黒色中国BLOG

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【チャイナボカン】中国軍用トラック『解放』と燃料について

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昔、北京に留学していた頃、寒い冬になると、トラックのエンジンの下で焚き火をしているのを何度か見かけた。大きな木材をくべて、景気よく燃やすのである。

厳冬期になると、エンジンが凍結してかからなくなるため、こうやって暖めるのだと中国人から聞いた。でも、燃料を積んでいるわけだし、ああやって火を燃やしては危ないのではないか?と聞いてみたが、大丈夫大丈夫…というだけであった。

冬のある日、タクシーに乗って走っていたら、遠くに煙があがって大きな音が聞こえる。近寄るとトラックが燃え、あたりにも火を撒き散らしたようになっている。たぶん爆発したのであろう。

やっぱり大丈夫じゃなかったのだ。

昨晩、このエピソードをツイッターで披露したところ、「ディーゼルは爆発しないのではないか」という疑問を戴いた。

そこで改めて調べてみたところ、意外なことがわかってきたのである。

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私が見たのは、この「解放」と言われるタイプのトラックである。ボンネットに特徴があるので見間違うことはない。少し前まで中国では、こういう古いタイプのトラックがたくさん走っていたのである。

1956年に生産が始まり、500万台作られたそうなので、たぶん今でもまだ走っているのではないだろうか。

上掲の百度百科の解説を読むと、「6缸直列水冷四冲程汽油发动机」とある。「汽油发动机」とは「ガソリンエンジン」の意味。このトラックはガソリンで動くのだ。

▲こちらの「解放」トラックに関するページを読むと次のようなことが書かれていた。

没有汽油可以用航空煤油代替汽油,只是长期用航空煤油很容易烧缸,我们就在航空煤油里加洗涤汽油代替汽油

 ガソリンが無い時は、航空燃料(ケロシン)で代用できた。但し航空燃料を長期使用するとシリンダーが焼きつくので、航空燃料に洗浄用のガソリンを加えて使用した…そうである。

▲ちなみに、「ケロシン」は「灯油」と似たものであるらしい。では、灯油でガソリン車は動くのだろうか?

▲こちらの記事を読むと、

 ガソリン車に灯油を入れるとどうなるか、という事ですが、灯油100%の場合は碌に動きませんが、何割でガソリンを薄める程度であれば走ること自体は可能です。

 これもまた脱税行為で逮捕の原因になりますが、実際に街宣車などがこういった不正給油を行い逮捕される場合があります。

 …とある。

私もトラックといえばディーゼルと思い込んでいたのだけれど、1950年代の中国では、ディーゼルエンジンを国産化できなかったのか。もしくは航空燃料や灯油などを混ぜても使えるのを前提としてガソリンエンジンにしていたのか。日本では、自動車の燃料に灯油を混ぜたりするのは脱税行為になるとして禁じられているが、中国の軍用車両においては、そのあたりは融通が効くように設計されていたのかも知れない。

センチュリードラゴン 1/43 解放 CA10B (中型軍用トラック)

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