古いライカのアイレットの問題がとりあえず解決したが、アイレットがあんなに削れていては先行き不安である。
ところが、これにはもう1つ別の対処法があって
▲革ケースを使えば、アイレットは削れない。
ただし、革ケースにも問題があって、今回はその件について同じように悩む人のために(この世の中に60年以上前のカメラの革ケースで悩む人がどれだけいるかは疑問だが)こちらに書き残しておこうと思う
丈夫なライカの革ケースだが…
▲こちらはライカM3の革ケース。この作りの良さは本当にスゴイと思う。1950年台に作られたものなのにいまだに使える。革は上質でたまに手入れしてやれば輝きを潤いが復活する。
▲背面の「ボタン」もまだ使える。しかし…
▲ライカの革ケースというのは、M3でも3fでもそうなのだが、ネックストラップの革が弱い。M3の方は劣化して千切れてしまった。
▲こちらはライカ3fの革ケースのネックストラップを本体側に固定している部分。革が擦れて怪しくなっている。まだすぐに千切れるほどの劣化ではないが、時間の問題か。この構造ではネックストラップの交換ができない。
▲こちらはライカM3の革ケースのネックストラップ接合部分。本体側の金具にネックストラップを取り付けしている。これだと3fの革ケースと違ってネックストラップが傷みにくい(ただ、M3の革ケースのネックストラップは痛みやすくて接合部分をは別の箇所から断裂してしまうのだが)
以前、確か香港で目撃したと思うのだが、旅行者と思われる西洋人が同型の革ケースに入ったM3(と思われる)を持っていた。ところが、ストラップをナイロン製に交換していた。どうしてあんなカッコ悪いことをするんだろうかと不思議だったのだが、たぶんこの西洋人も私と同じように本来のストラップは断裂してしまい、革ケースの金具部分にナイロン製のストラップを取り付けたのだろう(気持ちは良く分かる)。
たぶん…なのだが、ライカの革ケースのストラップが痛みやすいのは、使いやすいようにしなやかな革素材を使用したためではないか…と思われる。さすがのライツ社もこの革ケースが半世紀以上にもわたって使用されるとは思ってなかったので、そこまでの強度の確保も考えず、交換しやすい構造にすることも考えなかったのだろう。
ライカは今でも修理が出来るし、こちらのブログで何度も書いたようにフィルムスキャンにかけたら「デジタル化」もできるので、これからも現役として使ってやろうと思うのだが、私の場合は旅行に持っていくのがメインなので、衝撃を吸収し、雨やホコリからカメラを守ってくれるしっかりとした革ケースが必要となってくる。
そこで、革ケースのメンテナンスが必要になってきた…というわけである。
革ケースのメンテナンス
ライカ3fの革ケースのストラップはまだ切れそうではないので、しばらくアレで使えばいい。M3の方はすでにストラップが切れてしまったので、残った部分も切除して、新しい革ストラップに換えるか、香港で見かけた西洋人氏に倣って私もナイロンストラップをつけてやろうか…と考えていた。
しかし、革製品の修理屋さんに持っていくと、「これはこのままで使った方が良いのではないか」との提案を戴いた。ライカの革ストラップは質がいいので、ちゃんとメンテしてやればまだ使えるのではないか…切れてしまった部分は別の革をつないでやれば、まだ使える…というのである。
この提案については保留にして、とりあえず革ケース本体のメンテナンスを行うことにした。
▲調べてみると、関東カメラサービスさんで革ケースの補修をやっているそうだ。こちらを利用しても良かったのだが、とりあえず「手入れ」を自分でやるところから着手することにした。
今までの革ケースのメンテは、革靴を磨く際に使用していたブラシで汚れを落としてやり、革靴と同じクリームを使っていた。ようするに、革靴と同じ道具を使って、革靴と同じ方法で磨いてやっていたのである。
革製品の修理屋の人によると、それでもいいけど…といいながら
▲こんなものを出してくれた。皮革製品全般に使える汎用クリームである。
▲革靴にも使えるし、今まで愛用していた革靴用クリームを切らしていたのでちょうど良かった。しかも手頃な値段だった。
▲中身は白濁してトロンとしたクリームで、洗濯のりみたいである。そういえば、洗剤みたいなニオイ(爽やかないい香りだが、洗剤そのものっぽいのである)もする。
▲箱の「成分」を見ると、「ラノリン」という見慣れない言葉がある。
ラノリン (Lanolin) は、ウールに覆われた動物の皮脂腺から分泌される蝋である。英語ではwool wax、wool greaseとも呼ばれる。ラテン語でウールを意味するlānaと、油を意味するoleumに由来する。
洗剤っぽいニオイは有機溶剤の方だと思うのだが、こちらのクリームの主な効能としては、この「ラノリン」が大きいのだろう。
とりあえず、このクリームで革ケースを磨きながら、ストラップをどうするか、しばらく考えてみようと思う。
今日の発見 さすがに革製品の修理屋さんは革の扱いに詳しかったです。困った時は専門家に相談するのが一番。