで経済も潤うのなら、それこそ愛国者のやるべきことだろう。日本で「愛国」と言えば、「鎖国攘夷」の影がつきまとうのは何故なんだろうか。

大量の中国人がやってくることで、問題が発生しているのは事実だが、観光客によって引き起こされる問題は、世界中どこでも抱え込んでいるものであって、ほとんどが解決可能なはずである。そうでなければ、観光産業というものが成立しなくなる。「シナチャンコロは来るな!出て行け!帰れ!」という人は、観光の現場の人たちの声に耳を傾けて、問題解決のお手伝いでもした方が、ずっとお国のためになるのではないだろうか。

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2007年 8/29号

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2007年 8/29号