10月7日の夜遅く、電通の新入社員の女性が過労で自殺した…というツイートを見て、私も憤慨した1人だが、その後に自殺した女性のツイートがリツイートで、私のタイムラインにも回ってきたので、彼女がツイッターをやっていたことを知った。
一体どんな人だったのだろうか…と思って、アカウントのホームを開いてみると…プロフィールに
「未だにお財布から人民元が出てきます。」
TOKYO BEIJING
…と書いてある。「BEIJING」とは北京のことだ。
中国に縁の深い人だったのか…でも、ちょっと待て。
よーく見ると、彼女は私のフォロワーだった。
私は彼女とツイッターで話した記憶がない。死者のことをあれこれ詮索するのは気が進まないが、中国と関わりがある人のようだし、私のフォロワーでもあったわけで、どんな人だったのか、ちょっと気になった。
でも、それから数時間後、彼女のアカウントは鍵付きになった。
だから、彼女が中国とどういう縁を持っていたのか、私のどんなツイートに興味を持ってくれていたのかもわからなくなった。
自分の言葉が届く範囲にいた人が、無念な死に方をしたのは非常に残念である。もし彼女が自殺した日に、私が少しでも心が明るくなるようなツイートをしていたら、結果は変わっていたのかも知れない。
そして、もう1つ気になることがあった。
実は、私の財布にも、常に人民元が入っているのであった。
財布の中の外国のお金がもたらす効果
私の財布の中にはいつも、日本円、人民元、香港ドルが入っている。たまに台湾ドルとマカオのパタカも入っている。人民元と香港ドルはもうこの10年以上、常に財布の中にある。
昔、私が香港に旅行した時、香港に住んでいた日本人の友人が、「財布の中に香港ドルが入っていれば、いつかまた香港に必ず帰ってくる」と教えてくれた。財布の中の外国のお金は、その国との縁をもたらすのだと。
この友人は、私が香港に移住するのを希望していたので、そういう会話になったのだが、この説が友人の思いつきなのか、元々そういう説があるのかは知らない。私は当時、日本で働いていたし、国外移住をする気も全くなかった。
その後、使いきれずに残った香港ドルを、日本に戻ってからも財布の中に入れていたのだけど、1年と経たない内に状況が大変化して、香港で暮らすようになった(!)。
日常の支払いなどで、財布を開く度に香港ドルを見るわけだから、それで意識が自然と香港に向くようになったのかも知れない。因果関係は不明だが、結果的に「効果」はあった。
過労で自殺した女性社員も、財布の中には人民元があったようだから、この人も中国に移住する「縁」があったのかも知れない。中国に移住すれば幸せになるとも限らず、もっと大変な目に遭うかも知れないのだが…いずれにせよ、その「縁」が効果を発揮する前に、彼女は別の選択をした。
私は、死にたくなるほどでないにしろ、以前仕事やプライベートで悩みを抱え込んでいて、それで香港にいる友人が、気晴らしに香港へ誘ってくれたのだった。
今まで自分の周囲でも、肉親の死や、友人の死を幾つか経験してきたけれど、生者と死者を分けるのは、ホンの些細なことで、私はたまたま運が良くて、良い家族や友人に恵まれて、生きる側に細い縁を繋いできただけに過ぎない…といつも思っている。命とは極めてはかないものである。
自分は周囲にどれだけ、「生きるための縁」を与えられるのだろうか…フォロワーの自殺を通じて、深く考えさせられたのであった。
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