Massive dead fish found in lake in S. #China’s #Hainan Wed for uncertain reason; workers clear over 20 tons in 5 hrs pic.twitter.com/PKTScmoysr
— People's Daily,China (@PDChina) 2016年5月4日
魚が大量死とか、水質汚染と聞くと、釣り好きの私としては気になってしまいます。CNNのニュースから気になる要点を抜き出すと…
- 近隣の住民は水質汚染を懸念
- 魚が湖の奥へ流され、塩分濃度の変化によって死んだとの見方を示す。
- 魚の種類は明らかでない。手のひらの半分ほどの大きさで、住民らがこの湖で見かけたことのない魚だという。
- 魚が市場に出回ることのないよう、湖では衛生職員ら数十人が何時間もかけて死骸を処分した。
私としてはこの4点ですね。
念の為、中国側の報道を見てみます。
■海南一公园35吨鱼死亡:海水鱼不适应湖水水压_新闻_腾讯网
▲こちらの記事を元に詳細を読みますと…
場所:海南省海口市龍華区紅城湖
▲一見するところ、この紅城湖は、海につながっていないのですが、たぶん東側の美舎河と細い水路でつながっているのかも知れません。
動画
YOUTUBEにニュース動画が上がっていたので、こちらにも貼っておきます。
魚の種類
今回大量死したのは、「青鱗魚」という名前の海水魚だそうです。
百度百科で調べてみると、学名が「Harengula zunasi Bleeker」とあり、「Harengula」で調べてみると和名は「サッパ」とあります。
ニシン目の魚ですね。
大量死の原因
読み進めると、潮に乗って南渡江に入り、そこから紅城湖に入り込んだところで、塩分濃度が突然下がったので大量死…普段海水での血圧に慣れている魚が、急激に塩分濃度が変わったために、血圧が水圧を越えて血管破裂になったのでは…と記事には説明されています。
サッパは汽水域の魚なので、通常なら塩分濃度の変化に耐えられるのでしょうが、急激に変わったので対応できなかったのでしょう。
汽水域の川でシーバス(スズキ)を釣って、水中のビクに入れてキープしておいたら、ちょうどその日が大潮で、急激に海水が引いていったために周辺の水が淡水と入れ替わって、シーバスがビクの中で大暴れした…という話を以前聞いたことあります。たぶんサッパの場合は暴れる間もなく血管破裂したのでしょうか。こういう時に釣り人としての知識は便利ですね(笑)
大量に発生した魚の死体は、売られることがないように、ゴミ焼却発電施設へ持ち込んで焼却処分となったそうです。
▲先に紹介したニュース動画を見ても、回収作業にあたる人々は、特に防毒装備を装着しておらず、普通の作業着でやってますから、有毒物質の流出ではないように思われます。
ただし…過去にも3回の大量死
上掲記事の最後の段落によると、2013年2月と2014年と2015年の5月にも魚の大量死は発生している…とあります。2013年の大量死の際の調査によれば、原因は塩分濃度の上昇だそうで、たぶんこのあたりの水路利用や地形などが原因なのでしょうね。
CNNの記事では「水質汚染を懸念」とありますが、それならサッパ以外の、この湖の魚も普段からたくさん死んでいるでいるものと思われます。
蛇足:本来紅城湖にはどんな魚が生息しているのか?
このブログ記事をツイートしたところ、すぐにロクに読みもせずに「環境汚染が!」と騒ぐ人が出てきたので、ちょっと追記しておきます。
▲こちらは紅城湖の釣り場ガイドなんですけど、釣れる魚種を見てみると…
- 鲤鱼(コイ)
- 草鱼(ソウギョ)
- 鲫鱼(フナ)
- 鲢鱼(レンギョ)
- 青鱼(アオウオ)
- 鲶鱼(ナマズ)
- 罗汉(羅漢魚)
…とあります。日本人にもお馴染みの淡水魚ばっかりですね。
最後の「羅漢魚」というのがよくわからないのですが、百度百科で調べると、羅漢魚はマレーシアの水族業者が交配させて作ったもので、英名が「Rajah Cichlasom」とあります。「Cichlasom」でググると、ズバリの答えは出ないのですが、「シクリッド」という情報が出てきます。
淡水・汽水に広く分布しており、約1300種類が確認されている…とのことなので、他の生息している魚を見ても、ここの羅漢魚というのは、たぶん淡水系のものなんでしょうね。
コイ・フナ・ナマズがいるような淡水域まで、潮に乗ってサッパが上がってきたので、塩分濃度の関係で大量死したと見るのは全く不自然ではありません。他にコイ・フナなどの死体は上がっていないようなので、環境汚染による大量死ではないと思います。