あの「反日鶏スープ麺」はどこで食べられるのか?
最近、中国や香港で食べた料理について書いてますが、昨日の記事は今までで一番よく読まれました。
その反響の中に、この麺は何処の店で食べられるのか…という質問がありました。
残念ながら、この麺は私の友人の彼女が個人的に作ってくれたもので、お店で提供されているものではありません。
しかし、このタイプの麺は、中国では「鶏湯麺」(ジータンミィエン)と呼ばれているもので、全く同じものではないものの、鶏湯麺を出す店は幾つかあります。
【目次】
上海の鶏料理店『振鼎鶏』
上海に『振鼎鶏』という鶏料理の有名なお店があります。支店がたくさんあるので、行かれた人も多いかと。
新鮮な鶏を茹でる。芯まで熱が通るか通らないかぐらいの絶妙なところで湯からあげる。鶏の臭みはなく、肉は柔らかく、サッパリしている。中国料理と言えば、油っこく生食はない印象だが、これは一応茹でているものの鶏の刺し身みたいなもの #上海雑記 pic.twitter.com/mSdcgpy3b3
— 黒色中国 (@bci_) 2014年7月2日
振鼎鶏では、自前の養鶏場を持ってまして、そこで育てた鶏を使って「白斬鶏」と呼ばれる鶏を茹でた料理をメインに提供しています。
この「白斬鶏」を作る過程で、使わない部分が出てくるので、振鼎鶏ではそれを集めて鶏スープを作っており、このスープを使った麺が美味しい…という話を聞いたことがあります。私は上海にいると、鶏を食べなくても、麺だけ食べに行ったりしています。
2年前のメニューの写真ですけど、上から4番目に「鸡汤面/鸡汁拌面」(鶏湯麺/鶏汁拌麺)とありますね。
鶏湯麺(鶏スープ麺)もよく食べているのですが、なぜか写真が見つかりません。とりあえず「鶏汁拌麺」の写真をお出ししますが、これは茹でたての麺に、醤油ダレを絡めて食べます。この「タレ」に鶏のスープが入っているそうで、確かに良い香りがして美味しいのです。
それと、写真の右に小さい碗でスープがついてきていますが、これが鶏スープですね。色から見てもわかるように非常に濃厚。鶏の脂が出ています。これでタンメンを作れば鶏湯麺になる。それがどういう味になるものか、大体想像できるかと思います。
美味しいのは確かなのですが、私の友人の彼女が作ってくれた淡白な鶏湯麺とはかなり違います。鶏の脂を抜けば近いものになるとは思うんですけど。それと、ここの鶏湯麺には、反日の彼女が作ったような鶏肉のほぐしたのは入っていません。別に白斬鶏を頼んで、それを食べながら麺を食べれば良いと思います。
▲中国の検索サイト「百度」を使って「鶏湯麺」の画像を出すと、このようになります。どれも大体脂が強くてスープが黄色ですね。
私の友人の彼女は、美容に気を使う人なので、鶏スープから脂をキレイに取り除いてしまったのかと思います。最近、中国の若い女性で、そういう健康志向の人は多いです。
香港『飴軒』の鶏ニンジン麺
でも、友人の彼女が作ってくれた、あのサッパリした鶏湯麺に近いものを、どこかで食べたはずなんだけどなぁ…と考え続けて、思い出した店が1つありました。
▲こちら香港の湾仔にあった『飴軒』という漢方デザートのお店。こちらに麺料理がありました。
▲確か、麺にニンジンを織り込んでいて、化学調味料無添加だったかな…ちょっと厚めにスライスした鶏肉が入っていて、とてもシンプルですけど、サッパリして美味しかったです。10年以上前の行ったのですが、当時香港は既に健康志向が始まっていたので、たぶんスイーツのお店に来る女性向けに、こういうサッパリした麺をだしていたのかと思います。
▲但し、こちらのお店は2011年頃に閉店したそうです…orz。
中国は広いですから、さがせばサッパリ系の鶏湯麺を出してくれるお店があるかも知れません。でも、簡単なものですから、自作しちゃう手もあります。
黒色中国流「飴軒鶏ニンジン麺」の作り方
私は飴軒の鶏ニンジン麺を心より愛していたので、その後香港を離れても、あの味を忘れられず、かといって同じようなものを出してくれる店をみつけられなかたので、自分で作るようになりました。これに関しては写真は残していませんけれど、一応簡単に作り方を解説すると…
- 【用意するもの】…鶏胸肉、生麺、ニンジン、スープの素、塩または醤油、黒胡椒。
- 鶏胸肉は1枚も要りません。半分でも多すぎ。好みにも寄りますが、三分の一ぐらいでいいと思います。これを皮付きのまま数ミリ幅でスライスします。安定して切れる程度で薄く切るのがいいと思います。
- ニンジンもたくさん要りません。標準的な大きさのニンジンの4分の1もあればよいかと。これを「ささがきゴボウ」みたいに切ります。私はスライサーを使ってます。
- ラーメンの生麺をまず固めに茹でます。
- 麺が茹で上がったらザルにあげます。
- 鍋に水と鶏肉とニンジンを入れてゆっくり加熱。ニンジンが柔らかくなって、鶏肉の赤身が消えるまで煮ます。脂が嫌いな人は、煮ている時に出てくるのをすくって除去すれば良いわけです。
- 鍋に麺を投入し、弱火で煮続けます。
- スープの素や塩、醤油などを入れて好みの味にしてください。鶏の味を消さないように、スープの素少なめで、足りない塩分を塩か醤油でちょっと足すぐらいがいいです。
- ドンブリに移して完成。私の場合だと最後に粗挽きの黒胡椒をかけるようにしています。ネギとか他の野菜はお好みでどうぞ。
本当なら鶏一羽仕入れて本格的に作りたいところですが、一人でちょっと食べたい時にそこまでやるのは大変なので、簡単に作れるようにしました。「スープの素を少し使い、それに鶏胸肉の味と脂を上乗せする」という方法で手間と時間を短縮しながら、それなりの味に近づけているわけです。
本当ならニンジンは麺に織り込まないとだめなんですけど、そういう麺を探すor作るのが大変なので、スライスしたニンジンを入れるだけです。飴軒で気づいたのですが、鶏とニンジンは相性が良いのですね。
ニンジンは火が通りやすいように薄くスライスするのがコツです。薄すぎると煮た後で崩れやすいので、そうならない程度の薄さで。
▲私はこのスライサーを愛用していますけど、これだと「1.3ミリ」の設定がベストです。
鶏とニンジンの味を麺に吸わせるために、麺は先に固めに茹でて、後でスープの中で再加熱します。麺がスープを吸ってしまうのを計算して、最後ドンブリのサイズに合う量になるよう気をつけてください。少なめに作ってちょっとずつ水を足すような感じでいいと思います。
この作り方で、飴軒の鶏ニンジン麺に50%ぐらい近いものが出来ます。鶏の脂とニンジンが合わさると、独特の「甘み」があって、その甘み吸い込んだ麺には、これまた独特の風味があるのです。簡単なので、ご興味ある方はぜひ一度お試しください。