最近RFAでは内モンゴルのニュースが続いていますが、1つの騒動の続報だけではなくて、内モンゴルのあちこちでさまざまな問題が多発しているようです。
沿岸都市部から遠い地域では、外国のメディアも入り込みにくいし、旧来通り権力者のやりたい放題の状態になっているのでしょうか…とにかく、要点を訳してみようと思います。
場所
内蒙古乌兰察布市兴和县店子镇黄土夭村
(内モンゴル自治区ウランチャブ市興和県店子鎮黄土夭村)
▲RFAの記事によれば、今回の問題が発生した場所はこの住所になるのですが、グーグルでも百度でもこれに相当する場所は確定できません。
検索すると「店子鎮」と書いていたり、「店子郷」と書いてあったり…興和県のウェブサイトで確認したら「店子鎮」はあるので、ここまでは間違いありません。
▲黄土夭村の位置はわからないものの、一応このようなウェブサイト(黄土夭村の鉱山の紹介)もあるわけだし、存在するのは確かだと思います。
騒動の状況
黄土夭村は中国でも有名な石墨(グラファイト)の鉱山がある場所。1999年に国営だった鉱山は倒産。2008年から民間経営で再開したものの、爆薬を使った発破採掘による震動で、村民の家屋が壊れるため、2016年3月30日に村民60名近くが集まり、横断幕を持って鉱山に抗議したところ、特警百人以上が出動し鎮圧。少なくとも5名の村民を拘束している。
▲公安が村民を拘束するところ
▲警察により警戒線が貼られ、村民を捕まえている。
以下、内容を箇条書きで書き出すと…
- 黄土夭全村は全戸数50~60戸ぐらい。
- 警察に拘束されている村民の中には80代の老夫婦、病で高熱を出した女性も含まれる。
- 村民にはモンゴル族も漢民族も含まれ、その両方が抗議に参加している。
- 「特警は村を包囲して、80代の老人さえも捕まえて、村民のケータイを全て没収した。ネットで情報発信されるのを恐れているのだろう」(事情を知るモンゴル族)
- 村民によれば、地方の役人と鉱山の経営者は繋がっており、村の中で採掘を行っている。
- 採掘で出るクズ鉱石は堆積し、ボタ山は村民の住居よりも高くなっている。
- 採掘で行われる発破が、村民の住居も震わせ危険を及ぼしている。
- 村民に移住を迫っているが、補償費用を抑えるために、現地の役人は鉱区の移民政策に準拠しない補償を行っている。
…とあります。ようするに、掘り進める内に、村民の住居に近いところまで採掘場が接近し、発破の影響が村民の住居にも及ぶようになった。大きなボタ山も出来て、ちゃんとした管理がされていない。元々、この鉱山は国営だったけど、民間に経営が移行してからは、やりたい放題になって、それを警察が鎮圧する…という状態になっている。
ということみたいです。
大きなボタ山の件は、
去年12月の深センの土砂崩れのことを思い出させますね。内モンゴルだと雨が少ないと思われるので、そうそう土砂崩れも起きないかも知れませんが、近くにいる住民にとっては心配なことでしょう。
北京や上海などの大都市やその付近なら、こういうことがあればすぐに情報拡散されるわけですけど、内モンゴルの、地図で探すのも難しいような小さな村だと、ヒドイことが行われていても、外部に情報が伝わりにくいし、村民からケータイを取り上げて、当局のやりたい放題になる…ということみたいです。やっぱり情報共有は大切ですね。
※訳注…黒色中国では、「チベット人」「ウイグル人」などと表記し、「チベット族」「ウイグル族」とは基本的に表記しないことになっておりますが、こちらのニュースに関しては「モンゴル族」と表記しました。というのも、「モンゴル人」だとモンゴル国の人との違いがわからなくなってしまうからです。何卒ご了承の程お願い致します。
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