【南沙、ウッディ島に中国がガソリンスタンド建設】『シノペック、西砂諸島のウッディ島にガソリンスタンド建設…着々と軍事基地を既成事実化』 https://t.co/Xcqjz8U5u2 pic.twitter.com/F5axqVCLhP
— 黒色中国 (@bci_) 2015, 12月 16
永興島(英語名:ウッディー島)って、面積は2.1 km²の小さな島なんですけど、そんなところにガソリンスタンドを作ってどうするの?自家用車を持っている人っているんだろうか?軍や武警もいるんだから、そもそも給油施設ぐらいあるだろうに…と疑問が湧いてきましたので、ちょっと調べてみました。
永興島の面積について
毎度のことながら、私はこの手の調べ物をする時に、まずはウィキペディアを見て、それから百度百科(中国のウィキペディアみたいなの)を見るんですけど、気になることがありました。
ウィキペディアでは永興島の面積を「2.1 km²」と書いていますが、百度百科によると、元は「2.13 km²」だったのを「拡張」したので現在は「2.6km²」になっているそうです。
百度百科によれば、永興島は東西に1850m、南北に1160mの大きさで、西沙群島最大の面積を持ち、南シナ海で26番目の大きさになるそうです。ちなみに人口は1000人程度(2012年のデータ)。軍人、武警、政府関係者などの公務員系だけではなく、少数ながら漁民なども住んでいるようです。
どんなガソリンスタンドなのか?
http://www.nbd.com.cn/articles/2015-12-15/970236.html
▲こちらの報道によると、永興島の「综合码头」(港)に2000立方メートル(2千キロリットル)の石油貯蔵庫を建設するそうです。「ガソリンスタンド」の建設場所については不明。ただし、そもそも永興島は小さい島で、上掲の写真で見てもわかるように、空港と港は隣接しているので、港につくる石油貯蔵庫は空港でも使用できると思います。
何のために必要なのか?
三沙市永兴岛加油站项目正式启动-20151213直播港澳台-凤凰视频-最具媒体品质的综合视频门户-凤凰网
▲こちらの動画のニュースで詳細が明らかにされていましたが、
- 三沙市(西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島)の建設でずっと石油不足が問題となっていた。
- 現在は海口(海南島)から石油を運んでいる。
- 三沙市の交通は船と飛行機の他に、今後はヘリを活用する計画となっている。
…というような事情で、西沙諸島最大の面積を持つ永興島で石油備蓄施設を建設する必要が出てきた…というのが真相のようです。
追記:永興島の周辺と七連嶼の開発
2千キロリットルの石油貯蔵庫が建設される永興島の周辺はこのようになっています。永興島の北側にあるのは「七連嶼」と呼ばれ、小さな砂州や小島で構成されています。
▲同済大学では「三沙市七连屿总体规划(2014-2030)及重点岛屿控制性详细规划与城市设计」つまり、七連嶼に関する開発計画の立案を始めているようです。
▲こちらは七連嶼の内、「北島」「中島」「南島」の3つが交通不便のため、繋げる計画があるようです。埋め立てるのか、橋でもかけるのか…そのための実地調査を2014年5月10日に行ったようです。
▲永興島は中国とベトナムが戦った1974年の西沙諸島の戦いの後、中国が占拠し、既に40年が経過してこのように街も出来上がっており、中国の実効支配が定着している地域です。中国の南シナ海進出の他に、七連嶼の開発も推進される事情もあり、そこで石油貯蔵タンクの必要が出てきたのではないかと思います。
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