表題の件、ツイッターでご質問いただきました。
この件は私も中国の寺に行った時に、同じ疑問を感じておりましたので、ブログ記事でご回答しようと思います。
【目次】
まずは中国語による読経を聞いてみる
▲こちらは中国じゃなくて、台湾のお寺「霊前禅寺」の読経の様子です。2分50秒あたりから始まります。
字幕もついているのでわかりやすいかと思い、この動画を選んだのですが、現代中国語を学んだ人でも、これは何を言ってるのかわかりませんよね。字幕と合わせて音を聞いて意味がわかっても、音だけを聞いて経を書き起こせる人はほぼいないと思われます。
中国人にもわからない
▲こちらは「百度知道」(中国のヤフー知恵袋みたいなサービス)に寄せられた質問。「仏経には何が記載されているのですが?私はお寺で僧侶が経を読むのを聞いても全くわからないのですが。漢文ではないのですか?」というもの。やっぱり、中国人にもわからないようでw
それに対する答えを要訳すると…
- 経を読んだことがない人が、読経を聞いてもわからない
- なぜならば読むのが早くて、漢語ではあるものの、発音が普通話とはちょっと違うから
- 仏経は音訳のものと意訳のものがある。
- 全ての僧侶が中国語で読経をしているのでもなく、サンスクリット語の読経もある。
ようするにこれって、宗教とは関係無しで、外来のテクニカルタームの多い話をいきなり聞いても何のことかわからない…ということなんでしょうね。しかもそのテクニカルタームが、意訳と音訳の両方があって…ということですから。
▲こちらに至っては、「寺で僧侶が経を読む時、何語を使って読んでいるのですか?」という質問がw
回答を要訳すると
- いくつかの漢音のサンスクリット語を除いて、漢語です。
- ただし、読経の音調が、我々の話し言葉とは違うので聞き取りにくい。
- 地方の訛りが強かったり、全くの方言だったりする。
- たとえば、私の実家は温州だけど、現地の方言で経を読むので、私にもわからない。
たぶん…なのですが、中国仏教の読経は当然ながら、大昔からやってるわけで、中国語が普通話に統一されたり、発音表記が普及されるずっと以前から存在する。そうなると、地域ごとの方言で経を読んだり、寺ごとに経の発音を口伝で継承してきたわけで、それに独特の節回しみたいな発音が加わると、中国人でもいきなり聞いて内容が理解できない、生まれ育ったのとは別の地域の寺の読経を聞いてもわからない、上掲の温州の場合のように、実家のある地域の方言で読経してても、聞き取れない…ということが起きてしまうのかと思われます。
【おまけ】チベット仏教の読経は何語でやってるのか?
前から気にはなっていたのですが、チベット仏教の読経は何語でやっているのか。そりゃチベット語なんだろう…とは思うものの、一応確認してみると、チベット語でした。
▲こちらはチベット語の般若心経。そもそも日本のものとは違う「大本」というタイプのものらしいですが、日本の般若心経とは全然音が異なりますね。
動画のテロップでも説明されていますが、偈呪の部分はサンスクリット語で、日本の「ギャーティ、ギャーティ…」と音が似ているとあります。
仏教、本当の教え インド、中国、日本の理解と誤解 (中公新書)
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