上海の下町を歩いていると、よく見られる光景です。
人様の洗濯物なので、あまりジロジロ見てはイケないのですが、かといって公共の空間に堂々と干しているから、どうしても視界に入ってきます。
しかし、長年この光景を見ていると、上海人は他人に見られることを意識して干しているのではないか…と考えるようになりました。
公共の空間に展開する人々の生活
下着などの他人に見られたくない洗濯物は目立たないところに。通行人からよく見える場所には良い服を、むしろ目立つように干している。
「私はこんなに良い服を持っているのよ!」と自慢も込めて、色や配置も考慮してバランスよく干しているのでは…上海人は長年、他人に見られる場所で洗濯物を干している内に、独自の美意識が発達したのではないだろうか。
これって、よく見たら電線に掛けてますね。感電とか断線とかしないんでしょうか…
上海の下町は狭いところに小さな住居が密集しており、各家庭に洗濯物を干すベランダや中庭などの空間を持っていません。そこで、公共の空間に洗濯物が翻るようになるわけです。
上海の下町で、公共の空間は、居住者の生活空間の延長になっています。彼らの家の中に入らなくても、道を歩けば生活の様子を見られるのです。
雑貨屋さんの店先。最初これを見た時、洗濯物じゃなくて売り物じゃないのか?と思いました(笑)。
よく見ると、チェックの服は3つ並べて目立つところに。地味な単色のトレーナーみたいなのは上の方に並べて干してある。なんとなく、配色や配置にセンスがあるような。
店の中で針仕事をしているオバサンを見ると、青いチェックの服を着ているので、よっぽどこのオバサンはチェックの服がお気に入りなんですね。
人様の洗濯物だから、あんまりジロジロ見てちゃダメなんですけど、こういうところにも、中国人を理解するヒントがあるような気がするのです。