黒色中国BLOG

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【中印国境衝突】『中国が国境付近に戦車を配備、戦闘訓練を開始…インド陸軍参謀総長「戦争の準備は出来ている」』 

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 ▲先日は、こちらのツイートがたくさんRTされましたが、その後、中印国境の緊張はどうなったのか気になっていたものの、日本ではほとんど報道がありません。

しかし、RFAで見ると次のようなニュースがありました。

表題だけ読むと、中国外交部は、今回のインドの越境行為は非常にタチが悪い…と主張し、インド軍は「戦争の準備はできてるぜ」とすっかりヤル気になっている…ということです。

このニュースを細かく読んでみようと思います。

このニュースは4つの部分からなっていて、まずは中国外交部の声明を要訳すると…

  • 7月3日の中国外交部の声明によれば、中印国境部隊によるシッキム地域での衝突はすでに20日間を越えており、インドが派遣している武装部隊は既定の国境線を越えており、これは過去に結ばれた条約や、国連憲章ならびに国際法の基本原則に違反し「性質が非常に厳重」なものである。

次はインド陸軍総長の発言

  • シンガポールの聯合早報によれば、インドのラワット陸軍参謀総長は6月29日、シッキムの前線を視察した後の声明で「インドは既に2.5線戦争の準備は出来ており、すなわち中国・パキスタンおよび国内の安全に対応している。」

  • 中国国防部のスポークスマンによると、解放軍は既にインド国境付近のチベットで35トンの軽型戦車を配備し、戦闘訓練を行っており、中国国境部隊は絶対に国家主権と領土の完整を守る…と強調した。

  • 明鏡網(香港の新聞のウェブ版)によると,今回の中印国境衝突は、1962年の中印戦争以来、最長期間の対峙であり、現在双方が非難しあって譲らず、緊張が高まっている。

「2.5線戦争」とは?

聞きなれない言葉ですが、中国側でもこのインド陸軍参謀総長の言葉が何なのか、気になる人が多かったようで、早速次のような記事が出来ていました。

この記事の中に解説があり

所谓“2.5线战争”,提法来源于1960年代冷战时期的美国。当时美国担心苏联和中国在欧亚的威胁,提出要“在欧洲应对一场大规模战争,同时在亚洲应对一场大规模战争,在世界其他地区应对一场小规模地区冲突”(1+1+0.5)。

いわゆる「2.5線戦争」とは、1960年代の冷戦期の米国に起源がある言葉で、米国がソ連と中国による欧亜の脅威を警戒し、提案したのが「欧州の大規模戦争に応対し、同時にアジアの大規模戦争にも応対し、世界のその他の小規模地区衝突にも応対する(1+1+0.5)」

…だそうです。

つまり、インドにとっての大規模戦争の相手の中国・パキスタン(1+1)と国内安全(0.5)への準備は既に出来ている…別の言い方をすれば、インドは「中パへの二正面作戦と、国内安全(テロ対策?)への同時対応ができる」という意味なのでしょうね。

35トンの軽型戦車とは?

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▲「中国神秘の新戦車がチベットに進駐してインドを震え上がらせる」との記事。こちらを要訳すると…

  • 中国人民解放軍がチベット高原で演習を行っている中に、新型の戦車が現れた。
  • この戦車は、射撃仰角が大きく、山地作戦に優れている。
  • 全重量は33~38トンで、高原環境にも適応している。
  • ちなみにこれは「軽戦車」ではなく「軽量型主力戦車」であるとのこと。
  • 中国空軍のIL-76、Y-20で空輸することができる。

申し訳ありませんでした

 ▲最初、こちらの記事では誤って、35トンの軽型戦車を「VT-5」とお伝えしておりましたが、ご指摘を受けて削除いたしました。申し訳ありませんでした。

チベットに配備されている軽型戦車の名称は不明だそうですが、

▲でも、YOUTUBEに紹介動画があがっておりました。

こちらはCCTV7ch(軍事・農業チャンネル)の番組ですが、この中でも正式名称不明で、「新軽担」(シンチンタン)としか呼ばれていません。番組中の説明を書き出すと…

  • 35ミリ榴弾発射機、12.7ミリ機関銃を装備。
    (主砲については説明無し)
  • 卓越した機動性と強大な戦場感知能力を有し、情報化レベルは米軍に匹敵する。
  • 砲塔正面の防護力は96A式戦車よりも強化されている。
  • インドのT-90S主力戦車よりも遥かに優れている。

ただし、番組中で出てくる戦車は現在チベットで配備されている96A式で、新軽担ではないようです。

中国の軍事戦略

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