黒色中国BLOG

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フォクトレンダー・ベッサLの使用感(ライカ3fとの比較)

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去年12月に入手したフォクトレンダー・ベッサL。十数年越しでの願望をようやく実現したのですが、ようやく正月明けに撮影に出かけることができました。

1999年に発売、2003年に生産終了したカメラの使用感なんか今更書いても読む人はほぼいないと思いますが、このカメラって意外にファンが多い?みたいで、上掲のブログ記事2つをアップしてから、少しづつながらもアクセスが途切れることなくほぼ毎日あります。

だから、ベッサLの使用感について、ライカ3fとの比較も交えてレポートしておこうと思います。

ベッサLとライカ3fの比較 

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  • 「軽さ」において、ベッサLは素晴らしい。ライカ3fは似たような大きさなれど、手にするとズッシリとくる。半日ずっとベッサLを手に歩いてみましたが、持っているのを忘れるぐらいの重さです。右手首にストラップを巻き付けて、常に撮影できる状態でずっと持ち歩きましたけど、全然苦になりませんでした。
  • それと、ベッサLはちょっとやそっとでは壊れない…という信頼感があります。ライカ3fも頑丈ではあろうけど、手にすると慎重に持たないと…という緊張感がある。
  • 巻き上げレバーは素晴らしい。予備角までレバーを引き出さないとシャッターロックがかかっている仕様は、このカメラの欠点として挙げられる代表になっていますけど、私はすぐ慣れて気になりませんでした。
    3fの巻き上げノブも捨てがたいのですが、やはりスピードでは劣ります。
  • シャッタースピードの変更がカンタンでいい。ライカ3fだといちいち持ち上げて回さないといけません。それとベッサLのシャッタースピードダイアルは大きいので、手袋をつけたままでも操作できます。
  • ベッサLは発売当時、まだフィルムカメラ全盛の時代でしたし、ライカと比較されてしまうので、プラスチックで出来たオモチャ、安物として酷評されてましたけど、デジカメが主流の今となっては全金属のカメラが存在しないため、いまベッサLを手にすると「金属含有率」が高くて、オモチャっぽさはありません。
  • 背面のラバーのベタベタというのは、私が購入したものにはありませんでした。右手親指があたるところにラバーの出っ張りがあって、そこに親指をかけるとシッカリとグリップ出来て持ちやすいです。
  • シャッター音は確かに大きい。でも、全くの無音状態で静寂を保ったまま撮影をするとか、そういう用途もなかなかありませんし、街中で撮影する分には何の問題もない程度の音です。
  • ビューファインダー(28ミリ)の見え方も悪くない。もう少し大きめに見えてもいいのかな…というのはありますが(純正のアベノンファインダーはもっと大きく見えた)、これぐらいの大きさがちょうど見やすくていいのかな…というところ。アクセサリーシューに取り付けても適度な大きさのためあまり邪魔にならず、携行性に優れております。

http://www.cosina.co.jp/seihin/voigtlander/archives/bessa-l_r.pdf

▲ちなみに…こちらはベッサLの仕様書です。

距離計がないのはメリットかデメリットか

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▲ベッサLは距離計も内蔵ファインダーもないので、安く中古が手に入り、玉数も多く、故障のリスクがかなり軽減するので、買いやすく、扱いやすい…というメリットがありますけど、距離計も内蔵ファインダーもない…といっても、軍艦部ではアクセサリーシューのあたりがちょっとモッコリ上に出ておりまして、ここがツライチでライカ1fみたいになっていたら…もしくはもっと低くなっていたら、外部ファインダーのパララックスが軽減するので良かったのに…と、それが残念。でも、28ミリのレンズで撮る分にはパララックスはほとんど気に成らないと思うのですけどね…

