▲四川省の康定県にある塔公郷で、鉱山採掘による水源汚染が発生。現地のチベット人数百名が抗議活動を行ったところ、大量の警官が動員されて警戒態勢に…現在、衝突は発生していないようですが、水源汚染の状況が気になりますので、現地の写真を探してみることにしました。
場所:四川省 甘孜県 康定県 塔公郷
まずは場所を確定しておきます。
▲成都の西、クルマで430kmぐらいの距離です。 行政区画としては四川省ですが、このあたりの山間部はチベット人がたくさん住んでおります。
写真と動画
▲たくさんのチベット人が集まっております。報道によれば百人以上とのこと。抗議のために道路交通を遮断したそうです。中国では道路封鎖というスタイルの抗議活動がよく行われるんですけど、大都市と違って、このあたりはそれほど交通量が多くないはずなので、どれぐらい効果があるものかは不明です。
▲警官隊登場。装備的には身軽な方ですね。
▲あんまり緊迫した雰囲気はありません。
▲黒っぽい服の人たちが警官。みんな座り込んで、あまり「睨み合い」とか「対峙」という状況ではありません。
私はこの地域に行ったことがあるのですが、この一帯の警官とか兵士は大人しいです。というのも、チベット人と違って高地適応していない漢民族がほとんどなので、武器を使用しない限り、肉弾戦でチベット人と衝突が始まると、空気が薄くて、体力勝負でダウンしてしまうからでしょう。
だから、写真で見る限り緊迫感がなくても、楽観視することはできません。
▲おびただしい数の魚の死体。水源汚染によるものと思われます。
▲記事によると、2005年から現地の企業が採掘を始めていたのですが、水源汚染を2回起こして現地のチベット人から抗議を受けて、業務停止に。しかし、今年の4月から採掘を再開し、5月4日にまた水源汚染が発生。川は大量の魚やエビの死体で埋め尽くされたそうです。
▲そこで、5月6日にチベット人百人以上が抗議活動を開始。警察が出動し警戒中…という状況です。今のところ衝突などは起きていないようです。
▲こちら動画になります。道路に魚がたくさんぶちまけられています。
▲こちらも同様に魚ぶちまけ動画。
▲こちらの写真をよく見ると、容器の中に魚らしきものが入れられています。たぶん川で死んだ魚を「証拠」として抗議活動をしている道路まで持って来て、通行する車両の人に見せるつもりではないでしょうか。
これらの写真と動画は微博(中国のSNS)にもアップされていますが、中国でこの手の環境問題がメディアに取り上げられることは少ないです。多くの人に環境汚染の現状を知ってもらうためには、こうした抗議活動が必要と判断したのでしょう。
汚染物質は?
http://jp.xinhuanet.com/2014-11/24/c_133809236_3.htm
▲関連情報を探ってみましたが、今回抗議活動が行われている「塔公郷」は、2014年11月22日に発生した康定地震の震源地だったみたいです。上記リンクのページに山に絵が書かれた写真が出てきますけど、先に挙げた抗議の写真の中にも似たような絵が見られます。
▲こちらは去年10月28日の記事。塔公郷で「锂辉石」の採掘云々…とあります。
▲こちらを見ると、「锂辉石」の英語名は「spodumene」となっています。
spodumene、スポジュメン、リチア輝石とは、ペグマタイトから産出されるペグマタイト鉱物の一種(ケイ酸塩鉱物)であり、リチウムとアルミニウムを含む単斜輝石。
美しい石なので、宝石にもなるそうですが、リチウム電池の原材料になるようです。
上掲の中文記事によると、年産105万トンの採掘計画を調整云々とあります。一応、環境にも配慮しなきゃね…みたいなことは書いてますけど、採掘再開から1ヶ月足らずで、やらかしてしまった…ということなのでしょう。