黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

二本足は両親以外食べる

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昨日のザリガニのことに限らず、中国の食文化について、ツイッターで話題になることが多い。「そんなものも食べるのですか?」と言う声が寄せられるのだが、そういう時に毎回誰かが送ってくるツイートに、「空を飛ぶものなら飛行機以外、四本足なら机と椅子以外…なんでも食べる」というのがある。

幾つかのバリエーションがあって、「泳ぐものは潜水艦以外」とか、言ったりもする。中国人が何でも食べることを面白がった言い方であるけれど、1つ日本ではあまり触れられない「バリエーション」がある。

两条腿的父母不吃(二本足のものは父母を食べず)

つまり、父母以外なら「二本足」も食べますよ、ということである。

なぜ父母だけは食べないのか…と言えば、親不孝にあたるためらしい。その逆に「割股行孝」と言って、病気の父母や舅姑に自分の肉を薬用として提供したりする。いずれにせよ、昔のことである。日本では食人習慣にあまり馴染みがないため、この「言い回し」は定着しなかったのではないかと思われる。

中国の食人習慣については、「中国人悪しかれ」と言いたいばかりの根拠不明にして無責任なネット情報が多く見られるけれど、正確に理解したいのであれば、桑原隲蔵が詳しく書いているので、そちらを読む方がためになるだろう。

 最後の『支那の考道』は、食人習慣に直接触れたものではないけれど、より深く背景を理解したいのであれば、合わせて読まれることをお勧めする。

ツイッターでこの辺りの話をしていると、「中国人は人肉を食べる」と、したり顔でどこかで読んできた受け売りを開陳し始める人が出てくるのだが、私は長年、中国をアチコチ旅していても、人肉を食わせるレストランとか、販売している店を見かけたことも、噂を聞いたこともない。ごくたまに、そういうニュースがあるのだけれど、それは猟奇事件の一種であって、中国人全般に浸透している習慣とは言えない。ごく一部で行われていることであり、それは中国以外でもたまに起こることだ。そういう返答をするとなぜか毎回、不興を買ってしまう。

中国に行ったことがなさそうな人や、広く旅行をしたことがなさそうな人から、「中国人は人肉を食べるのだ」と半ば説教のように底の浅い受け売りを聞かされ、さぁ認めろ!なぜ認めぬか!と念押しされるのは何故なんだろうか。ようするに、中国人の悪口を言いたいのだろうけれど、どうしてそんな浅薄なところに飛びつくんだろうか。そんなに中国の悪口を言いたいのなら、中国を3日も旅すれば、10年分ぐらいの悪口のネタを簡単に仕入れられるだろうし、本から仕入れるにしても、もうちょっとマシな悪口があるだろうに。

ツイッターで中国の奇食について話題が出る度に、また「受け売り」を聞かされるのかと思い、暗鬱な気分になるのである。

支那人の食人肉風習

支那人の食人肉風習

  • 作者:桑原 隲蔵
  • 発売日: 2012/10/04
  • メディア: Kindle版