黒色中国BLOG

中国について学び・考え・行動するのが私のライフワークです

中国の魔の手に落ちたソロモン諸島…押さえておきたい3つのポイント

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黒色中国では、今年5月から本件について度々取り上げてきましたが、結局ソロモン諸島は台湾とは断行して、中国との国交を結ぶことになりました。

ソロモン諸島が台湾と断交し、中国と国交を結ぶのが、なぜ注目すべき重要事項なのか……ツイッターでも取り上げてきましたが、こちらでおさらいしてみようと思います。

【目次】

(1)中国が第二列島線の遥か後方に「足場」を得てしまう

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▲手書きの汚い図ですみません(^_^;)。いきなり「ソロモン諸島」と言われても、どこにあるのかわからない人が少なくないと思いますので、ちょっと図説してみました。

ソロモン諸島はパプア・ニューギニアの更に東側にあります。

「こんなところの島国が中国と国交を結んだからって大したことないだろw」

…という人もいるでしょうが、中国は近年、海洋進出を進めており、第一列島線(図上の九州からフィリピン、南シナ海にかけての赤線)、第二列島線(太平洋に突き出している赤線…途中でグイッと曲がっているところにはグァムがあります)という言葉を聞いたことがある人もいると思いますが…

今回、中国がソロモン諸島と国交を結ぶことで、第二列島線の遥か後方に、いきなり「足場」を持ってしまった…ということ。オセロでいえば「角を取った」ようなものです。

(2)台湾がオセアニアで国交を持っていた中で、ソロモン諸島は最も面積が広く、人口が多い

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▲台湾はキリバス、ナウル、パラオ、トンガ、ツバルとも国交を持っていましたが、ソロモン諸島はその中でも面積が最大(2万8450km2…ちなみに北海道の面積が2万2373km2)。で、人口も最大(52万3千人)です。外務省の基礎データによれば、人口は2017年時点で61万人となっています。

オセアニアには、まだ5つ台湾と国交を持つ国がありますけど、それらも今後はソロモン諸島に続く可能性がありますね。更に台湾の孤立は深まり、西太平洋が「中国の海」に変わる可能性が出てきたわけです。

(3)ガダルカナル島

「でも、同じオセアニアですぐ近所のパプア・ニューギニアはもっと大きいし、人口だって多いんじゃない?いまさらソロモン諸島で大騒ぎする必要ないでしょw」

…という人のために説明すると、

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▲ソロモン諸島の首都・ホニアラがあるのは、ガダルカナル島です。つまり、

第二次大戦で日本の命運が決まった「ガダルカナル島の戦い」のあったあの島です。

なぜガダルカナル島が重要だったのか…更に地図を広い範囲で見てみますと…

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▲オーストラリアとハワイの間にソロモン諸島があります。そしてそれ以外に目立った島はありません。ツバルは小さすぎる上に水没の危機にある島だし、マーシャル諸島は米軍基地も置かれているものの、ほとんど環礁で面積は181km2に過ぎません。

なので、ソロモン諸島は、米豪分断のための戦略拠点だったわけです。もしここに中国海軍の基地が出来たり、潜水艦隊が置かれたりしたら…

▲ちなみに、こちらは今年5月のニュースです。

軍事系の話はミリヲタさんのツッコミが激しいので適当にしておきますがw、「アイアンボトム・サウンド」とかで検索すれば、それらの情報はゴッソリとでてくるはずです。

冒頭の記事でも

「中国と外交関係を正常化すればソロモン諸島が大きな恩恵を受ける立場にあることが分かった」

…とあるので、今後、ソロモン諸島は一帯一路に参加したりで、中国のインフラ投資が始まるものと思われます。

▲一足先に、一帯一路参加国となったパプア・ニューギニアの状況についてはこちらの記事がわかりやすいです。

* * * * *

今回の国交断絶で困るのは台湾だけではありません。中国の覇権が拡大され、米国に取って代わって、「世界帝国」となるのが、また1つ実現に近づいたわけです。今後も引き続き注視しておきたいと思います。

ちなみに…

▲日本ではほぼ報道もされないのですが、中国のネットで見ていると、「第三列島線」の話もチラホラとでてきます。こちらの記事にまとめておきましたので、ご興味ある方は御覧ください。

▲中国の海洋進出について書かれた本はどれも難しいのばかりですが、こちらは新書で読みやすく、要点をしっかり押さえてくれているのでオススメできます。発売当時は大変話題になり、すでに3年たちましたけど、これは名著だと思います。まだ読まれていない方はこの機会にぜひ(^^)