【警戒】『北京近郊でロックダウン、50万人対象 武漢のピーク時と同様の措置』
— 黒色中国 (@bci_) June 28, 2020
中国は流行をおおむね抑制していたものの、北京で数百人が新型コロナウイルスに感染し、隣接する河北省でも感染者が確認される事態となっている。https://t.co/RuHc97RBmZ
▲ついに北京近郊でロックダウンが始まりました。こちらのツイートが大変注目されたのですが、なぜロックダウンになるのかよくわからないという人もいて、記事をちゃんと読めばそういうことにはならないはずなのですが、確かにわかりにくいのかもな…と思い、こちらの方で、中国での報道も交えて、カンタンに解説します。
【目次】
安新県は人口が少ない割に、危険な立地にある
▲安新県とその周辺の大都市を、人口込みにして地図で見るとこんな感じになります。
華北経済圏の喉元を刺すような場所にありますし、すぐそばに北京・天津という大都市がある。そして保定(ここも華北では重要)のお隣にあるので、この三都市の間で、安新県との往来はかなり多いはず。ただ、人口的には50万程度なので、感染者が少なくても、とりあえずロックダウンしちまえ!というのはあると思います。
魚&市場つながり
これって冒頭のAFPの記事に書いていることなのですが
今回の流行は北京の食品卸売市場「新発地」で最初に確認されたが、安新県の複数の事業者がこの市場に淡水魚を出荷していたと、国営新華社通信は報じている。
中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報によると、安新県では12人前後の感染が確認されており、うち11人の感染がこの市場に関係しているという。
安新県は白洋淀という有名な湖があり、ここで魚が捕れるのですね。
ちなみに、7年前の記事になりますが…
▲日中戦争の時に、田中角栄が兵士として白洋淀にいて、捕虜となった…という伝説が(あくまでも伝説)がある場所だったりします。
そして、白洋淀は観光地でもあるので、封鎖しておかないと、周辺の大都市から観光客が来る恐れもある。それで、思い切って封鎖…ということになったのかと思います。
▲こちらの記事に閉鎖になった理由が書かれておりまして、
据了解,雄安新区与北京地缘相近,人员往来频繁。特别是安新县由于历史上受白洋淀影响,有做水产生意的传统,目前仅在北京新发地经营水产生意的人员就达2100余人。
- 雄安新区と北京は近く、人の往来が頻繁である。
(雄安新区とは安新県が属する国家級新区。説明は後で) - 安新県は特に、白洋淀の影響で水産業の伝統があり、北京新発地市場だけでも水産業を営む者は2100人あまりいる。
つまり…
- 現在確認されている安新県の12人の感染者のうち、11人の感染が新発地市場と関係しているのが疑われている。
- そもそも安新県には新発地市場で働く水産業の人が2100人もいる。
新発地市場の感染と絡めて、安新県にクラスタが発生していると当局はうたがっているのでしょうね。
雄安新区の一部である
日本では聞き慣れないですが、安新県は「雄安新区」に属しておりまして、
雄安新区とは、習近平の肝いりで作られた国家級新区。深圳経済特区や、浦東新区なんかと同じようなもの…とお考えいただいてOKです。
そんなところで、コロナが感染拡大しては困るので、いっきに封じ込めに入った…という事情なのかと思います。
「たった10人ちょっとでロックダウンなんか怪しい!」
「何か隠しているに違いない!」
という声もありますが、現地のことがわかってる人なら、上掲の諸事情は全部わかりきってるので、「あー…そりゃロックダウンするわな」というのが正直なところです。