黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

中国のニュースで小泉進次郎「セクシー」発言はどのように訳されたか

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昔、私が勤めていた会社の上司は、欧米の滞在経験が長く、英語が達者であったため、仕事の会話の中にところどころ英語が入ることがあった。

私は英語が苦手なものの、なんとなく意味がわかるような英語しか上司は使わなかったため、特に困ることはなかった。

ただ、1つよくわからない言葉があって、それが「セクシー」だったのである。

欧米帰りの上司の思い出

たとえば、「この資料にはセクシーなところが必要だ」 とか「このプレゼンテーションの、この部分はセクシーでいいね」みたいな使い方をするのである。

意味を解説してもらうと、「客がもっと見たい重要情報だけど、全部見せてくれない、だから引きつけられる箇所」みたいな意味なのだった。つまり、性的な意味はなくて、「魅力的」ということだろうか。

ちゃんと契約して受注してもらえたとか、そういう段階にならないと全ては見せられないけれど、「ちょっとだけ」見せて客の好奇心を煽る…そういう意味で「セクシー」という言葉が出てきたのである。

こういう使い方が一般的なのか、上司だけの言い方なのかは知らない。ただ、この経験でわかったのは、英語の「セクシー」には、一般的に知られる使い方とは別に、ちょっと変わった使い方をすることもあるのだ…ということであった。

* * * * *

本稿は小泉進次郎氏を擁護しようとか、そういうツモリはないので、ここまで読んで怒り狂っている皆さんは、落ち着いてこの先を読んで欲しい。

私が、小泉氏の件を聞いた時にすぐ思い出したのは、上司の件だったが、それからすぐに「中国ではどのようにこの件を伝えるのであろうか…」ということが気になりだしたのであった。

中国語に訳せば「性感」

▲こちらの記事で、小泉発言が中国語で紹介されている。

“政治上有很多问题,有时还很无聊。但在应对气候变化这样的大问题上,则一定要有趣、一定要酷。还一定要性感。

日本語で「性感」は、「性感マッサージ」とか、「性感帯」という使い方を見てもわかるようにストレートに「エロい」意味になる。

ただ、中国語にはそういう「エロい」方に偏った意味はなくて、ただ「セクシー」という意味しかない。とはいえ…

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▲百度(中国のグーグルみたいな検索サイト)で、「性感」で画像検索をすればこの通りなので、やはり、こういう意味合いの言葉になるのは間違いないが。

微博(ウェイボー)での反応

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▲中国のSNSである微博(ウェイボー)では、昨日(23日)の内にこの話題は取り上げられて、多数のコメントが寄せられている。

https://www.weibo.com/2213526752/I8iA7uns2?refer_flag=1001030103_&type=comment#_rnd1569288951748

▲こちらが上掲の投稿へのリンクになるが、このブログ執筆時に76件寄せられたコメントを見ても、小泉発言における「セクシー」の意味を好意的に解釈する人は見当たらない。ツイッターの日本人には一部擁護する人もいるのだが、そうした発言は見つけられなかった。

ただ、興味深かったのは、小泉発言の批判よりも、彼は父が小泉純一郎であるとか(中国では非常に有名な日本の元首相である)、兄の孝太郎によく似ているとか、ヨメは日仏ハーフの女子アナだとか、日本も世襲政治なのか…というコメントが多く、随分と皆さん日本の状況に詳しいのであるw

「セクシー」という言葉が、英語の世界でちょっと違う使われ方をする事例がある…性的な意味とは別で、「イケてる」「魅力的」という意味もあるのだ…という解釈や擁護もあっていいのだろうが、今の時代、こういうニュースはすぐに多言語に翻訳されて世界に伝わってしまう。英語圏以外に「セクシー」を翻訳して伝えた際に、英語で「セクシー」が持っている別の意味が完全に抜け落ちて、今回の中国語訳のように直訳されることもあるだろう。

日本国内での発言にイチイチ細かいところまで神経質になるのも大変だろうが、国際的な場での言葉使いには、誤解を招かないよう、慎重になった方が良いのではないだろうか。

私も時折、通訳を挟んで国際的な場で発言することがあるのだけど、そういう時には、通訳の人が困ることのないように、わかりやすい日本語、噛み砕いた表現で発言することが多い。日本人同士で日本語で話していても、言葉というのは思いがけない受け取られ方をすることが珍しくないのだ。外国語で、しかも色んな人が参加し、色んな人に見られる国際的な場であれば、なおさら誤解されることに注意を払うべきだろう。

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小泉進次郎の話す力

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