黒色中国BLOG

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習近平のオメガ、毛沢東のオメガ

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最近は、水害だの米中対立でCCTVが視聴できる環境にいれば、ずっとつけっぱなしでウォッチしている。今は夏なので、習近平も半袖のシャツを着ている。

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▲すると、彼の左腕にチラホラと腕時計が見えるではないか…これはもしかして…

【目次】

習近平のオメガ

私は腕時計マニアなので、見た瞬間に「これはオメガ・コンステレーションではないか…」と思い、ツイッターでつぶやいたところ…

▲フォロワーの方から、こちらを教えてもらった。

習近平はオメガ・コンステレーションのRef.123.10.38.21.03.001を使用とのこと。最近のオメガ・コンステレーションは、ブレスに特徴があるのですぐわかる。

高級腕時計ではあるけど、それほど高い方ではない。

上掲のサイトによれば、我らが安倍総理もオメガ・コンステレーション(1964年製)を使っている。なんだかんだでこの二人は仲が良い?ようだが、実は同じ腕時計を愛用していたのである。

毛沢東のオメガ

オメガは解放前(1949年以前)から中国で愛好されていたので、中国の骨董屋に行っても、オメガのアンティークは多く見られる。私も、オメガのアンティークが好きなのだが、それは中国の骨董屋によく通った影響である。

中国の骨董屋に行くと、オメガの懐中時計が多く見られるが、これらに鉄道時計が多く含まれる。

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▲百度で適当に検索したら、すぐ出てきた。

正確な鉄道の運行のためには、厳格な精度が要求されるため、オメガの鉄道時計は解放前から中国で採用され、解放後も使われていたらしい。オメガは中国の国家建設と共にあった。

▲こちらを見ると、毛沢東もオメガを愛用していたそうだ。

要訳すると…

  • 毛沢東のオメガは、直径40mmの円形で12時の下に「Q」の文字が入っている。別のサイトを見ると、手巻きのスモセコらしい。35mmという説もある。
  • 1945年8月28日、重慶談判(国民党との間で行われた和平協議)に参加するため毛沢東が空港に降り立ったが、その際に迎えた郭沫若は、毛沢東が腕時計を持ってないことに気が付き、自分のオメガをプレゼントした。
  • 郭沫若のオメガは、欧州旅行の際に購入したという説と、重慶談判の直前にソ連の友人からプレゼントされたという説がある。
  • 1949年のソ連訪問の際、毛沢東は「カザン」(ソ連製腕時計)を送られたが、その後も郭沫若のオメガしか使わなかった。
  • 長らく使い続けて、オメガの裏蓋は変色し、文字盤は見にくくなり、ベルトも傷んでしまった。周囲から新しい腕時計を薦められたが、毛沢東はオメガの修理を希望して新しい腕時計を拒んだ。しかしその後でオメガはムーブメントが故障してしまった。
  • ちょうどその頃、スイスの友人から金時計を贈られたが、重くてつけ心地が悪く、数日で使わなくなり国庫へ納めさせた。
  • 毛沢東は1969年に北京の亨得利時計店(これは今もある有名な時計店です)にオメガのムーブメントのオーバーホールをさせて、文字盤とベルトを交換させた。
  • それから1976年9月に亡くなるまで、郭沫若にプレゼントされてから31年間、毛沢東はオメガを使い続けたのであった。
  • 毛沢東の死後、愛用のオメガは中国革命博物館に展示され、1990年11月以後は湖南省韶山市(毛沢東の故郷)の毛沢東同志記念館に収蔵されている。

「毛沢東コスプレ」のためのオメガなのか?

習近平は、かなり毛沢東を意識している…第二の毛沢東になりたがっているのだと、よく言われるが、愛用の腕時計も同じオメガなのは、やはり毛沢東にあやかったのだろうか。習近平のことだから、郭沫若から贈られた故事は知っているだろうし。中国革命博物館か、韶山の記念館にも訪れて、毛沢東のオメガを見たことはあるのではないか。

そういうエピソードを知ってしまうと、習近平が腕にオメガをつけて党員や軍人の前に立ち、視察で人民の中に入っていくのは、「毛沢東の再来」として君臨したい…という遠大な野心を持つ人物というよりも、尊敬する人物が愛用していた腕時計の由緒にあやかって、自信がないのを補おうとする小人物のようにしか思えない…私自身、腕時計愛好家の一人として、それには身に覚えがあるw。「習近平」という怪物が、自分と同じ「現代に生きる普通の人間」のように思えてしまったのであった。

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