【中国で大量のアカウミガメ 足に屋久島でつけたタグ】浙江省で大量のアカウミガメが見つかり、そのうち2匹の足からは屋久島で保護団体が取り付けた黄色い目印が見つかった。10月、浙江省で密売人らが摘発された際に見つかったアカウミガメ。凍った状態で100匹もいたという。 https://t.co/08Gqm96vNR
— 黒色中国 (@bci_) December 21, 2018
こちらのニュースに大きな反響があつまりましたが、結局のところ、中国人は何のためにアカウミガメをそんなに大量捕獲しているんでしょうね?ちょっと気になったので調べてみました。
【目次】
乱獲されているけど、魚市場で流通していない
中国での報道を見てみましたが、特にその目的などは書かれておりませんでした。
でも、中の写真をよーく見て下さい。冒頭に紹介した動画の中でも説明がありましたけど「黄色いタグ」が中国報道の写真でも見られますね。
http://www.umigame-kan.org/tag.html
▲あのタグは、NPO法人屋久島うみがめ館が取り付けているものです。
でも、そちらを見ても、アカウミガメの乱獲目的は触れられておりません。
そこで、もう一度ANNの動画に戻りますけど、1分35秒あたりから、北京の魚市場の取材をして、ウミガメは全種捕獲禁止になっているけれど、そのかわりにスッポンが人気…というちょっとピントのズレた話をしております。
乱獲されているけど、魚市場で流通していない…でもスッポン…という内容を伝えて、最後に先述のNPOからの情報として、「装飾品や食用」とだけ伝えて終わります。いまいちスッキリしません。
肉の値段はさほど高くない
▲こちらは広東省で416斤(208kg)のウミガメを捕まえて、肉は1斤70元で売れて、2万元ほど儲かった…というニュース。1斤が500gなので、100gあたり14元。現在のレートで224円。写真を見るとアカウミガメではありませんが、アカウミガメだからといって肉が高額になるのだとしたら、中国のどこかに記載があってもおかしくない…でも見当たらないんです。
このニュースではたまたま捕まえただけみたいですけど、大量に海亀を密漁している人達って、これで商売になるんですかね…しかも違法行為だし。
でもちょっと待て。
416斤の海亀を1斤70元で売ったら総額は29120元。記事で儲けは「2万元あまり」となっているので、残りの9000元ぐらいはどこへ行ったのか…ああ、カメって甲羅が大きくて、全部食べれるわけじゃないから、肉だけ取り分けて2万元なんでしょうね。
でも、今回捕まった密漁団は、100匹以上も冷凍にしていた。海亀を丸ごと冷凍して、100匹も保管しておくよりも、さっさと肉にして売り飛ばした方が鮮度もいいはず。何のために冷凍しているのか。そして肉の価格は密漁するには割に合わない。このあたりに何らかのヒントが隠されているはずなのです。
「スッポン」というヒントから…
ANNのニュースで伝えていた、スッポンがかわりに売れている…というのが気になるんですよね…日本で「スッポン」といえば、「精力剤」ですよね。
だから、「海亀 壮陽薬」(精力剤)という検索ワードで調べてみると…
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
これらはカメを使った精力剤です。
▲こちらが箱に書かれている成分。「龟甲胶」(亀甲膠)という文字が見えます。たぶん、亀の甲羅から取ったコラーゲンかと思われます。
▲亀甲膠は、滋養、増血作用があるとのこと。
ただし、百度百科の説明では「海亀」とは書いてない。淡水の亀のことかも知れない。さっきの精力剤の箱の説明も「海亀」とは書いてない。
一応、中国でもウミガメの捕獲は禁止されているので、このあたりを正確に書けないのでしょうけど、もし淡水の亀を使っているのなら、はっきりそう書けばいいはずですよね。でも、「亀」としか書かず「ぼやかしている」のは、ウミガメであることを隠しているとも思われるものの、決定的な証拠にはならない。もう少し踏み込んだ証拠が必要になります。
▲こちらでは薬用亀のことが書かれているのですが、写真で見るとウミガメのように巨大ではなく、「湖北」と書かれていることからわかるように、内陸にいる淡水の亀ですね。
うーん…ウミガメをこっそり強壮剤に使っているというのは、私の穿った見方なのかなぁ…と思いながら検索を続けていると…
アカウミガメでなければいけない理由
▲ありました。そのものズバリ「海亀膠」の説明です。そして冒頭部分に、
为海龟科动物海龟或蠵龟等的背、腹甲制成的加工品。
「ウミガメ科の動物であるウミガメ或いは蠵亀などの背、腹の甲羅で作られた加工品」とあります。
この見慣れない「蠵亀」を追っかけてみると…
▲という説明が出てきまして、「蠵亀筒」とは、亀の甲羅や掌を使った漢方薬で、滋養強壮に効く…とあります。
蠵亀の学名が「Caretta caretta gigas Deraniyagala」で、アカウミガメは「Caretta caretta」ですから、どうやら一致したようです。
つまり、アカウミガメは甲羅や掌に値打ちがあり、法律で禁止されているご禁制の品であるものの、滋養強壮・増血作用のある漢方薬の薬材になるため、密漁されているものと考えられます。
- 今日の発見 漢方と希少動物の絶滅は関係が深いのかも知れない。