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『南京大虐殺』の犠牲者…「三十万人」の名簿は存在するのか?

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Memorial Hall to the Victims in Nanjing Massacre.jpg

ツイッターのフォロワーの方から表題の件について質問を戴いた。中国の書店に行くと、そういう本があったように思うのだけど、三十万人分の名簿といえば、かなりの文量になるはず…でも、中国があれだけ「犠牲者300000」と全世界に喧伝するからには、名簿ぐらいあるんだろう…と思って探してみたのですが…結論から言って「ない」ようです。

【目次】

30万の犠牲者を、1つ1つ数えきることは出来ない

▲こちらは2014年12月1日の新華網の記事。南京大虐殺紀念館にある「哭墙」(嘆きの壁…犠牲者の名前が刻まれている)に新しく87名が追加されました!という記事なのですが、それを加えても全てで10505名の名前しか刻まれていないとのこと。

▲『専門家が語る南京大虐殺:わずか1.6万人の犠牲者の名前が発見されたのみ』…この中でも「犠牲者30万」の根拠は見当たりません。それどころか「30万遇难者,不可能一个个数得过来」(30万の犠牲者を、1つ1つ数えきることは出来ない)ともある。

我在日本也曾说,谈30万人数问题有三个前提,第一是否承认日军在南京进行了大规模的屠杀,第二是是否承认这是极度残忍的,第三是是否承认杀害百姓和放下武器的军人是违反国际法的。如果承认这三条,那么人数问题是可以讨论,但这种讨论必须是在学者间。

私はかつて日本で述べたことがあります、30万の人数の問題を語るに3つの前提があります。第一に日本軍が南京で行った大規模虐殺を認めるか否か、第二にこれが極度に残忍であったことを認めるか否か、第三に一般市民と武器を放棄した軍人を殺害することが国際法に反することを認めるか否か。もしこの3つを認めるのなら、人数の問題を討論することもできるでしょう。しかし、これらの討論は学者間においてされるべきです。

この記事は、「張憲文」という南京大虐殺史研究所の所長さんへのインタビューなのですが、要するに日本側が全面的に「罪」を認めてからでないと、「三十万」の人数について議論は出来ないし、この種の「議論」に参加できるのは学者だけですよ…というのがこの専門家の主張のようです。張憲文氏は歴史学者のようですが、主張は「学問的」であるよりも、非常に「政治的」な気がします。

何はともあれ、彼は「30万の犠牲者を、1つ1つ数えきることは出来ない」と言い切ってしまっているので、日本側が「罪」を全面的に認めたところで、犠牲者30万人の証拠は出てこないと思われます。

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  • 作者:秦 郁彦
  • 発売日: 2007/07/01
  • メディア: 新書