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▲こちらはライカ3f。パララックスに神経質になるものの、ライカ3fの距離計部分ってそんなに盛り上がっているわけではないので、実際は気にするほどのものではないかも。ベッサLで撮影していたら距離計が欲しくなることが何度かあり、最短距離(1メートル)で人物を撮ろうとしたのですけど、そういう使い方なら巻き尺でも持参した方がいいのかも知れない。ちょっと離れた上で被写界深度を効かせて撮影する分には距離計は全く必要ありません。

露出計の問題

今回の撮影時には、

反射光式露出計も携行し、ベッサLの露出計と比較しながら撮影しましたが

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▲ベッサLの露出計はたまによくわからなくなることがありました。露出計の精度が高すぎるのか、幾ら絞りやシャッタースピードを変えてやってもピッタリ「緑」だけのランプになることはほぼない。

セコニックの反射光式露出計は針で表示されているので、見やすいのもあり、安心感もありますけど、ベッサLの方は時折「それって本当に正しい露出なの?」という感じになります。たぶんベッサLの方がTTL測光なので、それなりにタイトに露出を読んでいるものと思われ…結局、セコニックとの並用で、測光する場所を変えたりしながら、正しい露出を探りましたけど。

一度、ベッサLの露出計だけを信じ切って、撮影してみた方がいいのかも知れませんけど、私としてはセコニックとの並用+自分のカンも含めてベッサLの露出計も参考にする…という感じですね。

フィルムカウンターが見にくいのが難点

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▲ライカ3fがスゴイと思うのはフィルムカウンターですね。構造上そりゃ見えやすくて当然なんですけど、こんなにわかりやすいフィルムカウンターってなかなかありません。

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▲こちらはベッサLのフィルムカウンター。写真で見るとそれなりに見やすいのですが、写真で拡大しているからで、実際には小さくて読みづらいです。

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▲ちなみにこちらはライカM3のフィルムカウンター。小さいのですが、レンズを入れて拡大してくれています。やっぱりM型はこういうところがキッチリ金をかけて作ってあるな…と感心します。

グリップの考察

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▲ベッサLに純正のサイドグリップを取り付けて使用してますが、この「出っ張り」部分が若干小さめ。もう少し出っ張ってくれていたら(できれば上方向にもっと長ければ)良かったんですけどね…16年前に生産が終わったカメラのアクセサリーに文句言ってもしょうが無いのですけど。でも、このグリップはベッサLを使う上でゼッタイあった方がいいです。私はキズモノを4000円代でゲットできました。

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▲ライカ3fに取り付けている革製のカバーは右手側に大きく出っ張った「グリップ」があって、これが非常に持ちやすいのです。この革製カバーは昔レモン社で販売していたものを購入して(たぶん今はない)、自分でラバーの滑り止めを貼り付けて使用しているものです。

総評:用途を絞れば今でも充分すぎるほど現役のカメラ

昔、28ミリでのストリートスナップに狂っていた頃にライカ3fを使ってまして、その時にもっと軽快に使えるベッサLが欲しかったのですが、十数年の歳月を経て使ってみたところ…

  • やっぱり巻き上げレバーは良い。
  • 軽さと丈夫さは正義
  • 距離計のことは気にしない。気になるなら巻き尺を持っていく。
  • 露出計は嬉しいけど、無くても良かった。どっちにしろ単体露出計は持っていた方がいい。
  • ライカのように持っていて自慢になるカメラではないけど、撮影に専念する上では非常に完成度が高い。
  • これだけのカメラが1万円前後で買えて、中古でも数が出回っていて、今でもメーカーの正規の修理が受けられるのが素晴らしい。

今の時代に、ライカスクリューマウントレンズを使ってフィルムでの撮影をやろう…という人が、一体どれほどいるのか疑問ですけど、暗い広角レンズを常用する人ならベッサLは「買い」ですね。

もうしばらく使い込んでみてから、またレポートしてみようと思います。

  • 今日の発見 今まで気づきませんでしたが、フィルムカウンターが見にくいカメラって使いにくいですね…それとデジタルでついた「クセ」でフィルムカメラを使っても撮影直後に背面をいちいち見て「写り」を確認したくなりますねw