【動画】『香港の警官が銃を抜いて威嚇した瞬間の映像』
— 黒色中国 (@bci_) 2019年8月25日
すでに大陸のネットにもあがっていました。#antiELAB#香港反送中 pic.twitter.com/jxaCGhUp2w
昨晩(25日)、香港の警官がついに銃を抜いて発砲しましたが、その件について私見を記録しておこうと思います。
【目次】
(1)指揮官が見当たらない
私がツイートにアップした動画は低画質なので
▲BBCの映像でも確認してみたのですが、
▲(BBCよりキャプチャした映像)、抗議者に追われる警官のシャツの色を見ると、青色ばかりで白色がない。
これは何を意味するのかと言うと、この警官のチームは日本だと巡査長以下の人たちばかりで、チームを指揮する立場の人がいない…ということになります。
香港警察の青シャツと白シャツの違い
ちょっと説明すると、香港警察は大きく分けて
- 警官(巡査部長以上)…制服は白いシャツを着る。
- 警員(巡査長、巡査)…制服は青いシャツを着る。
…ということになっています。現場勤務の「ブルーカラー」と、管理職の「ホワイトカラー」に分かれているわけです。デモの鎮圧などで、現場に出てくる警員のチームにはほぼもれなく白いシャツの指揮官がついてくることになっています。
#extraditionbill#HongKongProtests #香港反送中
— 黒色中国 (@bci_) 2019年7月1日
抗議者の挑発に興奮して、長盾の左の警官が怒鳴り声をあげ、白シャツの指揮官にたしなめられる。警官の方もこの数週間抗議続きのためか、かなり興奮している。 pic.twitter.com/U87QhJl7HV
▲こちらがそのわかりやすい例になります。左から2番めの白いシャツの人が「警官」でこのチームの指揮官。その他の青いシャツを来た人たちは「警員」で、日本でいう「巡査」または「巡査長」となります。
▲日本語になっている資料としては、こちらがわかりやすいです。
▲ニコニコ大百科から抜き出してきましたが、たくさん階級があるものの、香港警察の大部分は下の2つ…「警員」と「高級警員」で占められるわけです。
▲こちらは中国語による解説ですが、階級の図表はカンタンです。そして人数が入っています。
▲関連箇所だけ抜き出してみると、一番したの2つ…警員と高級警員だけで2万人いることになっています。これらに白シャツの現場指揮官がついて来て、他に現場を指揮する「警官」もいるので、後述しますけど大体3万人規模ということになるみたいです。
ただ、この発砲動画を見ると、白いシャツの指揮官が見当たらない。どういう状況でこうなったのかはわからないのだが、指揮官とはぐれたのか、指揮官がそもそもおらずに警員だけで行動していたのか。指揮系統が混乱しているために、抗議者の多いところに少数で放り込まれて、多勢に無勢で押されて取り乱し、興奮して拳銃を抜いて発砲したのではないか…と考えられる。
これは別に警察を擁護しているのではなくて、それだけ彼らがだらしない…という指摘をしています。
発砲したのは不本意だろうが、世の中の公権力による市民の殺害の多くは、こうした混乱の積み重ねの中で偶発的に出てきて、取り返しのつかない拡大をするのではないか。
(2)警察の数が足りない?
【閲覧推奨】https://t.co/t0suvoKnwy
— 黒色中国 (@bci_) 2019年8月19日
▲BBCが行った香港警察へのインタビュー。「彼らの言い分」も含まれますがw、日本の記事では読めない香港警察の実情…中国武警との連携が一切ないこと、捜査の手法や現在の状況が説明されています。翻訳が面倒なので、ご興味ある方はご自分でお読み下さい(^^)
▲1週間ほど前、こうした記事があったばかりでした。
この中に興味深い発言があります。
香港警方称现在他们能更快地派出队伍,并更具流动性,并利用策略,迅速介入展开拘捕行动,把示威者分散。
当局可以召集约3000名经训练的防暴警察,他们平时在30,000名警察部队中担任其他角色。
警方也感到更自信,因为警方已逮捕了他们所称的最激进勇武派示威者中的重要人物。
▲ようするに、香港警察は一旦何かあれば、すぐに出動できるようになっていて、迅速に介入して逮捕したり、抗議者を分散させられるし、3000名の訓練を受けた防暴警察(日本でいう機動隊)を招集できる…そしてすでに最も過激な勇武派の重要人物を逮捕している…とBBCのインタビューに自信満々で答えているのです。
香港警察のこれらの発言が全部ウソだった…とは言わないけど、25日の様子を見る限り、抗議活動が続発することで、3000名いる防暴警察だけでは足りなくなっているのでしょう。
冒頭のビデオを見ると、盾とヘルメットだけを身に着けて(たぶん彼らは「防暴警察」ではなく、一般の「お巡りさん」と思われ)、指揮官もなく抗議者の群れの中に入って追い詰められ、ブチ切れて拳銃をぶっ放すようないい加減なことをやっているし、「最も過激な勇武派の重要人物」を逮捕したところで、過激な抗議活動がなくなるどころか、もっと過激になったのが25日の状況だったわけです。
今回の発砲の件は、世界的に報道されているので、香港警察も少しは慎重になると思われますが、そもそも連日のデモで警察にも疲労が溜まっている上に、各地で抗議が発生するため、対応能力が不足しているのが原因では。
そうすると、また今後も警察の「過剰反応」はあるだろうし、そうした「混乱」が継続・拡大するようなら、今後は武警の出動もありえる…ということになってくるのでしょう。
10月1日に国慶節に向けて、更にヒートアップするのでは…と予測しています。しばらくは注意して見ておこうと思います。
香港の過去・現在・未来―東アジアのフロンティア (アジア遊学234)
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