黒色中国BLOG

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【新型コロナウイルス肺炎】(11)新コロ予防に靴の消毒は必要か?

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ツイッターをやっていると、「新コロ予防に靴の消毒は必要なのか?」という話を見かけます。

感染者がクシャミや咳をすると、ウイルスが飛散する。それが地面や床に落ちて靴底に付着したり、靴の表面にかかったりして、室内に持ち込まれたり、脱ぎ履きの際に靴に手が触れることで、感染するのではないか…ということですね。

香港ではSARSの時、建物などに入る際、消毒液で濡らしたマットで靴底を消毒する…というのがありました。私が今年1~2月に香港にいた際にも、靴裏消毒マットのある施設を何度か見ました。

ただ、広東省へ行くと、「靴底の消毒は必要ない」と言われることがあり、なぜ香港と中国では対応が違うのか…非常に疑問でした。

そこで、なぜこのような違いがあるのか?香港と中国のどちらが正しいのか?靴裏の消毒は必要なのか?を確認してみようと思いました。

【目次】

(1)中国のCDCの見解

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▲中国疾控中心(いわゆる中国のCDC)の研究員によると、「日常生活において、靴底を消毒する必要はない」とのこと。清潔を保ち、玄関で内履きに履き替えることを勧めています。

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▲こちらは人民網野日本語版。こちらでも

  • 靴底にウイルスが付着する可能性は低く、量も少ない。
  • 明らかにウイルスが付着した場合でなければ、日常的に靴底を消毒する必要はない。
  • 玄関で靴を履き替えればよい。

…と解説されております。加えて、コートを消毒する必要もなく、風通しのいい場所、日光の当たる場所にかけておけば良い…と説明されています。

ただ、「靴を履き替えれば良い」と書いていますね。日本の家はほとんどが玄関で靴を脱ぐので、この点あまり関係ないかも知れませんが(※中国ではたまに靴を全く脱がない家があります)、消毒の必要がなくても、室内に靴を履いて入ることは推奨できない…としている。これは靴に付着したウイルスの問題を若干認めていることになります。ただ、その問題は、内履きに履き替えることでクリアできる…というわけです。

(2)人民解放軍総医院の見解

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▲『「SARS予防」緊急現場報告』という本がありまして、2003年に流行したSARSの際に、患者の治療にあたっていた中国人民解放軍総医院の医師、看護師が執筆・編集したものです。

SARSもコロナウイルスの一種で、こちらに書かれている対処法は、現在ネットやテレビなどで広まっている新型コロナウイルスの対処法とも似ていますから、靴の消毒に関して、何か参考になる情報はないか、隅々読んでみましたが…

「SARS予防」緊急現場報告

「SARS予防」緊急現場報告

  • 発売日: 2003/06/24
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残念ながら、靴の消毒に関する記述はありませんでした。

ただ、

  • 家庭内の消毒が必要な場所と物は何か(54頁)
  • 公共の場所はどのように消毒するか(62頁)

…という項目があり、それらの箇所を読むと、家庭内では「床」を消毒、公共の場所では「ロビー、エレベーターの前、廊下、地面」を清掃・洗浄(水が使える場所の場合)・消毒するように…と書かれてありました。

家庭でできる3つの消毒方法

ちなみに、『「SARS予防」緊急現場報告』では、家庭できる消毒方法を3つ紹介しています。

  1. 【高温消毒法】…いわゆる煮沸ですね。この本では沸騰から15分~20分で消毒できるとあります。蒸したり、アイロンをかけたり…という手もあるでしょう。新コロの高温消毒は既にいろいろ情報が出てるので、それらをご参照ください。
  2. 【日光消毒法】…太陽光に含まれる赤外線、紫外線を利用した方法。3~6時間の照射で消毒可能…と書かれています。これはあくまでSARSの場合で、新コロが同じ条件かは不明。
  3. 【空気消毒法】…空気がよく流れているところで10~30分ほどかけて、ウイルスを減らす方法。本書では「特に、春に必要」と書いてますが、その理由は不明。
  4. 【薬剤消毒法】…薬剤を用いて、消毒する方法。

(3)香港中文大学医院の見解

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▲香港中文大学医院に勤務し、SARS流行時にボランティアの医師だった胡志遠教授は、靴の消毒を推奨しており、その詳細は以下の通りです。

  • 【サンダルを履いて外出しない】
    ※訳注:これは足の皮膚や傷口からウイルスに感染する可能性があるから…と思われる。
  • 【靴底消毒】玄関の外に1:49の比率で薄めた漂白液を浸した布を置き、それを踏むことで靴底を消毒する。空港とかによくあるのと同じですね。
  • 【靴表面の消毒】アルコールまたは1:99の比率で薄めた漂白剤をスプレイし靴全体を消毒する。
  • 【靴底洗浄】洗剤を含ませた布で靴底を拭く。

※訳注:ここに1:491:99という配合比率がでてきますが、塩素系漂白剤の中に含まれる次亜塩素酸ナトリウム液の塩素濃度は大体5~6%なので、それを基準にした数字ではないか点と思われます。

(4)家の大きさ・作りが違うから?

なぜ中国と香港で、靴の消毒に対する見解がこんなに違うのでしょうか?

