黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

「中国解放軍が香港の隣にある深圳市で集まり、 香港に突入する準備をしている」という情報について

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香港デモ発生から、ずっと中国軍介入の噂がありますが、最近の状況をみるに、混乱がひどくなるばかりで、

▲こういう動画が公開されたことからもわかるように、中国側もそのつもりが皆無なわけではないようです。

そうした中で、今朝ツイッターを見ていると…

▲こんなツイートがありましたので、映像をよく見て検証してみました。

【目次】

(1)よく見ると解放軍ではなく「特警」

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▲映像の最初の方をキャプチャしてみましたが(クリックで拡大できます)、「特警」という文字が見えますね。

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▲わかりやすく拡大してみました(クリックで拡大できます)。

特警 POLICE」と書かれています。

これは「解放軍」ではなく「特警」です。

(2)「突入する準備をしている」…でも武装してない

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▲それと、後ろにみえる整列した人達ですが(クリックで拡大できます)、これって中国の街角でみかける普通のお巡りさんの格好ですね。

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▲こちらはもっとわかりやすい(クリックで拡大できます)。「突入する準備をしている」というわりに、タクティカルな装備を身に着けず、動画で見える範囲では武器を持っていません。

(3)特警と武警の違い…特警は解放軍ではない

「特警も準軍事組織だから、軍と呼んで良いんじゃないの?」という人もいるでしょう。それは確かにそうですね。特警はかなりの「装備」を持っているので、準軍事組織であることには違いないです。

似たような組織として、中国には「武警」というのもありますが、その違いを確かめてみると…

▲こちらに解説がありました。

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▲こちらを要訳すると…

  • 武警は現役軍人編成、特警は国家公務員編成
  • 武警は中央軍事委員会(中国共産党)の指揮下、特警は公安部の指揮下。
  • 武警は中国の武装力量の1つ。特警は武装力量に含まれない。
  • 中国の「武装力量」とは、人民解放軍、人民武装警察(武警)、民兵組織で、中央軍事委員会(中国共産党)が統一指揮する。

▲中国の「武装力量」については、こちらに解説があります。

日本で例えたら、自衛隊は防衛省の軍事組織だけど、SATは警察の特殊部隊で自衛隊ではない…という感じかな。

ただ、正確には「中央軍事委員会」は、中国政府の組織ではなく、中国共産党の機関になります。

とにかく、中国の特警を「解放軍」と呼ぶのは間違い…ということになります。

(4)70周年の式典の映像?

 ▲ちなみに、こういう情報もありました。

冒頭で書いたように、香港の状況が悪化しているのは確かで、中国軍の介入も一応チラつかせているわけですが、この手の「アムール通信」案件を安易に信じて拡散するのは、いたずらに混乱を招くだけでしょう。

中国人民解放軍 「習近平軍事改革」の実像と限界 (PHP新書)

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