ツイッターでたまたま寄せられた疑問で、昔の香港映画の中に突然、国語(普通話)の歌が入るのは何故か?というのがあり、香港の友人に確認して回答をもらったのだけど、実はこれに関する話を以前、その友人としたこともあったので、それをこちらに改めてまとめておきます。
商品のプロモーションビデオのBGM
香港の友人が、自分の会社の商品プロモーションのビデオを私に見せて、意見を聞いてきたことがありました。
別に悪くない…良い出来じゃないの…と思ったけど、1つ気になることがあった…BGMがロカビリーなのでした。
「どうしてロカビリーなの?」
「香港の会社だから香港らしさをだそうと思って」
ロカビリーが香港らしい…という印象が私にはない。どこからそんな「らしさ」が出てくるのかもわからないが、彼は香港生まれの香港育ちである。
「じゃあ、日本人はどういう曲が香港らしいと思うの?」
と聞いてきたので、YOUTUBEで検索して見せたのが次の動画。
ウォン・カーウァイの『欲望の翼』で使われているXavier Cugatの『Maria Elena』という曲である。
友人はこれを聞くと、ニヤリと笑みを浮かべたけど、
「これは古い曲だよ!オレのオヤジの世代に流行った曲だ」と言った。『欲望の翼』は1960年代の話なので、確かに彼のオヤジが若かった時代なのだろう。
友人に聞いてみると、1960年代の香港ではチャチャチャが流行ったので、『欲望の翼』の中でも使われているのだ…という説明でした。
ただ、友人が若い頃(80年代前後)は、ロカビリーが流行っていたらしく、だから彼にとって「香港らしい音楽」はロカビリーになるのだ…という説明が続きました。
ここで1つの疑問が湧いてくるのですが…
なぜ、広東語の歌ではないのか?
ここでやっと表題の件になります。
いま、香港人の友人に確認してみたら、香港で広東語の歌が流行しだすのは70年代末からで、それまでは英語の歌が流行の中心で、たまに国語のものがあった…という事情だそうです。
— 黒色中国 (@bci_) 2018年12月22日
香港の友人から追加情報ですけど、香港で広東語の歌が流行の中心になるキッカケを作ったのが https://t.co/jxbKI9hZX5 サミュエル・ホイ(許冠傑)で、それ以前はあまり一般的ではなかった…だそうです。 pic.twitter.com/j3bxvVcC86
— 黒色中国 (@bci_) 2018年12月22日
▲サミュエル・ホイ(許冠傑)の詳細についてはこちらをご参照下さい。
友人が、80年代になっても広東語の歌ではなく、ロカビリーが好きで、未だに「ロカビリー」に香港を重ねてしまうのは、たぶん80年代になっても英語の曲が香港では幅を利かせていたからではないかと思われます。
こういう無駄な知識って、何の役に立つのか全くわからないのですが、思いがけず昨晩フォロワーの疑問に答えるのに役立った…というわけでした。
※以上は、あくまでも香港の友人が言ってることなので、実際どうなのかはわかりません。異論あり!という人はコメントかツイッターで教えて下さい。
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- 今日の発見 香港の友人と話していると発見が多くて、ミルクティーを飲む香港人は実際少ない(10分の1未満)とか、昔は香港の若者の間では、涼茶屋で音楽を聞くのが流行ってたとか(にわかに信じられないがw)色んな話を教えてくれる。そういえば、昔の香港の若者文化を体系的に理解できる本がない?今度探してみようと思う。