幾ら調べても理由がハッキリしなかったのですが、注意すべきは、(1)の中国CDCの見解で、帰宅したら靴を履き替え、外履きで室内に入らないことを推奨していること。靴にウイルスが付着する可能性がゼロとは言ってないことですね。

そこで思い出したのですが、香港の家はとても狭いのです。いままで複数の香港人の友人宅を訪れましたが、ベッド1つ置くだけで精一杯、後の余分のスペースはタタミ1畳あるかないか…という極小サイズの部屋とか、それよりちょっとマシな程度の部屋とか。

▲こちらは香港の狭い部屋を紹介するニュース。冒頭は香港デモの映像ですが、31秒あたりから部屋のシーンが始まります。

それと、玄関と部屋の床がツライチで、靴を脱ぐ場所と床が隔てられていないような構造だったりで、外履きの靴が部屋の片隅…ドアの近くに置かれている…部屋が狭いのでそのそばに食事をするテーブルがあったり、ベッドがあったり…ということが普通にあります。

加えて、香港は暑いのでクーラーの冷気が逃げにくいように密閉性が高かったり、近所の騒音問題に配慮して遮音性が高かったりで、風通しが悪いので、そんな部屋の中に靴があると、少量のウイルスでも感染しやすいのではないか…というのが、香港人にとっては心配になるはず。

大陸でも狭い部屋はあるでしょうが、香港にくらべるとマシ…ある程度の余裕がある広さなので、さほど靴の消毒に神経質になる必要もなく、内履きに履き替えるだけでOKだよ…という見解になっているのでは…と思われます。

(5)日本ではどうすべきか?

日本の住居では玄関と床に段差があったり、靴を脱ぐ場所がちゃんと決まっている、室内では靴を必ず脱ぐ…のが普通でしょうから、よっぽど狭い部屋でないかぎり、中国と同じように、消毒を必要としない…と考えられます。

香港並に狭い家に住んでいるとか、たまたま室内の構造的に靴の置き場と居住空間が分けられていない…という事情があるのなら、消毒しても良いのかも知れません。あんまり気になるのなら、靴を室内に置かないで、外に置いて風に晒していたらいいんじゃないかな?とも思いますけどね。

ただ、部屋の大きさに関わらず注意すべきは、靴を脱いだり履いたりする時に、靴に手が触れる。そこでウイルスが手に付着する可能性はあるので、靴に手を触れた後の手洗いはシッカリやっておくべきですね。帰宅したらまずはちゃんと石鹸を使って手洗い。これがベストです。

(6)どうしても靴を殺菌したい!

今までの説明で、理屈としてはわかったけど、それでも靴は殺菌したい!何が何でも殺菌したいんだ!という人もいると思います。

▲浙江大学医学院付属第一医院の新型コロナウイルス感染症対策ハンドブックの解説で、消毒の箇所は取り上げてますので、こちらを参照していただければ、良いかと思いますが、とりあえず靴の消毒に必要なところだけを抜き出して書くと次のようになると思います。

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▲こちらの指導に基づいで靴を消毒するとなればどうすればいいのか。

ブラッシング

靴にブラシをかけて表面の汚れを落とす。この際、目に汚れが入るかも知れないのでゴーグルをした方がいいでしょう。

コロンブス 靴ブラシ 102

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▲こういうブラシ、家に1つぐらいはあると思います。百均でも売ってます。

塩素系消毒液で消毒する(要注意)

上掲のマニュアルに掲載されている「1000mg/L」というのは1リットルの水に対し1000mg=1gの次亜塩素酸ナトリウムが含まれる…という意味になりますが、つまりこれば0.1%の濃度の消毒液です。マニュアルに書いているのは、床を消毒する際のものだから濃度が高くなっています。

日本の厚生労働省や、各自治体が出している資料を見ると、0.05%濃度の消毒液を作ることを推奨し、身の回りの手が触れるような物の消毒に使うことを前提にしています(※但し、手の消毒に使ってはいけない)

■【厚生労働省】0.05% 以上の次亜塩素酸ナトリウム液の作り方

https://www.mhlw.go.jp/content/000617981.pdf

水1リットルに対し、漂白剤をどれだけ入れるかが書かれています。

両方ともに、ハイターとキッチンハイターが出てきますが、これが一番身近でわかりやすいですね。 

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キッチンハイター 台所用漂白剤 特大サイズ 2500ml

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▲近所のスーパーに売ってるでしょうから、ネットで買う必要は全くなく、2500mlサイズなら、100リットルの消毒液が作れることになります。

ハイターとキッチンハイターの違いは、界面活性剤の有無です。キッチンハイターの方には界面活性剤が含まれています。

▲詳しくはこちらをご参照下さい。

ただ、スニーカーなんかだと塩素系消毒液を噴射してもいいのかも知れませんが、革靴にそういうものをかけたくないですよね。それと、スニーカーでも塩素系消毒液を何度もかけ続ければ、変色するかも知れない。

そこで私が提案したいのは、塩素系消毒液は靴底の消毒だけに使えば良いのではないか…ということです。タオル地のマットや使い古したタオルに塩素系消毒液を含ませて玄関などに置いておく。外から帰ってきたら、それを踏むことで消毒する。

靴底消毒だけなら、浙江大学医学院第一医院のマニュアルの通り、1000mg/L(0.1%濃度)の消毒液でもいいかも知れません。その場合は、厚生労働省や柏崎市のPDF解説のハイター/キッチンハイターの分量を2倍にしてやればいいわけです。

紫外線消毒

それでは、靴の表面はどうするのか?マニュアルの中では紫外線ランプによる空気消毒というのがありました。 

▲紫外線による殺菌ランプはアマゾンでも安く売っているので、これを靴の上にかざして、紫外線を照射すれば、良いのではないでしょうか?

そうすれば、靴を傷めずに殺菌が可能なように思います。

新型コロナウイルスの真実 (ベスト新書)

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▲岩田健太郎先生の新コロに関する新刊、ついに発売になるようです。

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  • なぜ世界中でパニックになってしまったの
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  • 感染症パンデミックは本当に収束するの

…などなど、新コロの関する多くの疑問について触れているそうです。発売になったらすぐ買おうと思います(^^)