黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

最近騒がしくなってきた太平島の過去と現在

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こちらのツイートが地味ながらそこそこウケました。

ところで、「21日」の箇所に出てくる「太平島」がこの数年…特に最近は騒がしくなってきている…が、あまり日本では報じられない。

「そりゃ、台湾のことだからね」

…と思うかも知れませんが、実はこの太平島…元々は日本の領土だったのです。

【目次】

【太平島】関連写真資料

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▲2015年4月時点での状況

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▲2006年から2015年にかけての変遷。

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▲南沙諸島の各島嶼の大きさの比較。ちなみに、左の大きな3つの島…美済島,永暑島、渚碧島は中国が実効支配しています。この3つの島は中国が埋め立てで拡大した、いわゆる「人工島」でして、自然に出来た陸地が最大のものは太平島となります。

太平島の歴史

手短にザックリと説明すると、太平島とは南シナ海に浮かぶ「岩礁」で、戦前は日本とフランスがこの島の領有権を争い、日本の領土に編入されたのもつかの間、終戦後は中華民国の領有となったが、中華人民共和国とベトナムとフィリピンが今も領有権を主張している…という経緯である。

ただ、2016年のハーグ仲裁裁判所判決(フィリピンが中国を相手に提訴)の際、太平島を含む南沙諸島にはEEZを設定できる「島」ではない…という判決が出てしまう。

太平島は中国が占領していないので仲裁とは本来無関係なのだが、国際機関から領土が「島」であることを否定されてしまった台湾では大騒ぎになり、以来実効支配の強化に努めている…というわけだ。

私がこの件に興味を持つ理由は主に3つあって、

  • 台湾が実効支配強化のために繰り出してくる施策は、日本にとって教訓になる(日本と違って台湾の「実効支配強化」は前のめりで積極的なのだ)。
  • 今後、中国が南シナ海での影響力を拡大させる際に、たぶん太平島が占領される可能性が高い。太平島は南沙諸島で最大の陸地面積を持っており、日本もかつて潜水艦の基地を置いていた…軍事的な価値が非常に高い「島」なのだ。
  • 太平島が「島」か「岩」かという問題は、日本の沖ノ鳥島に飛び火する(理由は後述)。

…というわけで、太平島の動向はずっとウォッチしているのだが、最近は特に動きが顕著になってきた。

これは、2016年のハーグ仲裁裁判所判決の他に、冒頭で挙げたツイートでもわかるように、中国の南シナ海侵略が本格化し、米国も本気で乗り出してきたのが原因だろうと思われる。

最近の太平島を巡る動向

▲2016年7月の仲裁判断以後の経緯と日本の沖ノ鳥島問題との関係を理解する上でこちらの記事は非常にわかりやすいです。

▲2016年7月の仲裁の翌月に台湾の閣僚が太平島を視察した…という記事。日本に置き換えると、閣僚が魚釣島や沖ノ鳥島に上陸するような話です。更に良く読むと仲裁直後に与野党の国会議員8名が太平島を訪問しているわけで、台湾の「実効支配強化」って日本とは完全に真逆なわけです。

2016年9月

2016年11月

2018年7月

▲馬英九政権時の総統府のスポークスマンが、ワシントンにあるシンクタンク・台米関係研究センター(ITAS)での講演で「蔡英文相当は太平島を訪問すべき」と発言。陳さんは現在ITASの研究員なんですね。

2018年9月

太平島は南沙諸島中、自然形成された陸地面積が最大の海岸地形、パグアサ島は南沙諸島で第二の面積、サウスウエスト島は面積0.12平方kmですが、結構立派な軍事基地になっていたりします(下図参照)。

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▲これで見ると、2005年から2013年の8年でベトナムは南子島を発展させたわけですが、こうした動きは日本で報じられることもなく、中国の動きだけが「脅威」として報道されるものの、中国以外の動向も並行して理解しておかないと、南シナ海で何が起こっているのかわからない、中国だけが悪いことをやってる…みたいな印象になるわけです(※読解力のない人のために注釈すると、これは中国を擁護しているのではありません)

2018年11月

▲最近は「米軍艦の太平島寄港」というのが、実効支配強化の次なる施策として、大きな争点になっているようです。

11月24日に投票が行われる高雄市長選の候補者である国民党の韓国瑜氏が太平島で石油を掘って、2千億以上の巨額な債務を解決する…と弁論会で主張した…との報道。

▲こちらに図説されていますが、高雄市の負債って飛び抜けて高いのですね。

太平島は高尾市の管轄になっているため、こういう主張が出てくるわけです。

 ▲こちらは太平島だけじゃないけど、面白い記事でした。

 「射撃訓練」と書くとショボいですが、原文タイトルを見ると「砲撃」とあります。

映像資料

▲中華民国外交部(外務省)が製作したプロモーションビデオ「南シナ海・太平島のあゆみ」。

▲実効支配強化のために、台湾内外のメディアに太平島を公開。日本の共同通信が製作したビデオ。日本に置き換えると、魚釣島に日本と海外のメディアを呼んで取材させたような話です。

* * * * *

というわけで、日本語で出てくる情報が少ない太平島事情ですけど、中国語の情報も交えて追っかけていると結構面白い…ところが最近になって面白がってばかりではいられない、緊迫した状況になりつつある…というわけでした。今後も継続して、太平島の情報をツイートしようと思います。

※ツイートしても太平島の情報は見てくれる人があまりいないので、今回ブログでまとめて紹介してみました(^^)