【YOUTUBE】『南シナ海で調査中の米無人潜水機 中国に奪われる』アメリカ国防総省は、南シナ海で海洋調査をしていた海軍の無人潜水機が中国海軍の艦船に奪われたと発表 https://t.co/IxVKufKhKE
— 黒色中国 (@bci_) 2016年12月17日
今朝からこの件で騒がしくなっております。ようするに、中国が泥棒した…ということなんですけど、今のところ中国側からの反論はなし。
でも、理屈をこねるのが上手い中国ですから、何か口実は作り出すと思います。そこで今わかる範囲で、なぜ中国海軍が米海軍のものを盗んだのか、考えてみようと思います。
中国の報道:米軍は海底地形をスキャンしていた?
▲現在、中国のニュースで見当たる関連のものはこれ。
中国では、こうした事件の時にすぐに自主的な報道せずに、「海外のメディアではこういうことを言ってるよ」というのをまず出してくるパターンがあります。
でも、こういうニュースの中で、迂遠に本音を漏らすことがあるので、一応目を通すと…ありました。
美国的无人潜航器使用历史不短,而上一次无人潜航器备受关注的情况还要追溯到2014年马航MH370事故的搜救上,美国使用了当时世界最先进的“蓝鳍21”无人潜航器。
これに続く文章は長いので、いつものようにいちいち要訳しませんけど、手短に言うと、米国は2014年のマレーシア航空370便墜落事故の時にブラックボックスを探すため、無人潜水機(Bluefin-21)を使ったけれど、この無人潜水機にはいろいろな計測用の機器が搭載されていて、海底地形をスキャンしたり、金属をさがしたりできるんだよね…ということを書いています。
今回、米海軍は海底地形のスキャンをしていたのだ!とは書いてないんですけど、「あれはそういうことできるんだよね」とかなりの字数をさいて、米側の報道の後に付け加えているのです。
ようするに、「海底地形をスキャンしてたんだろ」という話にしたい…中国人民にはそう思って欲しいのでしょう。
でも、なぜあの場所で米海軍が海底地形をスキャンしていたら、中国海軍が無人潜水機を盗んでもいいのか。次のような「口実」が考えられます。
「中国EEZ内での無許可の軍事活動、情報収集」
中国はスカボロー礁を実効支配し、領有を主張しているので、その200海里(370.4km…地図上の赤の線)内は中国のEEZ(排他的経済水域)となります。
▲こちらによれば、
米当局者によると、現場は南シナ海の公海上で、フィリピン北部ルソン島のスービック湾の港町から約160キロ沖合の地点。
…とあります。
「港町」がどのあたりか不明なので、スービック湾の入り口あたりを中心に160kmの円周を緑色の線で地図上に書いてみましたけど、中国が200海里まるまるEEZを主張しなくても、今回の米無人潜水機は、中国の主張すると思われるEEZにかなり踏み込んでいるのがわかります。
中国のEEZ解釈
▲こちらの記事に古森さんが中国のEEZへの対応をまとめてくれていますけど、ちょっと引用すると
EEZとは1994年発効の国連海洋法条約で、沿岸から200カイリの範囲内で沿岸国の経済開発の主権を認めた水域である。ただし軍事的活動には沿岸国の主権は適用されず、各国とも軍艦などは相互のEEZ内で自由に活動させてきた。
だが中国は大陸棚の末端までを自国のEEZだと宣言するだけでなく、他国の軍事活動への主権も主張し、自国のEEZ内の他国の軍艦の航行などに事前の承認を求めてきた。米国など各国はその要求を一方的だとして排し、中国EEZ内での軍事活動を続け、対立の原因ともなってきた。
今回、中国海軍がどのような判断に基いて、米無人潜水機を「回収」し、今後中国政府がどのような見解を出すのか、まだわかりませんけど、背景としてはこのような状況があるものと思われます。
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▲こちらでも中国のEEZ問題に触れています。