遠藤誉さんのコラムを読んでいたら、興味深い箇所があった。ちょっと長いのでツイッターではなく、ブログで紹介しておこうと思う。
私が気になったのは、上記コラムの『◆政府活動報告の6つの内容 1.2014年の活動総括』の中の一節だ。下記に引用する。
(流動人口が定住し戸籍あるいは住民票を得るための)低価格高層アパート740万棟建設に着工し、すでに511万棟建設した。(遠藤注:中国政府は2014年3月に国家新型城鎮化計画を発足させ、2014年から2020年までの間に、2.67億人に及ぶ流動人口の戸籍問題を解決しようとしている。
そのためには定住する場所と就職先が必要で、都市部に流れ込んできた農民工を内陸部に戻し、そこに新たな就職先を創る事業を遂行している(2020年までに3600万棟建築する)。
それを実現しないと2048年には年金が枯渇するので、住民票がある状況をつくって積み立てを行わせて、社会保障制度を充実させていこうとしている。
それを可能にさせるためにも、海外に流れて消えてしまっている年間40兆円にも及ぶ不正蓄財を食い止めなければならない。
腐敗撲滅の目的の一つは、ここにある。これに関して詳細を知りたい方は『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』p.250「国家新型城鎮化計画」をご覧いただきたい。
反腐敗運動が権力闘争のためだと未だに言っている中国研究者やジャーナリストがいるが、中国にはそんなゆとりはない。この問題を解決しなければ一党支配体制は必ず崩壊するからだ)。
習近平の反腐敗運動を「権力闘争のため」と評価するのは、日本保守の模範解答である。これ以外の回答をすると、習近平の政策に好意的…つまり「親中派」と思われ、攻撃を受けることになる。
中国の政治に関するものはあれこれ読んでいるつもりだが、「権力闘争のため」と主張するものは確かに多い。そういう中で真っ向から異論を唱えているのは初めて見た。
遠藤さんの見方が正しいのかはさておき(…と断っておかないと「中共シンパ」として攻撃されますからねw)、習近平政権については、もう少し多面的な検証が必要ではないかと思っていたところだ。私にとって遠藤誉さんと言えば、『チャーズ』の著者という印象が強くて、現代中国政治の本を書いている印象が薄かったので盲点だった。さっそく、この本を読んでみようと思う。キンドル版が無いのが残念だが…